近年被害急増中。農作業中のマダニ対策

近年被害急増中。農作業中のマダニ対策

日本には様々な危険生物が存在します。生き物の動きが活発になる春や、薄着で山や海などへ出向く人が多くなる季節が近づくと、危険生物についての情報が各種メディアで紹介されることが多くなります。

近年ニュースや情報番組で多く紹介される危険生物の1つが「マダニ」です。しかしマダニ自体は外来種ではありません。元々日本全国に古くから定着している生き物です。それなのに何故、近年になってマダニが注目されるようになったのでしょうか?理由は簡単でマダニによる被害が近年増えてきたからです。

この記事では、マダニの生息地や危険性に加え、マダニ対策や被害に遭ったときの処置、マダニの被害が増えてきた理由をご紹介します。

■マダニについて

近年被害急増中。農作業中のマダニ対策画像1

マダニは人間のすぐ近くに存在しています。民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などに棲んでいます。草花の葉の裏など、植物にくっついていることが多いです。また、野生動物が出没するような環境に多く生息する傾向があります。これはマダニがシカやウサギ、イノシシなどの血を吸うためです。

近年はマダニの被害が増えていますが、その原因には野生動物が関係しています。ハンターの高齢化で駆除される動物が減ったり、林業が衰退して山の管理がされなくなったりしたことで、シカやイノシシ等の個体数が増加しました。増えすぎた野生動物は生息範囲を拡大し、ときに田畑や民家の近くまで野生動物が出没するようになりました。野生動物の出没に伴ってマダニの生息範囲も広がったため、人間の活動するエリアとマダニの生息エリアが大きく重なることになったのです。

マダニの被害に遭うのは、植物に触れる機会が多い農作業中が多いとされています。農作業中は、足だけでなく手や首まで植物に触れることがあるため、知らないうちにマダニに吸血されるのです。1度咬みついたマダニは長時間吸血を行います。ときに10日以上にもわたって吸血し、吸血前の何倍もの大きさに膨れ上がります。

咬みついたマダニを無理に引き離すと、マダニの一部が体内に残ってしまいます。自分で処理せず、医療機関で適切な処置を行ってもらいましょう。マダニに咬まれた後は、発熱等の症状が出ないか注意しましょう。体調に異変を感じたら、すぐ医療機関へ相談してください。

 

 

 

■マダニが引き起こす病気

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マダニは様々な感染症を媒介します。ここでは、特に恐ろしい病気を3つ紹介します。

1.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニが媒介する感染症の中で、最も恐ろしいものの1つです。咬まれてから6日~2週間程度の潜伏期間を経て発症します。まだ新しいウイルス感染症で、治療薬がありません。そのため致死率が高いという特徴があります。マダニに噛まれてもSFTSを発症するケースは少ないですが、2013年には40人のSFTS患者が報告され、そのうち13人が亡くなっています。発熱・下痢・嘔吐・全身の倦怠感が主な症状ですが、これらの症状は他の感染症と類似点が多いため、初期にはSFTSだと診断されないことも多いのが問題です。

2.ライム病
マダニに咬まれた後に、数日から数週間の潜伏期間を経て発症します。感染の初期段階では、マダニの咬み跡に紅斑が出ます。また、風邪やインフルエンザに似た症状が発生します。具体的にはリンパ節の腫張・筋肉痛・関節痛・頭痛・発熱・悪寒・倦怠感などです。悪化すると関節炎や筋肉炎、不整脈などの症状が出ます。感染から数ヶ月~数年後には、慢性萎縮性肢端皮膚炎・慢性関節炎・慢性脳脊髄炎・角膜炎といった重病を引き起こします。

3.ツツガムシ病
ツツガムシとはダニの一種です。咬まれた場合、10日~2週間の潜伏期間を経て、悪寒を伴う39℃以上の高熱が出ます。頭部や全身の倦怠感、咬まれた場所を中心とする発疹、リンパ節の腫れ等の症状もあります。播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群を発症することもあり、重症化すると亡くなることもあります。

 

 

 

■対策

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マダニ対策の上で大切なのは、マダニを肌に触れさせないことです。服装を選ぶ際には、肌の露出を抑えるようにしましょう。長袖長ズボンを基本とし、手袋をするのが良いでしょう。ズボンの裾は靴下の中にしまい込み、袖は手袋の中に入れましょう。首にはタオルを巻き、マダニの侵入を抑えましょう。帽子などで頭を覆うとさらに効果的です。もちろんサンダルなどはNGです。長靴か、最低でもくるぶし程度まである靴を履いてください。

家に帰ったら、上着などの作業着は屋内に持ち込まないようにし、ガムテープなどで服に付いたダニを除去しましょう。できるだけ早くシャワーを浴びるか入浴して、ダニに咬まれていないか肌を確認してください。

ダニに対する忌避剤もありますが、マダニ用のものは日本では市販されていません。他のダニ用のものを流用することになりますが、効果は限定的なので、忌避剤は他の防護手段と組み合わせて使いましょう。

 

 

 

■もしマダニにかまれてしまったら

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マダニに咬まれてしまったら自分で処理するのではなく、皮膚科などへ行きましょう。前述の通り、無理やりマダニを取り除こうとするとマダニの一部が体内に残るからです。ネットにはマダニに咬まれた場合の処置などが紹介されていますが、感染症対策の観点からも、病院へ行くのが無難です。面倒だからと自分で処理すると、重篤な結果を引き起こすおそれがあります。
 

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