新規就農者を増やすカギとなるか。定住促進ICTで住みやすい農村へ

新規就農者を増やすカギとなるか。定住促進ICTで住みやすい農村へ

農業従事者の高齢化による後継者不足や耕作放棄地の増加が課題となっている今、農林水産省は新事業を打ち出しました。その内容は、都市と比べて買い物や交通面で不便さを感じるという理由で若者が就農を見送ることのないよう、生活条件が充実した地域づくりに乗り出すというものです。

そこで活用されるのが情報通信技術(ICT)です。

本記事では新規就農者を増やすことが期待される「定住促進ICT」の活用と、農村の現状、新規就農者や若者が農村に定住するにはどうすべきかということについて紹介していきます。

 

 

定住促進ICTの活用とは

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生活条件が充実した地域づくりへは、新事業「スマート定住条件強化緊急対策」で対応します。2019年には選出されたモデル地区が抱える生活面での課題とICTを活用した対策を示唆、具体化への計画を立てて、実現を目指します。

交通面での活用が具体的な例としてあげられています。商店のなく買い物がしにくい地域に向けた移動販売サービスや、公共交通が乏しい地域へのバス送迎予約サービスなど。1年間計画してまとめた案を2年目以降実行に移すという流れです。計画時には、新規就農者などの増加目標値など、具体的な数値を盛り込むようです。

 

 

農村の現状

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少々昔のデータにはなりますが、農林水産省が発表した「農村の現状」によると、平成22年における日本の人口は1億2,806万人。農業地域類型別に見ると、

  • 都市的地域  1億77万人
  • 平地農業地域 1,260万人
  • 中間農業地域 1,086万人
  • 山間農業地域 384万人

となっており、人口の約8割が都市的地域に集中していることがわかります。平成12年から10年間の人口推移によると、都市的地域の人口が3%上昇しているのに対し、平地農業地域は4%、中間農業地域は8%、山間農業地域は15%と減少しています。

「農村の現状」では、農村を含む地方の人口減少が続いていることが示唆されています。その要因は「人口減による商店や医療機関の撤退」「それに伴い、生活環境がネックとなっている」ことではないかと推測されています。

 

 

ICT活用への期待

農林水産省が期待する「定住促進ICT」の活用ですが、実際にICTを活用する企業等ではその効果を実感しているところも多いようです。
「平成29年版 情報通信白書 第3節 地方創生とICT利活用」には、ICT導入でその効果を実感する地方企業について記されていました。直近3年間の売上高の増減を調べたところ、ICT導入スコアが高い企業ほど、直近3年間の売上高の増加が多い傾向にあるとわかっています。”ICT活用に積極的であるほど、良好な業績を得ている”とあります。これは売上高の増減だけでなく、従業員数の増減にも関与しています。ICT導入スコアが高いほど、従業員数も増加する傾向にあるのです。

地方企業の売上高、従業員数の増減について記されていたのには理由があります。地方から人口が流出する要因として”地方には都市圏と比べて良質な雇用がない”ことが示されています。都市から地方へ移住してきた人が定住するためには、安定して働ける環境を用意することが重要なのではないでしょうか。そのためには良質な雇用体系をもつ企業の存在が重要と言えます。ICT活用がここで結びつきます。定住を望む地方や農村こそ、もっと積極的にICTを活用すべきなのではないでしょうか。

 

 

農業×ICT、定住×ICTの相性の良さ

2014年に内閣府が実施した「農山漁村に関する世論調査」によると、都市圏で暮らす住民の3割に「農山漁村へ移住したい」という気持ちがあることがわかりました。ICTはここでも役立ちます。移住を望む人たちへの情報提供に役立てることができるのです!

「定住促進ICT」の具体例、交通面へのICT活用など、さまざまなICT活用を実現することができれば、都市圏から地方へ移住してくる人を呼び込めるだけでなく、地方に住む人々が流出するのを防ぐこともできます。地域資源を活かした商品の販路を外へ広げていくのにも役立ちます。

 

 

定住促進で重要なこと

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「定住促進ICT」活用について紹介してきましたが、最後に「定住促進」において最も大事なことについて紹介します。「自治体ポータル」というサイトより『「ICT×山間部の定住促進」を考える』という記事がありました。そこでは情報通信のインフラ、本記事でいうICT活用だけでなく、コミュニケーションも重要だということも紹介されていました。

農村含む地方で若者の流出が目立つ地域は、その要因に若者が望む仕事がない、交通の利便性など「生活環境の困難さ」があげられています。しかし要因はそれだけではないと言います。
地域の特性や環境に馴染めないことも要因のひとつとしてあげられています。若者の意見を尊重し、若者をサポートする年長者の存在、若者との会話を喜んでくれる高齢者の存在も、「定住促進」には重要なのです。

インターネット上で定住者のブログを見かけることがありますが、ポジティブな内容ばかりではありません。よそ者をよそ者扱いする地域で息苦しさを感じ、定住することができずに都市圏に戻る人も決して少なくありません。

若者を受け入れる地域が、世代を超えたコミュニケーションをはかってくれるかどうかも重要なのです。

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