2022年5月28日に発売された週刊ダイヤモンド編集部『儲かる農業2022 週刊ダイヤモンド 2022年 5/28号』(ダイヤモンド社、2022年)に「役立ったツール・期待外れだったツールランキング」が掲載されています。
本記事では、その中でも注目度の高いツールについて、どんな人に使いやすいツールなのかといった特徴を紹介していきます。
人気の会計ソフト5選
「役立ったソフト・アプリランキング」10位以内に、会計ソフトが5つランクインしています。順位の高い順に
- 農業簿記(ソリマチ株式会社)
- freee会計(freee株式会社)
- マネーフォワード クラウド(株式会社マネーフォワード)
- 弥生会計(弥生株式会社)
- らくらく青色申告農業版(株式会社セーブ)
となっています。
上記を見てもわかる通り、会計ソフトは必ずしも農業専用でなければならないというわけではありません。農業簿記に対応しており、農業所得の確定申告ができる会計ソフトであれば活用できます。
会計ソフトには「クラウド型」と「インストール型」があります。クラウド型の場合、ネット環境が必要になりますが、アカウント登録を行えばすぐに利用することができ、ログインするだけでいつでもどこでも帳簿にアクセスすることができます。インストール型はソフトをインストールしたパソコンでのみ利用できるもので、インストール後もバックアップやアップデートなどの手間はかかりますが、オフライン環境でも利用できるのが利点です。
上記でクラウド型はfreee、マネーフォワード クラウド、弥生会計(弥生会計 オンライン)で、インストール型は農業簿記とらくらく青色申告農業版です。弥生会計にはインストール型もあります。
会計ソフトはそれぞれに特徴があり、機能や料金も異なります。そのため、実際に会計ソフトを利用する人の会計に関する知識や必要とする機能で選ぶことをおすすめします。
たとえばクラウド型の場合、freeeは最小限の簿記の知識があれば利用できます。日々の会計作業をグッと楽にしてくれる自動取込やデータの連携を求めているのであれば、マネーフォワード クラウドが使いやすいはずです。会計ソフトの老舗で、従来の会計方法を踏襲している方が使いやすいと感じる場合には弥生会計がおすすめです。
また農業簿記のソリマチ株式会社は農業簿記に関するオンラインセミナーを開催しています。未購入者向けとユーザー向けに分かれたオンラインセミナーでは、パソコンで行う簿記の基本や農業簿記の操作方法に関するデモンストレーションが行われています。
いつデモ近くに農業簿記(オンラインセミナー) – ソリマチ株式会社
なお、freee会計は「役立ったソフト・アプリランキング」でも同誌の「期待外れだったツール・サービスランキング」でも2位となっています。
役立ったと評判のサービスでも、その内容とユーザーとの間にミスマッチが生じると期待はずれになってしまうわけですから、会計ソフトを選ぶ際は、欲しい機能や価格帯からいくつか候補を選んだら、体験版などで実際に触れてから決めることをおすすめします。
労務管理、経営管理で気になるアプリ
agri-board(株式会社はれると)
agri-boardは施設園芸向けの労務管理システムです。作業者がタブレット端末に作業内容や収穫量、希望シフトなどのデータを入力することで、データが自動集計され、作業の進捗の「見える化」や適切なシフト作成が可能となるツールです。agri-boardは労務管理の時間短縮につながります。公式サイトでは、agri-boardの利用で労働効率が改善され、年間2万時間の総労働時間の削減、2,000万円以上のコスト削減を実現した事例も紹介されています。
アグリノート(ウォーターセル株式会社)
アグリノートは、圃場や農作業などに関する情報を記録・集計・出力できる営農管理ツールです。アグリノートは個人でももちろん利用できますが、組織全体での利用がより便利です。アグリノートに入力された情報はインターネット上で保存され、組織内で簡単に情報共有できます。アカウント数に制限がないのも特徴です。公式サイトの導入事例集には、どのような経営規模の経営体がどう活用しているのかを知ることができます。
アグリハブ(株式会社Agrihub)
アグリハブは作業管理アプリであり、魅力的なのは全ての機能を無料で利用できるという点です。登録数の制限もありません。アグリハブでは、作物ごとに作業記録をつけられる他、農薬検索機能、登録された農薬情報をAIが計算し、残りの散布化膿回数や適正使用回数などを自動で表示する農薬管理機能、売上や出荷を管理する機能もあります。Appleが運営するアプリケーションダウンロードサービスApp Storeの評価が高いのが印象的です。
アグリオン(ライブリッツ株式会社)
農業日誌アプリAgrion(アグリオン)は、スマートフォンで記録をつけると農薬使用記録などのレポートを出力することができます。営農管理ツールという点では先で紹介したアグリノートとよく似ていますが、入力作業の簡便さが魅力といえます。アグリオンを使用する際、最初に圃場の場所や具体的な作業内容など、自分の営農環境を登録する作業を行います。その後は、作業を行う前に登録した圃場を選び、作業を選択し、作業者の名前を選び……と選択肢をタップするだけでラクに記録できます。
歴史ある表計算ソフトも!
「役立ったソフト・アプリランキング」の16位にマイクロソフト(英: Microsoft Corporation)の表計算ソフト「エクセル」とグーグル(Google Inc.)の「スプレッドシート」がランクインしていました。インターネット上には、農業日誌や農作業記録に役立つフリーソフトやテンプレートが紹介されています。便利なツールもたくさん登場していますが、シンプルな表計算ソフトも注目です。
参考文献
- 週刊ダイヤモンド編集部『儲かる農業2022 週刊ダイヤモンド 2022年 5/28号』(ダイヤモンド社、2022年)
- 農業用の会計ソフトとは?その特徴を解説 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識
- アグリボード – agri-board
- アグリノート
- 新米農家は記録が肝心! 「アグリノート」を使ってみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第5回】 | 農業とITの未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」
- アグリハブ
- アグリオン