作物を害虫被害から守るための物理的防除法として一般的な「防虫トンネル」。本記事では、防虫トンネルの一般的な張り方とともに、コスパのいいアイデアや作業効率がよくなるアイデアを紹介していきます。
一般的な張り方
まずは一般的な張り方の手順を紹介します。
<用意するもの>
- トンネル用支柱(長さ200cm程)
- 杭
- 防虫ネット
- トンネルを張る位置を決めたら、トンネル用支柱をアーチ型に挿す(挿す間隔は50cm程度)
- 畝の両端に、防虫ネットを結びつけるための杭を打つ
- 防虫ネットの端を杭に結びつける(一方の端を結びつけたら、もう一方の端を持ってピンと張ってから結びつけること)
支柱と支柱の間のネットがバタつく場合には、ヒモや別の支柱を使うなどして押さえます。洗濯バサミを使って留めるのもいいでしょう、また防虫ネットの一番端にレンガなどの重たいものを置くと、バタつきや飛んでいってしまうのを防ぐことができます。
押さえておきたいポイント
もしかすると、以下のポイントは張り方よりも重要かもしれません。
- 防虫ネットを張る前に、作物を消毒しておく
- 作物よりも高い支柱を使う
- 防虫ネットの裾にはしっかり土をのせる
防虫ネットは、作物を害虫被害から守るためにかけるものですが、張る前に作物に害虫がついてしまうと、防虫トンネルの役割が、害虫を天敵から守り、安全に食べ物を与える場所を作ること、に変わってしまいます。土壌消毒や農薬散布、作物が健康な状態であることを確認するなどした上で、防虫ネットを張るようにしましょう。
防虫ネットの中で作物は育っていきますから、支柱が作物よりも低いと、作物は育てば育つほど窮屈な状態になってしまいます。防虫ネットや支柱を購入する場合には、成長した作物の高さや大きさに合うものを選びましょう。
張り終わった防虫ネットの裾にはしっかり土をのせます。裾に隙間があると、害虫の侵入を許すことになるからです。
コスパ重視なら……
先で紹介した<用意するもの>の中で、トンネル用支柱を安価に手に入る「針金」に替えると、コストパフォーマンスがよくなります。用いる針金の太さは3mm前後がおすすめです。トンネル用支柱の代わりに用いる際に適当な長さに切断する際、針金の太さが3mmより太いと、またステンレス製のものは、切断しにくいのでおすすめしません。
作業効率がよくなるアイデア
先で「害虫が入り込まないよう、防虫ネットの裾を土で埋める」と紹介しましたが、完全に防虫トンネルで覆ってしまうと、間引きや追肥をする度に、「ネットの裾を開く→作業が終わったらネットの裾を埋め戻す」作業が必要になり、やや面倒です。
そこで間引きや追肥をしやすくするためにおすすめしたいのが「ファスナー付きの防虫ネットを使う」または「防虫ネットを2枚使う」ことで、天井部からトンネルを開閉できるようにする方法です。
前者は、市販されているファスナー付きの防虫ネットを、先で紹介した張り方で通常通り張ればOK。後者は、トンネル用支柱を畝に挿すところまでは同じで、そこから、
- 畝の片側を1枚目の防虫ネットで覆う
- 1.の反対側は、もう1枚の防虫ネットで覆う
- 天井部で2枚の防虫ネットを重ねる
- 3.で重ねた部分はパッカーや洗濯バサミで留め、風邪などで開かないようにする
終わったら、裾は通常通り、土にしっかり埋めます。
天井部が簡単に開け閉めできれば、防虫対策にもなり、作業もしやすく一石二鳥です。
参考文献
- ビニールトンネルの張り方|調べる|タキイ種苗株式会社
- 防虫ネットの張り方教えます!畑からプランター、ベランダまで|農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]
- 【畑やプランターに防虫ネットを】無農薬栽培での虫食いを防ぐ自作防虫ネットの作り方|切るを楽しむ|アルスコーポレーション
- 家庭菜園誌 野菜だより 2021 9月[秋号]、2021年8月3日、株式会社ブティック社