自分の所有する農地に、農業用機械や資材をしまうための農業用倉庫を建てたい場合、何か特別な申請や許可は必要になるのでしょうか。
またどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか。
本記事では自己所有の農地に農業用倉庫を建てる場合に必要な申請やその仕組み、費用についてお話しさせていただきます。
農業用倉庫を建てる際の申請について
農地に農業用倉庫や作業場など、農業用建築物を設置する場合には、基本的に
「農地法の手続き」「建築基準法に基づく建築確認申請の手続き」が必要になります。
ただし条件によっては不要になる場合もあります。自己所有の農地に倉庫を建てる場合については後述しますが、基本的には「設置のために必要な手続きはある」と覚えておいてください。
特に建築物申請を建築する場合には、工事に入る前に建築確認申請の書類を提出する必要があります。ここで言う「建築物」の中に、農業用物置等も対象となっています。建築基準関係規定に適合しているか否かなどを調べる書類を提出しなければなりません。
自己所有農地でも申請は必要?
結論から言うと、農地法の手続きに関連する”許可”は不要ですが、農業用倉庫を建設する以上、さまざまな手続きが発生します。
農業用建築物を設置する場合には「農地法の手続き」「建築基準法に基づく建築確認申請の手続き」が必要だと紹介しました。農地法においては、本来自己所有農地を農地以外にする場合、農地法4条の許可が必要になるのですが、
・国または都道府県が権利を取得する場合(※例外あり)
・土地収用法により収用される場合
・自己所有の農地(2a未満)を農業用施設に供する場合
・市町村が道路、河川、堤防、水路等にする場合”
※引用元:宅建解説(法令上の制限):農地法 幸せに宅建に合格する方法
においては許可不要となります。
そのため、表題の「自己所有の農地に農業用倉庫を建てるのに申請は必要?」という問いに関しては、2a(200㎡)未満であれば”許可”は不要になります。
が、その分、必要になるのが「農業用施設証明」です。農業用施設証明は、自己所有の農地に農業用倉庫などの農業用施設を建てたいとき、「2a(200㎡)未満の農地」「転用目的が農業用施設」である際、必要になります。”この手続きによって”、農地法4条許可が不要になるのです。
”許可”は不要と書きましたが、先述した通り、農業用倉庫という「建築物」として扱われるものを建てることになるため、「都市計画法」の手続きは必要です。
「農地法の許可は不要だけど、農業用施設証明が必要で、都市計画法の手続きが必要で…」結局どれが必要でどれが不要なのか頭がこんがらがってきましたね!まずは一度、それぞれの手続きに関連する相談窓口に問い合わせることをおすすめします。地域ごとに相談窓口の設け方は異なると思いますが、
<手続き内容> | <相談先の例> |
農地法について | 農業委員会等 |
建築確認申請について | 建築事務所、市区町村の建築課等 |
都市計画区域について | 市区町村の都市建築課等 |
建築基準法上の道路について | 市区町村の建築住宅課等 |
に相談してみましょう。
農業用倉庫を建てるのにかかる費用
農業用倉庫を建てるのに気になるものといえば、建設にかかる費用です。
この費用は農業用倉庫を販売している会社や建設業者によって異なります。
弊社では、軒高3mの標準タイプの小さいサイズで「設計価格794,000円」間口がワイドなタイプで小さいものは「設計価格1,312,000円」と紹介されています。ある建設会社が販売する鉄骨式倉庫の場合、20坪の大きさの倉庫が「建築確認申請」や建設費用込みで税込290万円でした。他の会社では、もっとも安いモデルで398万円というところもあります。
ただし、いずれの会社も無料見積もりサービスを実施しています。
かかる費用の見える化が期待できますから、気になる方は無料見積もりサービスを活用しましょう。実際、自己所有の農地や倉庫の規模に応じて価格は変わるものです。また各種手続きを代行業者に頼む場合には、その代行費用もかかることを忘れないでくださいね。
農業に関する費用のお役立ちコラム
今回は「自己所有の農地に農業用倉庫を建てる」ことについてお話ししてきましたが、所有している車庫を農業用倉庫として利用している人も決して少なくありません。
そんなとき気になるのが、農業用倉庫として利用している車庫は経費で落とせるのか?ということです。
結論から言うと、”農業用”として利用しているということは農業に必要なものと言えるため、車庫の維持費も農業に関する必要経費として表すことができます。ただし、車庫に車を駐車し、その余ったスペースを活用している場合には、使用割合に合わせて経費を按分する必要があります。