完全無農薬マニュアル。害虫の天敵を知ろう!(カマキリ編)

完全無農薬マニュアル。害虫の天敵を知ろう!(カマキリ編)

「カマキリ」という言葉に抱くイメージは人それぞれでしょう。幼い頃に野原で捕まえた記憶を思い出す人もいれば、昆虫をモチーフにしたキャラクターを思い浮かべる人もいます。筆者などは、ジャッキー・チェンの【蟷螂拳】を思い出してしまいます。万人に共通するのは、なんとなく「カマキリは、他の虫を捕まえて食べる昆虫」という印象ではないでしょうか。

実際、カマキリは他の虫を捕食します。捕食対象の虫には、農作物に害をなすものも混ざっています。このため、農業においてカマキリは「害虫を食べる益虫」というイメージを広く持たれています。本記事では、カマキリの生態や特徴、さらにはカマキリを使った農法までをもご紹介します。

■カマキリの生態を知ろう

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カマキリは成虫で体長6cm~10cmの黄緑色または褐色の昆虫です。最大の特徴は鎌のような前足で、鋭いトゲが生えています。この前足で他の昆虫を捕まえて食べるのです。分布地域は、北海道から九州までの日本列島全土です。草むらや雑木林に生息し、夏から秋にかけて多く見かけることができます。分布エリア自体は広いのですが、あまり飛行能力がないので遠くまで移動ができません。

カマキリは、1つの卵鞘(らんしょう)から数百匹もの幼虫がワラワラと出て来ることで誕生します。さなぎにはならず、生まれたときから成虫と同じ形をしています。幼虫のときには、ほとんどが他の昆虫や鳥などの餌になってしまいますが、成長すれば昆虫の世界において食物連鎖の上位に立ちます。

カマキリは害虫を食べる益虫のイメージがありますが、実際には害虫だろうと益虫だろうと見境なく食べ、身体が成長するに従って、捕食する虫の大きさを変えていきます。オスとメスではメスの方が大きく、産卵直前で栄養が必要なメスは動くものなら手当たり次第に捕食します。同種のオスも例外ではなく、カマキリのメスがオスを食べる話は有名です。

 

 

 

■カマキリの捕食方法

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カマキリは、あまり動かずに待ち伏せして獲物を捕獲します。特に幼虫のカマキリは花弁に似ているので、花弁に紛れて獲物を待つ個体もいます。長時間待ち、近づいてきた獲物に忍び寄り、素早くカマを繰り出して、カマに生えたトゲで獲物を捕らえます。捕らえられた獲物は逃げ出すことができず、そのまま捕食されてしまうのです。この「待ち伏せ」という習性が、カマキリを農業に活用する上で大変重要になってきます。

 

 

 

■カマキリ農法

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カマキリ農法とはカマキリに害虫を捕食させることで、農薬を使わないで害虫駆除を実現する農法です。カマキリは「待ち伏せ」によってエサを捕獲します。あまり動かないカマキリは農地に定着しやすく、虫を食べ続けてくれるのです。中国では180万匹以上のカマキリを放してカマキリ農法を実験した記録があります。農薬の使用を抑えて農作物の収量が増えるなど、良い影響がありました。

カマキリ農法を行うには、カマキリの卵鞘が必要です。卵鞘を入手するには、秋の畑に行くのが良いでしょう。畑の野菜の残渣などに卵鞘が付いている事があります。特にアスパラガス・モロヘイヤ・オクラなどに付きやすいので、注意して見てみましょう。卵鞘を発見したら持ち帰り、できれば屋外の寒いところで保管します。温かいところで保管すると、春を待たずに孵化してしまうからです。翌年の春になったら畑に卵鞘を戻しましょう。害虫の多いところに置くのが効果的です。カマキリは行動範囲が狭いので畑に定着しやすく、長期的に害虫を駆除してくれます。

 

 

■まとめ

カマキリ農法を使えば農薬の使用量を少なくしたり、無農薬で野菜を作ったりすることができます。しかし、農薬を使いたくないからと言ってカマキリの数を必要以上に増やしてしまうと、その付近の生態系に悪影響を及ぼすかもしれません。物には限度があるので、カマキリ農法で害虫を駆除する場合は、カマキリの投入数に注意しましょう。

また、カマキリは益虫と思われがちですが、害虫だけでなく他の益虫も食べてしまうという欠点があります。益虫の中には作物の成長に必要な種類もいるので、カマキリ農法が悪い方に働く可能性もあります。カマキリ農法は万能ではありません。思った効果を得られないこともあるので注意してください。

 

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