鳥獣害対策アライグマ編。アライグマに効果的な対策方法とは

鳥獣害対策アライグマ編。アライグマに効果的な対策方法とは

本記事では特定外来生物の害獣であるアライグマに着目。本サイトでも一度アライグマの生態やその危険性についてご紹介しています。

関連記事:害獣アライグマの生態と農業への被害について。可愛いからと言って触らないで!

本記事では、アライグマが残す痕跡やアライグマを捕獲する際の注意点、アライグマの特性をふまえた農作物への被害防止策についてご紹介していきます。

 

 

こんな被害にあったら犯人はアライグマ!

鳥獣害対策アライグマ編。アライグマに効果的な対策方法とは|画像1

 

アライグマは夜行性です。昼間に目撃されることもありますが、一般的には夜間に行動するため、目撃情報が得られにくく、農作物の被害初期には加害した動物が特定しにくいという難点があります。

ただ、農作物への加害形態は非常に特徴的なので、以下のような痕跡を見かけたら、アライグマである可能性が非常に高いです。

  • 果実の皮に小さな穴が空いており、そこから中身がすくい出されている
  • トウモロコシの皮やブドウにかけられた袋が剥かれている

これらは器用な前肢をもつアライグマならではの痕跡です。

アライグマの捕獲には手続きが必要

なお「特定外来生物」であるアライグマは、駆除対象の害獣ではあるものの、勝手に捕獲することはできません。捕獲に関する対応は各自治体によって異なります。

例えば茨城県の場合。茨城県は「茨城県アライグマ防除実施方針」を策定し、防除を実施。「防除従事者講習会」に参加することで、狩猟免許なしで捕獲することが可能になります(ただし、使用できるわなは、狩猟免許を保持する人が利用できる「箱わな」ではなく、小型のこわなに限られます)。山梨県でも同様の試みが行われています。

アライグマを捕獲後は、捕獲者が市町に連絡し、市町職員に引き取ってもらう必要があります。一般的に有害鳥獣として捕獲した野生動物は、捕獲後、動物になるべく苦痛を与えない方法で捕獲者が処分する必要があるのですが、アライグマに関しては処分方法が異なりますので注意しましょう。

講習会に参加するなどすれば、狩猟免許なしでも捕獲できるアライグマですが、アライグマは気性が荒く、人に噛み付く危険性や感染症を引き起こす微生物を保菌している危険性があることなどから、できる限りアライグマに近づきたくない人も少なくないはずです。

そこでここからは、アライグマを田畑に侵入させない方法についてご紹介していきます。

 

 

基本中の基本!エサを与えない

鳥獣害対策アライグマ編。アライグマに効果的な対策方法とは|画像2

 

アライグマは雑食で何でも食べます。特に甘いものを好むので、糖度の高い作物(トウモロコシやスイカ、ブドウなど)は狙われやすいので要注意です。

そんなアライグマにエサを与えないことは、農作物を守るための基本中の基本。

もちろん、アライグマに意図的にエサを与えている人はいないと思いますが、

  • 鳥獣害対策を行っていない、動物が侵入しやすい畑
  • 収穫残渣が放置されている場所
  • 生ゴミなどが放置されている場所

があることも、エサを与えていることと同義ですので、収穫残渣や生ゴミは放置しない、以下で紹介する対策を行い、アライグマを侵入させないよう努めましょう。

 

 

田畑周辺に住まわせない

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アライグマは、住宅や倉庫、神社などの天井裏や屋外に積まれた枝や廃材の下、アナグマの掘った穴などをねどこに利用します。また1個体が複数のねどこを利用することも覚えておきましょう。

アライグマによる被害が発生した場合は、周辺にアライグマがねどことして利用している「隙間」があるはずです。あらゆる隙間を入念に確認し、ねどこと思われる空間を見つけたら、少しの隙間もないように、また容易に破られないよう強度の高い網などを用意して、アライグマの侵入経路を塞ぎましょう。

どの動物でもそうですが、人の目から隠れられる場所をなくすことは対策として有効であり、被害を減らすことにつながります。

 

 

アライグマの能力を逆手に取った方法

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アライグマは木登りが得意な動物です。肢裏を主に使い、爪は補助的に用いて登るため、木に限らず、パイプのような、爪を引っ掛けることができないようなものでも楽に登ることができます。

ただ、隙間を見つけた場合は「登る」ことよりも「隙間に侵入する」「侵入するために穴を掘る」が優先されるため、まずは田畑への侵入を防ぐために、田畑を囲う柵やネットと地上部の隙間をなくしましょう。

隙間がなければ、アライグマは「登る」ことを選びますが、そこで効果的なのが電気柵です。地上から高い不安定な場所で感電させることができれば、そこはアライグマにとって「不快な場所」として認識され、田畑に近づこうとする意識を抑えることができます。

アライグマの侵入防止柵として有名なのが「白落くん」「楽落くん」です。これらは比較的簡単に設置できるだけでなく、高い位置に通電するため「登る」ことを選んだアライグマを登った先で感電させることができます。埼玉県のホームページ (↓)に設置マニュアルが掲載されているので、気になる方はぜひご確認ください。

鳥獣害防除担当 – 埼玉県

 

参考文献

  1. 江口祐輔編著『動物の行動から考える 決定版 農作物を守る鳥獣害対策』(2018年、誠文堂新光社)
  2. アライグマを捕獲しています – 茨城県
  3. 〝ラスカル〟でブームのアライグマ被害 害獣完全排除目指す山梨県
  4. アライグマ・ハクビシンでお困りの方へ – 東京都青梅市公式ホームページ
  5. アライグマ手引き(完成版)
  6. 有害鳥獣として捕獲※した野生動物の 適切な処分について

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