3つの方法を合わせて効果が高まるハトの農作物被害対策

3つの方法を合わせて効果が高まるハトの農作物被害対策
3つの方法を合わせて効果が高まるハトの農作物被害対策│画像1
ドバト

ハトというと農村部だけでなく、都会の至る所でも見かける鳥です。公園にはハトの群れが生息していて餌をやりに来た人のもとに集まってくるという光景も珍しくありません。
ハトによる糞害や巣をかけられたことによる汚れなどは都会でもよく聞かれますが、これが農村部になると田畑への食害という形で深刻化します。非常に繁殖力が強い上に人里への適応力も強いため人間をあまり警戒せず、堂々と田畑を荒らしに来ることもある点がハトの農作物被害においても厄介な点です。農家の方々にとって厄介者であるハトから農作物を守るために必要な、ハトの生態や被害実態、そして対策をまとめました。

農作物に被害を与えるハトはおなじみの2種類

一口にハトといっても、世界にはなんと300種類ものハトが生息しているそうです。そのうち、日本国内に生息していて農作物に被害を及ぼすのはキジバトとドバトという2種類です。いずれも外見はとてもよく似ていて、その姿は私たちが公園などで目にするハトの群れの姿を想像すればお分かりいただけると思います。

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キジバト

ちなみに公園などでよく目にするのはドバトで、キジバトはそれよりも文字通りキジに近い模様を持っており、人里よりも山に住む傾向が見られます。

ちなみにキジバトは日本在来種で、山に住んでいる生態から山鳩とも呼ばれてきました。一方のドバトは外来種で、人間が日本に持ち込んだものです。ハトというと伝書鳩を想像する方も多いと思いますが、ドバトは伝書鳩やペットなどの用途で持ち込まれ、そのまま日本に住み着いて野生化しました。
イベントなどでハトを一斉に放して空に羽ばたかせるという演出が見られますが、この時に放されたハトがその後どうなるかを考える人はあまりいません。実はこうして放されたハトも繁殖をして人里にやって来ては被害をもたらしていることもあるのです。

ハトが及ぼす農作物への被害内容

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出典:http://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/chougai/wildlife/doves.pdf

ハトに餌やりをする時によく用いられるのが、パンくずです。そしてハト以外にも用いられる鳥の餌でよく見かけるのは種子類です。こうした傾向を見ても分かるように、ハトは種子類や大豆、小麦などを好むため食害もこうした農作物に集中しています。
こちらは農林水産省がまとめた農作物の種類別被害量の内訳です。基本的に鳥の餌になりそうなものを好んで食べていることが分かります。

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出典:http://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/chougai/wildlife/doves.pdf

また、ハトは日本全国に広く生息しており、それぞれの地域で異なったものを食べている傾向も見られます。
こちらは同じく農林水産省がまとめた、地域別のハト食害の内訳です。

地域によって内訳に違いがあるとはいえ、やはり大豆や麦、稲といった穀物類で被害が集中的に発生している点では共通しています。

ハトの強い帰巣性にも注目

ハトの中でもドバトは、巣に対して強い執着を持っており、帰巣性の高い生き物です。この習性から伝書鳩という用途が成り立つわけで、一旦ドバトがその場所を巣だと認識すると、そこに繰り返しやって来ては繁殖するようになります。農地の近くで繁殖することになると継続的に農作物被害が発生することになるので、ドバトからの被害を防ぐためにはそこに初めて近寄ってきた時に住み着かせないこと、「餌がある」と認識させないことも重要なポイントになります。

ハト撃退の決め手は「網」「威嚇」「餌の除去」

最初が肝心なハトの撃退に有効な手段は、主に3つの方向性に分けられます。網を使って物理的に侵入を阻止する方法、次に威嚇をしてそこが危険な場所であると認識させること、そして最後は餌になるものを置かず「ここに来ても何もない」と認識させることです。
網については、一般的に売られている防鳥網が有効です。少々手間はかかりますが、農作物の種を蒔いた直後から芽が出て第1本葉が開くまで網で防御すれば、以後はハトが餌とはしないため農作物を守ることができます。

次に、威嚇の方法について。住宅などでもハトが巣をかけないように大きな目玉の模様が入った風船などが用いられますが、こうした方法はハトがすぐに慣れてしまうため、効果は限定的であるとされています。古くから用いられている案山子(かかし)による方法もずっと同じところに立たせたままだとこれもハトが慣れてしまうため、種蒔きから芽吹きの時期だけ少しずつ場所を変えながら置いたり、マネキンなどより人間に似ているものを入手するのが良いでしょう。風に反応して衣服や腕などが動くように工夫すると、ハトはより人間だと思いやすくなるので、効果が高くなります。

最後に、これが最も重要な対策です。ハトの中でもとりわけドバトは帰巣性が強いと述べました。安住の地を求めて飛来してそこに餌があると、そこの近くに住み着く可能性が高くなります。放棄作物や生ごみなど、ハトの餌になりそうなものを田畑に放置するのは避けましょう。これはハト害だけでなく他の野生動物からの農作物被害を防ぐのにも有効です。

 

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