帳簿付けを楽にする。クラウド会計ソフトのススメ

農業を行う際、その仕事内容は農作物の生産管理だけではありません。帳簿をつけ、経営状況を把握し、今後の経営について考えることも仕事の一つです。しかし帳簿付けに時間を割くのは正直億劫という人は少なくないはず。

そこで本記事では、そのような面倒な作業を軽減する便利なアイテム「クラウド会計ソフト」についてご紹介していきます。

クラウド会計ソフトとは

パソコンなどを用いて利用する「会計ソフト」には、パソコンにインストールするものがありますが、「クラウド会計ソフト」の場合はブラウザ※から利用できます。ソフトにもよりますが、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンからも利用できます。

※インターネットを閲覧するためのソフトのこと。Google chromeやsafariなどが挙げられます。クラウド会計ソフトはインターネット環境が整っていれば利用できるため、専用ソフトをインストールする手間を省くことができます。

クラウド会計ソフトの便利な点

後述しますが、クラウド会計ソフトの利点を活用するためには、いくつか事前準備が必要になります。しかし事前準備を行ってしまえば、記帳の手間を格段に減らすことができます。

クラウド会計ソフトの利点には

• 取引データの自動取込み
• 取引データの自動仕訳

が挙げられます。

自動取込みとは、インターネットバンキングやクレジットカードを利用して取引を行った際、その取引データ（例えば取引日や取引金額、取引先や購入品などの情報）を、クラウド会計ソフトが自動で取り込んでくれる機能のことです。

これにより、レシートなどから情報を1つ1つ手で打ち込む必要がなくなり、また手打ちすることで発生しやすい日付や金額の打ち間違いを防ぐことができます。ソフトによっては、専用のスキャナやスマートフォンアプリによる画像取込み機能が用意されていることもあるので、現金で取引を行っても、レシートを撮影する等の方法でデータをソフト内に取り込むことができ、手で打ち込むよりも楽に作業ができます。

次に自動仕訳です。これは取り込んだデータから自動的に勘定科目や取引先を予測し、提案してくれる機能です。勘定科目や取引先などの入力ミスを防いでくれるだけでなく、仕訳が過去の履歴に沿って行われることで「〇〇の勘定科目は何だっけ？」「△△の勘定科目は車両費だっけ？燃料費だっけ？」というような迷いも解消されます。

クラウド会計ソフトを使うとこんなに変わる！

クラウド会計ソフトを導入した場合とそうでない場合に考えられることを以下に記します。

クラウド会計ソフト導入に必要な準備

先でも少し書きましたが、クラウド会計ソフトの恩恵をしっかり受けるためには、ソフトと取引に使う銀行口座やクレジットカードを紐づける必要があります。インターネットバンキングなどを活用するよう心がけましょう。そして現金での決済を極力抑えるのもポイントです。

どうしても現金決済が発生する場合には、領収書管理にも工夫を！

現金決済をするな、とは言いませんが、効率の良く作業を行うためには工夫が必要です。

例えば、取引で生じた領収書を分類せずにまとめていませんか？まとまっていないよりは、まとまっているほうが断然良いのですが、分類せずにまとめておくと、仕訳作業をする際、まず分類してからでないと記帳を進められない……ということになってしまいます。

そこで領収書の分類（仕訳）は、領収書が発生した時点で行います。

分類の方法には

• ノートに貼り、余白に分類等説明を書く
• 分類別に用意した封筒やポケットファイルに入れる

などが挙げられます。自分に使い勝手のいい方法を取り入れましょう。

経営改善に取り組みたい人は

農業経営改善といえば見逃せないのが「阿部梨園の知恵袋」です。こちらで公開されている内容は書籍『東大卒、農家の右腕になる。 小さな経営改善ノウハウ100』にもまとめられています。農業従事者に限らず、効率の良い経営に取り組みたい人には参考になる情報ばかりですので、ぜひチェックしてみてください。

参考文献

1. 『農業ビジネスベジ 2021 Vol.32 冬号』（2021年2月、イカロス出版）
2. 阿部梨園の知恵袋｜#026 領収書の管理