「ストチュウ水」とは、酢と焼酎、木酢液を同量ずつ混ぜ合わせ、それを水で希釈したものです。ストチュウ水は、生活に身近なものを使って簡単に作ることができるもので、化学薬品を使っての病害虫防除を避けたい人にもおすすめです。
本記事ではストチュウ水の効果と作り方を紹介します。
ストチュウ水の効果
虫が苦手とする酢やアルコールを利用するため、害虫予防に効果的です。
ただし、酢、焼酎、木酢液に殺虫効果はないので、すでに起きている害虫被害を食い止めるのには向いていません。
忌避剤と考え、普段から作物の様子をよく観察し、害虫を繁殖させないために、ストチュウ水を散布して害虫を作物から遠ざけましょう。
使用する際の注意点
酢やアルコールを苦手とするのは害虫だけに限りません。ストチュウ水を使いすぎると、作物を害虫から守ってくれる益虫の数も減ってしまうので、作物の様子だけでなく、作物についている虫もよく観察し、「害虫を追い払うため」という目的で、適度な量を散布するのがポイントです。よって散布する際は、圃場全体や野菜全面ではなく、スポット的に使います。
また、酢もアルコールも皮膚や粘膜に触れると刺激がある材料です。目や口に入らないよう注意して使いましょう。もし目や口に入ってしまった場合は、速やかに水で洗い流しましょう。
ストチュウ水の作り方
まずは原液を作ります。
<用意するもの>
- 醸造酢(穀物酢や果実酢など)
- 焼酎(アルコール度数25度がおすすめ)
- 木酢液(竹酢液でも可)
原液は、上記3つを同量加えて混ぜ合わせるだけです。例えば、保存容器が1Lペットボトルの場合、300mLずつ注いで混ぜ合わせれば完成です。
使う際は水で希釈する必要があります。希釈倍率は約300倍に設定します。例えば、1Lの散布液を作りたい場合には以下の計算式に当てはめます。
1L(1000mL)÷300(倍)=3.33333……(mLまたはg)
上記だと原液の量がはかりにくいので「水がどれだけ必要になるか」を計算してみます。例えば、ペットボトルのキャップ1杯は約7mLなので、まだ分かっていない水の量をxとすると
xL(xmL)÷300(倍)=7(mLまたはg)
x=2100mL=2.1L
水は2.1L必要になります。
ストチュウ水の使い方
スプレーボトルやジョウロに希釈したストチュウ水を入れ、葉面散布したり、害虫に直接かけたりして使います。
先で“希釈倍率は約300倍に設定する”と紹介しましたが、害虫が逃げるかどうかを観察した上で、100〜300倍程度の好みの濃度に調整することも可能です。ただし、濃度が高すぎると作物の生長にも影響が及ぶので注意しましょう。
ストチュウ水は少量をスポット的にかけるのが基本です。例えば、発芽して双葉が開いた作物に葉面散布する際は、双葉が濡れる程度の散布に留めます。
これは「ストチュウ水だからかけすぎに注意した方が良い」というより「水分の与えすぎに注意」ですね。特に、根が十分に発達していない時期の植物に水分を与えすぎると、根腐れを起こしてしまいます。
ただし、作物の広範囲にアブラムシなどの虫がたくさんついてしまっている場合などは、害虫が逃げるまで、その場所と野菜全体に集中的にかけましょう。
参考文献
- 害虫忌避に効果的!簡単にできる自然農薬「ストチュー」の作り方と使い方|農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]
- 家庭菜園誌 野菜だより 2021 9月[秋号]、2021年8月3日、株式会社ブティック社