農家の方々は田畑を荒らしに来るさまざまな害獣と向き合っていることと思いますが、その中でこの記事ではイタチを取り上げたいと思います。
イタチは肉食性が強いため農作物ばかりを荒らすということはないのですが、肉食性で獰猛な動物であるがゆえにニワトリを襲ったり、時には人間に危害を与えることもある危険性をはらんでいます。
肉食性が強いとは言え雑食なので、もちろん畑にある野菜や果物は味を知ってしまうと大好物になります。そんな厄介なイタチの被害から農作物を守る方策を、イタチの生態や特性から解説します。
イタチの被害は西日本に集中する傾向
私たちが日常イタチと呼んでいる動物には、実は2つの種類があります。
1つがニホンイタチと呼ばれる日本の在来種で、もう1つはチョウセンイタチという外来種です。
どちらもイタチと名付けられているように外見や習性はとても良く似ており、一般の方がイタチを見たとしてもどちらなのか見分けはほとんどつきません。
ただ、数ではチョウセンイタチの方が圧倒的に多いため、私たちがイタチと呼んでいるのはチョウセンイタチのことだと考えて良いでしょう。なお、体つきはチョウセンイタチの方がニホンイタチよりも一回り大きいのが特徴です。
とても愛らしい姿をしているのですが、その性格はとても獰猛です。
肉食性が強いので自然界ではネズミやモグラといった小動物を捕食し、時には魚など水の中の生き物を捕食することもあります。こうした動物をうまく捕まえる技術を持っていることからもお分かりのように、イタチはとても俊敏で高い運動能力を持っています。
肉食性が強いとは言え、基本的には雑食なので畑の野菜や果物を食べることもあります。この食性が農家の方々の大切な田畑を荒らし、農作物被害につながります。
多岐にわたるイタチの弊害
農作物を荒らされるという被害以外にも、イタチは人間にさまざまな害を及ぼします。
多いのは家の中に侵入して食べ物を荒らされたり、ごみとして捨てている生ごみなどを荒らすなどの食害ですが、それ以外にも「家の中に巣を作られる」という被害が多く発生しています。
イタチには、家の中でも最も安全な場所として天井裏や床下に巣を作る習性があります。とても俊敏で小さな穴でもすり抜けることができる動物だけに人間の目が届かないところで繁殖し、そこで糞尿をまき散らすことで悪臭や家そのものへのダメージも懸念されます。
また、肉食性が強く獰猛であることから、家の中に入り込んでペットを襲うというケースも報告されています。
イタチの生態から分かる「嫌いなもの」
イタチによる農作物をはじめとするさまざまな被害を防ぐためには、イタチが嫌うもの、恐れるものを生態上知っておくのが有効です。イタチはとても嗅覚の鋭い動物なので、強い臭いを嫌います。イタチの忌避剤として売られているものの多くは強い臭いを発するものが多く、こうした忌避剤の多くは嗅覚が鋭すぎるだけに耐えられないという効果を狙っています。
また、イタチは非常に警戒心が強く、夜行性です。
そのため光を恐れる習性があり、強い光を当てられるとイタチは「見つかってしまった!」と認識してパニックになります。センサーによってイタチが接近したら自動的に強い光を発する撃退グッズもあるので、こうしたものを使うと効果的です。
また、こうしたものがなくてもクリスマスツリーのイルミネーション飾りをつけて不規則に光ることで威嚇をしたり、光が当たるところにCDをぶら下げて乱反射させるようにすると、これも威嚇効果があります。
捕獲や忌避、威嚇のポイントはイタチの通り道
いっそのことイタチを駆除してしまいたいという場合は、罠を使用して捕獲することができます。ただしイタチは狩猟獣ではないので勝手に捕獲、処分することはできません。あくまでも捕獲して他の場所に逃がすという処置までです。
イタチを捕獲または忌避、威嚇するには、それらの「場所」にこだわる必要があります。イタチは安全に通ることができる通り道を作るため、その通り道を糞尿や足跡などから探し当て、そこに捕獲罠や忌避グッズ、威嚇グッズなどを設置します。するとイタチは「安全であるはずの通り道が安全ではない」と判断するため、そこに近づかなくなります。
罠で捕獲した場合は害獣そのものを捕獲したので遠ざける効果とは無関係ですが、イタチが1匹いるということは繁殖をして他にもイタチがいる可能性があるため、捕獲によって他のイタチにそこが危険な場所であると知らせるのも効果的です。
なお、自治体によってはイタチ被害で困っている人のために捕獲器を貸し出しているところもあります。以下は大阪府東大阪市の例ですが、興味がある方はお住まいの自治体ホームページで調べてみてください。
【参考】
大阪府東大阪市「農作物被害への有害鳥獣対策」
http://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000006397.html