2018年は台風が日本列島に上陸し、さまざまな地域で大きな被害をもたらしました。台風によって農地が被害を受けるだけでなく、農業用倉庫が損壊する事態にあった人も少なくないのではないでしょうか。毎年のように猛威を振るう台風被害を少しでも減らせるように、本記事では農業用倉庫が台風で損壊した際にかかる修理費用や補助金について紹介していきます。
台風被害で損壊した農業用倉庫の修理費用は?
損壊具合にもよるため「台風被害で損壊したら何十万〜何百万円かかる」と一概には言えません。しかしある施工業者による台風被害で損壊した車庫の修理の様子を見てみると、雨水対策と補修に約100万円かかっていることがわかりました(参考文献)。しかし損壊具合によって費用が決まってくるのか、その他の事例では大まかな費用を確認することはできませんでした。
台風被害で損壊した農業用倉庫に補助金は出るの?
日本政府による支援や地域ごとが行なっている支援、また全国農業共済協会やJA共済に加入することで得られる金銭的支援について紹介します。
台風被害に対する農林水産省の動き
損壊具合によりけりな修理費用ですが、台風被害に遭われた方のためにさまざまな制度が紹介されています。平成30年10月31日に農林水産省は、台風24号の被害に遭われた人のためにさまざまな支援対策を打ち出しています。例えば「共済金の早期支払」です。損害評価を迅速に行うことで、農業共済に入っている人への早期支払を実施しました。
地域による支援も
舞鶴市では「農機具等農業設備復旧支援事業」という農業機械等の修理に必要な経費や農業用倉庫の修理等の補助が行われました(参考文献)。対象事業費は30万円以上で、補助率は豪雨被害の場合は3/10以内、平成29年度の台風と連続被災の場合は4/10以内と条件付きではありますが、限度額50万円で受けられる補助がありました。また対象事業費が30万円未満であっても、
事業費 30 万円未満は“農業者等復旧応援事業(府事業)”「別紙」を参照
とあったため、事業費が少ない場合でも、別の方法で補助してもらえる可能性が考えられます。
建物共済
全国農業共済協会には「建物共済」というものがあります。「建物火災共済」と「建物総合共済」の2種類あり、前者は主に火災等事故を補償対象としています。後者は火災等のみならず地震や風水害等、自然災害も保証対象にしています。台風被害経験者や台風被害の備えを考えている人は後者がベストです。
建物共済に加入できるものは
- 農家(※)が所有し、または管理する
- 建物(電気・ガス・水道・冷暖房設備などの付属設備を含みます。)
- 建物に付属する門・垣・塀などの工作物
- 建物内に収容されている家具類及び農機具
引用元:建物共済 農業共済事業
と書かれているので「農業用倉庫」もそのひとつです。
加入できる限度額は、建物1棟につき「建物総合共済」は4,000万円です。支払われる額は、台風被害(風水害・雪害・土砂崩れ等の自然災害)を受けた場合、
- 損害共済額=損害の額×共済金額/共済価額(再取得価額)
※損害の額が共済価額(再取得価額)の80%以上のとき
もしくは
- (損害額ー共済価額(再取得価額)の5%に相当する額、または、1万円のいずれかの低い額)×共済金額/共済価額(再取得価額)
※損害の額が共済価額(再取得価額)の80%未満のとき
となります。
JA共済
JA共済には、台風被害によって建物が損壊したときのための「建物更生共済 むてき」が紹介されています。損害割合に応じて共済金が支払われるので、台風によって農業用倉庫が損壊してしまっても、全額負担する心配は解消されます。
参考文献
1,屋根リフォーム:台風被害の車庫修理 新城市
2,台風第 24 号による農林水産関係被害への支援対策について 農林水産省
3,舞鶴市 農機具等農業設備復旧支援事業
4,建物共済 農業共済事業
5,農業者のみなさまへ JA共済のご案内