おいしい作物に猪突猛進! イノシシ被害の対策まとめ

おいしい作物に猪突猛進! イノシシ被害の対策まとめ

農作物を荒らす動物というと、カラスなどの鳥類をイメージする人も多いでしょう。その考えは間違っていません。カラスによる農作物の被害額は16億5100万円にもなります。(平成27年度)

しかし、実は哺乳類による被害の方が多いのです。1位はシカによる被害額で、59億6100円に登ります。2位はイノシシによる被害額で、51億円となっています。(全て平成27年度分)

シカとイノシシによる被害額は、全体の8割近くに及びます。驚くべきことに、イノシシが荒らした農地の面積は、シカが荒らした農地の面積の5分の1以下しかありません。つまり、少ない面積の田畑を徹底的に荒らすのがイノシシなのです。この記事では、イノシシによる獣害を防ぐ方法をご紹介します。

■イノシシ被害が増える原因は?

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イノシシによる被害額が多い理由は、主に3つの原因があります。まずはイノシシの繁殖力です。2年で性成熟して年に4~5頭の子供を産みます。妊娠率はほぼ100%で、交尾すればほぼ間違いなく数が増えます。イノシシの幼獣の生存率は1歳までに50%とされています。

しかし、田畑を荒らす幼獣の生存率は高くなると考えられます。イノシシの数は駆除するよりも早く増えます。天敵もほとんどいないため、数のコントロールが難しいのです。

2つ目に林業の衰退が挙げられます。かつては林業のおかげで、山林は枝打ちがされ、下草が刈られていました。山林は管理されていたので、動物達は人の手の入っていない隠れ家を求めて山の奥に住んでいたのです。ところが、外国から安い材木が輸入されるに従い、林業は衰退しました。管理する人間がいなくなった山林は荒れ放題になり、イノシシのエサや身を隠す場所が増えました。イノシシの活動範囲が広がったため、人里の近くにまでイノシシが来るようになったのです。

3つ目は、農家の方の高齢化です。高齢者が増えたことで、イノシシから農作物を防ぐために柵を作ったり、イノシシを駆除したりするためのマンパワーが足りなくなりました。狩猟免許を持ったハンターも高齢化とともに減少し、ますますイノシシの数は増えています。結果として、増えたイノシシが餌になるものを田畑を荒らすようになったのです。これらを解決することは難しく、今後もイノシシ被害は増えると思われます。

 

 

 

■対策

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では、具体的にどうやってイノシシの被害を防げばよいのでしょう。ここでは、イノシシの被害を防ぐためのツールをご紹介します。

防獣ネットや電気柵

イノシシの侵入を物理的に遮断するための柵を作ります。防獣ネットはポピュラーな防衛策ですが、万全ではありません。イノシシはかなりジャンプ力があり、1m以上の柵でも飛び越えてしまいます。やわな柵だと柱ごとなぎ倒しますし、柵の下を掘って田畑に侵入することもあります。電気柵はイノシシが触れただけで電気的な刺激を与えて追い払えるので、かなり有効な方法ですが費用が高額です。また、下草が伸びて電気柵に触れたままだと電気が地面に逃げてしまうので、定期的に下草を刈るなどのメンテナンスが必要となります。

音や光で威嚇

イノシシが嫌う光の点滅や超音波でイノシシを追い払います。例えば夜行動物にアピールする青色LEDライトを夜間に点滅させ、イノシシを驚かせるグッズがあります。街頭のない農地であれば、ライトが目立つため遠くからでもイノシシが認識し、勝手に逃げていきます。人間には聞こえない超音波を出す機械を設置し、夜間に起動させるのも効果的です。動物には嫌いな音があります。人間で言えばすりガラスを引っかく音です。イノシシは聴覚が非常に優れているので、遠くにいても嫌がって去っていきます。人間の可聴域外の超音波を扱うので、近所迷惑になりません。ただし、近所に動物を飼っている家がある場合には影響が出る可能性もあります。

柵や音による防御策では、イノシシを追い払うだけでイノシシ自体の数を減らすことができません。イノシシそのものの数を減らすためには、罠で捕まえて駆除するのが1番です。しかし、罠を仕掛けるには様々な法的規制があります。自治体によってルールが違うので、罠の使用を検討する際には自治体の担当窓口に問い合わせてみましょう。

 

 

■まとめ

イノシシをはじめとする獣害は、農業を行う上で避けては通れない課題です。イノシシが増えた原因である農業人口の高齢化や林業の衰退は今後もますます深刻化し、イノシシによる被害はさらに多くなることが容易に想像できます。

一方で、獣害の増加に伴い、イノシシの被害を防ぐ商品は年々新しくなっています。昔では考えられなかった方法でイノシシ被害を防止するアイデア商品も、年を重ねる毎に増えてくるでしょう。どの商品にも一長一短ありますが、農地の場所やイノシシの行動を分析して商品を選択し、適切に使うことで大きな効果を得られます。少しでもイノシシの被害を減らすために、できる努力は欠かさないでください。

 

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