空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策│画像1

鳥類による農作物被害は「空からやって来る」点にその特異性があります。空から飛来しては農作物を荒らし、また空に戻っていくため捕獲することも監視することも難しいのが実情です。

鳥類の中でもムクドリやヒヨドリはその見た目の可愛らしさとは裏腹に食害の影響が大きく、多くの農家の方々がムクドリ、ヒヨドリによる農作物被害に心当たりがおありなのではないでしょうか。生物分類的には異なるムクドリとヒヨドリですが、農作物への食害傾向は似ているためこの2つの鳥からの被害を防ぐための対策を生態から順に解説したいと思います。

ヒヨドリとムクドリの生態と特徴

ヒヨドリとムクドリはいずれも日本の自然に生息している鳥で、特にヒヨドリは日本全国に分布して生息しています。ムクドリは九州以南にはあまり見られず、北海道など日本の中でも北部に生息する鳥として知られています。

体の大きさはムクドリのほうが一回り小さく、足とくちばしがオレンジ色をしているのが特徴です。ヒヨドリは頭部の羽が逆立つようになっているのが特徴で、いずれも山間部や農村部で簡単に見ることができます。

食性はヒヨドリ、ムクドリのいずれも雑食です。昆虫類を食べる一方で果物や花、木の実などを食べる習性があります。もともとは自然界にある餌を食べて長らく生きてきた鳥なのですが、近年では農作物にもおいしい食べ物があることを認識してきたことから農作物への食害が指摘されるようになりました。

ヒヨドリによる農作物被害の状況

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策│画像2

ヒヨドリは花や蜜などを好む食性があることから、農作物に対しては果物などを好んで狙います。気候の変化によって大移動する渡り鳥なので、冬になると寒すぎる地域を避けて南に移動します。そのため関東より以西の全域でヒヨドリの群れを観察することができますが、この時期は自然界においても餌が少なくなるため、それを補うために農作物が狙われやすくなります。

よって、関東以西の地域では柑橘類など冬の果物、冬の葉物野菜(キャベツ、ブロッコリーなど)に大きな被害が発生しています。
被害の総数についてはばらつきがあるものの、全体的に減少傾向にあります。

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策│画像3
出典:http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/H28_manual_tyourui/attach/pdf/H28_manual_tyourui-10.pdf

減少傾向にあるとは言えわずかな減少に留まっており、年によるばらつきが大きいためいつ被害額が跳ね上がるか分からない状況にあります。

ムクドリによる農作物被害の状況

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策│画像4

ヒヨドリに対して寒い気候を好むムクドリなので生態はそれほど似ていないのですが、雑食性で果物を食べる食性などはヒヨドリとよく似ています。ヒヨドリよりも果物ばかり狙うのが農作物被害に見られる特徴で、「甘いもの」がとても好きな鳥とも言えます。

しかしムクドリは柑橘類に多く含まれているショ糖を消化できない体質なので、ヒヨドリと違ってみかんなど柑橘類を狙うことはありません。サクランボや桃、ブドウ、柿などが収穫期になる夏から秋にかけての時期が「ムクドリによる果樹被害」に要警戒となります。
被害の総数で見るとヒヨドリと同じく減少傾向が顕著です。ヒヨドリのように年ごとのばらつきも少なく、対策が功を奏していることもあって減少傾向が続いています。

空からやって来る害獣、ヒヨドリとムクドリの農作物被害を防ぐ主な対策│画像5
出典:http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/H28_manual_tyourui/attach/pdf/H28_manual_tyourui-10.pdf

しかし、減少傾向にあるとはいえ平成23年からほぼ横ばいになっていることから、これ以上減らすことの難しさも見て取れます。

ヒヨドリ、ムクドリの被害から農作物を守る対策

空からやってくる鳥に対する農作物の防御策として、最も物理的かつ直接的な効果を望めるのが防鳥網です。防鳥網を使用する場合、重要になるのが網目の大きさです。一般的な防鳥網の網目は45ミリ前後ですが、これはカラスやハトを防御するためのもので、かなり体が小さいヒヨドリやムクドリは自由に出入りできてしまいます。

そこで防鳥網を使用する場合は、かなり網目の小さい30ミリサイズがおすすめです。また、網の特性として網目を細かくしすぎると風によってめくれ上がったり、ひどい場合は飛んでいってしまう可能性もあるので、網目が細かければ細かいほど良いということでもありません。

その他の対策としては、昔ながらの案山子(かかし)も有効です。ただし案山子はすぐに鳥が慣れてしまうので、収穫期など一番被害が出やすい時期だけに使用するなど工夫が必要です。もちろん収穫期が終わったら片付けておきます。
案山子の他には吹き流しや防鳥テープなどを用いて鳥の警戒心を煽り、近づかせない方法も有効ですが、これらの対策も鳥が慣れてしまうと意味がないので使用する時期を限定したり変化を持たせるなどの工夫をしましょう。

こうした対策がなかなか効果を発揮しない場合は、鳥が飛来してきた時に花火を打ったり、エアソフトガンと呼ばれる銃器で鳥を威嚇をすると、かなりのインパクトを与えることができます。

 

数あるカクイチの製品の中から
農家の方へオススメな製品をピックアップしました。


 

鳥獣被害カテゴリの最新記事