「光」で害虫防除。光を用いた害虫防除の最新研究と光を用いた害虫防除アイテムについて。

「光」で害虫防除。光を用いた害虫防除の最新研究と光を用いた害虫防除アイテムについて。

化学農薬に頼らない害虫対策として、光を用いた対策が注目を集めています。本サイトでも過去に、光を利用した害虫対策についてまとめています。

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たとえば赤色LEDはナスやピーマン、キュウリやホウレンソウなどに害を及ぼす農業害虫ミナミキイロアザミウマが作物に近づくのを抑制できることがわかっています。

本記事では「2023年農業技術10大ニュース」に選出された光を用いた害虫防除の最新研究と、より身近な光を用いた害虫防除アイテムについて紹介していきます。

 

 

レーザー光で害虫を撃ち落とす!?

「光」で害虫防除。光を用いた害虫防除の最新研究と光を用いた害虫防除アイテムについて。|画像1

 

大阪大学と農研機構は、農業害虫としてよく知られる蛾の一種ハスモンヨトウを青色半導体レーザー照射により撃墜することに成功しました。

ハスモンヨトウについて

ハスモンヨトウは野菜のみならず、花き、果樹など、幅広い作物に被害を及ぼす害虫です。寒さに弱い虫ですが、休眠性がないため、加温されたハウス内などでは冬季であっても発育と活動が続きます。

防除対策には、卵塊や孵化したばかりで集団になっている幼虫を見つけ次第取り除く他、いわゆる害虫防除策としてあげられる薬剤散布があげられます。

しかしハスモンヨトウが老齢になるにしたがって薬剤の効果は悪くなります。加えて、薬剤抵抗性の発達が見られており、薬剤防除が難しいのが現状です。

レーザー光で撃ち落とす技術

レーザー光をひたすら撃ちまくれば、いずれはハスモンヨトウを撃ち落とすことができますが、この方法では益虫をも撃ち落とすこととなります。

農研機構は2021年に、ハスモンヨトウの飛行パターンをモデル化し、3次元位置を予測する技術を開発しています。「2023年農業技術10大ニュース」に選出された最新研究はこの技術をもとにしています。この研究成果はレーザー光をひたすら撃ちまくるのではなく、「ハスモンヨトウを検知し、その位置を予測し、狙撃する」という流れがポイントです。

またハスモンヨトウの急所を突き止め、大きな損傷を与えることができる胸部や額部を狙うことで、比較的低い光エネルギーで駆除できることを明らかにしました。

技術の確立と実用化が進めば、薬剤抵抗性のある害虫を物理的に防除できると期待されています。

 

 

光を使った害虫防除グッズ

「光」で害虫防除。光を用いた害虫防除の最新研究と光を用いた害虫防除アイテムについて。|画像2
レーザー光で害虫をピンポイントに撃ち落とす技術が実用化されるのはもう少し先ですが、光を用いて「捕虫」するアイテムと「防虫」するアイテムはすでに市販されています。

たとえば捕虫器の場合、害虫を誘引する光源を使って害虫をおびきよせます。粘着シートが付属したものの場合、光源に誘引された害虫がそのまま粘着シートに付着します。粘着シートを取り替えることで害虫を簡単に処理することができます。

防虫器の場合、害虫が忌避する光や産卵活動を抑制する光を用いることで、ほ場への侵入を防いだり、繁殖を抑えたりといった効果があります。

いずれの場合も、本体の価格と運用費用として電気代がかかりますが、設置するだけなので、比較的簡便な対策といえます。

害虫が薬剤抵抗性を持ったこと、また環境保全の考えもあって、化学農薬に頼らない害虫防除作が注目を集める中、光を用いた害虫防除技術の今後の発展に期待が高まります。

 

参照サイト

  1. 化学農薬に依存しない近未来の防除技術「青色レーザー」「オールマイティ天敵」「共生微生物」に迫る | AGRI JOURNAL
  2. 農業技術10大ニュース
  3. プレスリリース (研究成果) 害虫の飛行パターンをモデル化し3次元位置を予測
  4. 青色半導体レーザーを用いた害虫の撃墜 – ResOU

(2024年3月11日閲覧)

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