ロボットやAI技術を活用するスマート農業を取り入れることで、効率的な生産や農作業の省力化が期待されています。とはいえ、スマート農業は普及を広めている段階であり、まだまだ体力を必要とする作業に追われる農業従事者は多いことでしょう。
体力を必要とする農業
農作業中の動作には
- しゃがんだ姿勢での作業
- 前屈み状態での作業
- 上を向いて行う作業
- 重量物を扱う作業
など身体的な負担を与える作業が多々あります。
身体的負担から現れる症状として典型的なのが「腰痛」。
腰痛の労災認定によると、成人男性が自身の体重の0.4以上の重量を持ち上げたときに発症した腰痛は労災となります。体重60kgの男性の場合、体重の0.4以上の重量は24kgとなります。女性の場合は体重の0.6以下と定められています。
ですが、例えば米農家の場合、出荷する米袋の重さが労災認定の基準値を超えていることも。30kgの米袋を持ち上げるときには、本来は体重75kg以上ある成人男性が持ち上げなければなりません。このような現状から、農業には体力のいる場面が多々あることが分かります。
また自然環境に左右される農法の場合、その作業環境が負担を与えることもあります。例えば
- 早朝作業
- 夜間作業
- 炎天下での作業
- 温度差が生じる作業
- 労働時間が長引く作業
など。
農家の疲労を軽減する重要性
農業を営んでいるわけですから「休むわけにはいかない」と仕事に励む人も多いと思います。ですが、疲労の蓄積は体に悪影響を及ぼします。
タイミングよく休息をとれば、疲労回復もはかれます。疲れたとき、ちょっと手を休めたり、昼寝をしたり、夜しっかり睡眠をとったりすれば、その休息によって疲労は回復します。
しかし必要な休息をとらずに作業を続けてしまうと、疲労は進行してしまいます。働きすぎや睡眠不足は疲労の蓄積や慢性化を引き起こします。疲労の蓄積や慢性化は疾病の原因となったり、最悪のケース、すなわち「過労死」が起こる可能性も否めません。
体力が必要になる農業で、日常的に疲労を軽減するよう心がけることは、生業を継続させるだけでなく、自身の体にとっても重要なことなのです。
農家の疲労軽減アイテム4選
動力なしのアシストスーツ
労働負担を軽減するアイテムとして注目を集めているアシストスーツ。実際に着用してみると、確かに作業負担は軽減されるのですが、モーターやバネなどの動力が組み込まれていることによりアシストスーツ本体が重かったり、高価だったりするところがネックでした。
そんな中、動力なしで体をサポートするアシストスーツが登場しています。
まず1つ目が「レイボ エクソスケルトン」です。
モーターやバネではなく、装着者自身の運動エネルギーを動力源として利用します。装着者自身の力を再利用する独自のシステムで、前屈み状態での作業にかかる肩や腰への負担を軽減します。
「レイボ エクソスケルトン」は約2.8kgと比較的軽量で、ジャケットを羽織るようにして装着できる簡便さも魅力です。電源やバッテリーもなく、誰が装着しても活用できるのが特徴です。動作が制限されることもないので、前屈姿勢のまま左右に体を動かすなどの動作もラクラク行えます。
もう1つご紹介したい動力なしのアシストスーツは「サポートジャケット」です。
ユーピーアール社が開発したアシストスーツで、これも動力源はなく、着るだけで負担を軽減します。こちらのスーツは体に負担のかからない「良い姿勢をサポートする」ことが特徴です。
「サポートジャケット」は、腰回りを大きなベルトで包むようなデザインなのですが、この包み込むようなデザインによって腰の負担が軽減されます。600gという軽さも魅力のひとつ。背骨に当たるパーツを外すことで洗濯機で洗うこともでき、衛生面でも魅力的な特徴があります。
もっと手軽に取り入れられるサポートタイツ
「動力なし」であっても、アシストスーツは少し仰々しいと感じる人もいるかもしれません。そんな人には、もっと手軽に取り入れられるサポートタイツがおすすめです。
スポーツ選手などがズボンの下に履いているタイツがまさにサポートタイツです。サポートタイツは膝や腰など、下半身の疲れを軽減してくれるアイテムです。スポーツや登山などで愛用されるアイテムですが、疲労が蓄積しやすい農作業にも活用できるアイテムなんです。
農作業で使うサポートタイツを探す場合には、膝・腰などへの疲労軽減効果だけでなく、「吸汗性」や「保温性」などの特徴にも注目すると、快適に着用することができます。
Goldwinが販売している「C3fit高機能スポーツタイツ（インパクトエア）」は腰や膝をしっかりとサポートするだけでなく、軽さと高い通気性をもったタイツです。
立ち作業中の疲労軽減に役立つ、疲労軽減マット
体に身に付けるものだけが疲労軽減アイテムではありません。足腰の疲労を軽減するアイテムとして、作業場の足元に敷くマットを替えるのも効果的です。
立って作業をする際、疲労が蓄積していくと、足の疲労が腰に、腰の疲労が肩にと、体全体に疲労がまわってしまいます。そんなとき、疲労軽減マットを用意すると、体重による負担を吸収することができます。
矢崎化工が販売する「疲労軽減マット」は、その高いクッション性で体重負担を軽減。立ち仕事でかかる足腰の負担を軽減してくれます。
ロボットやAI技術を活用するスマート農業がよりいっそう浸透すれば、機械が農作業を代行してくれるかもしれません。そうなれば、マットやタイツ、アシストスーツなどのアイテムを用意する必要もなくなるかもしれません。
ですが、自身が作業に徹する以上は、自身で体調や疲労回復を管理する必要があります。疲労を蓄積しないよう休むことを意識し、疲労軽減アイテムなどを活用して、疲労を溜めないよう心がけましょう。
参考文献
