モグラ対策に重要な「モグラの生態」は前編をご覧ください。
モグラの生態を活かした対策法3選
本記事でご紹介するのは、
- 嗅覚を刺激して追い払う
- 触覚を刺激して追い払う
- 罠で捕獲
の3つです。
嗅覚を刺激する
嗅覚が発達しているモグラを追い払うのに効果的なものに「忌避剤」があります。
市販されている忌避剤の主成分であるナフタリンは殺虫剤・殺菌剤・防虫剤としても使われています。強烈なにおいを放つので期待が高まりますが、人の鼻にも強烈な刺激があるので使用する際は十分注意しましょう。
また、作物のそばに置くと作物を枯らしてしまう可能性があるため、畑からやや距離をおく必要があります。
嗅覚を刺激して追い払う方法には他にも
- ニンニクを植える
- 木酢液を撒く
- 正露丸を撒く
- 唐辛子を撒く
- 火薬のニオイで追い払う(点火した発煙筒や煙幕をモグラの穴に突っ込む)
- カメムシのニオイで追い払う(捕まえたカメムシを使い捨てカップに入れ、ラップでフタをし爪楊枝などで穴を開けておく。それをモグラの穴に設置する)
などが挙げられます。
唐辛子はモグラの目・鼻・口を刺激するため、嗅覚だけを刺激する木酢液や正露丸より効果を感じやすいようです。モグラの穴に、ハバネロソースをつけた丸めたティッシュと煙幕を突っ込んで追い払う方法も見つけました。
タバコの葉っぱを撒くという方法も見つけましたが、タバコは作物や土に悪影響を及ぼす可能性が高いため、あまりおすすめできません。
「彼岸花を植える」は、古くから使われているモグラ対策法です。彼岸花の鱗茎には毒素があります。
- 毒素のある鱗茎のニオイでモグラが寄り付かない
- モグラのエサとなるミミズが彼岸花に寄り付かないため、モグラが近づかない
という効果があります。
またユニークなのが「チューインガム」を使った方法。香りの強いチューインガムに引き寄せられたモグラがそれを食べ、消化不良を起こして死んでしまうのを狙う方法です。効果を得るためのコツは、モグラの穴にガムを入れる際、手袋をはめ、人のニオイをうつさないようにすることです。
ただ、どの方法も、実践した人たちからは「効果あり」「効果なし」両方の声があがっています。実際にやってみて、モグラがどのような反応を示すか見ない限り、効果の有無はわからないというのが正直なところ。とはいえ、さまざまな方法が紹介されていますから、取り組みやすいものから始めてみるといいかもしれませんね。
触覚を刺激する
モグラの警戒心の強さを利用して「振動」で追い払います。
電池で振動を起こすものや、音波を発生する装置が市販されています。市販の忌避剤と比較すると値は張りますが、農作物に影響することもなく、モグラのトンネルに差し込むだけなので、簡単に対策を打つことができます。
罠を仕掛ける
本道に罠を仕掛けてモグラを捕獲します。市販されている罠は「筒タイプ」と「直接捕獲するタイプ(モグラを直接挟み込む形をしている)」とあります。「筒タイプ」の場合は、トンネルの左右どちらから来ても捕獲できるようになっているものが便利です。
前編でご紹介しましたが、モグラは12時間以上胃の中に食べ物がないと餓死します。そのため、罠にかかったら1日以上置いておくと処理しやすくなります。
またモグラは警戒心が強く、嗅覚も鋭いので、罠を仕掛ける際は手袋をはめて行うのがポイントです。
なお、鳥獣保護法第十三条に
第十三条 農業又は林業の事業活動に伴い捕獲等又は採取等をすることがやむを得ない鳥獣若しくは鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、第九条第一項の規定にかかわらず、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、環境省令で定めるところにより、捕獲等又は採取等をすることができる。
とあります。
農業・林業従事者においては「モグラの捕獲」に例外が設けてありますが、基本的にはモグラ全種類を含む鳥類・哺乳類に属すすべての野生動物は「鳥獣保護法」の保護対象になっています。
「捕獲」は、嗅覚や触覚を刺激して追い払う方法に効果が得られなかったときの「最終手段」として選ぶことをおすすめします。
周辺を防除する方法も
物理的に侵入できないようにする方法もあります。たとえば市販されているモグラ用の侵入防止柵や、金網やトタンを深さ50〜60cmの場所に埋めます。嗅覚や触覚を刺激して追い払った後、周辺を防除して、モグラから農地、農作物を徹底的に守りましょう。
参考文献