暑さや寒さ、台風や豪雨、豪雪といった気象変化は、農作物の生育や農作業に大きな影響を及ぼします。近年では猛暑日(日最高気温が35度以上の日)の年間日数が徐々に増えていたり、気象情報を伝えるニュースなどで「記録的」といったキーワードが聞かれることが多くなったりと、厳しい気象条件が続いています。
そこで本記事では「農業従事者は知っておきたい!」と題し、さまざまな気象の影響を受ける中で心がけておきたいことや便利な気象情報サービス、アプリをご紹介していきます。
厳しい気象が続く中で心がけておきたいこと
まずは気象に対する基本的な心構えについてです。
気象は自然界の事象であり、農作物の生育や農作業に影響するのを防ぐために、気象そのものを変化させることはできません。
そこで、あらかじめ自然災害を想定した計画を立てることが重要です。
自然災害が起きた後で危機的状況に陥らないためには、危機を想定した具体的な計画をたて、その計画に従って行動しましょう。そのことが、厳しい気象により悪影響が及んだ場合のストレス軽減、復旧作業の効率を高めることにつながります。
そのために心がけておきたい事項を以下に示します。
- 自然災害発生前に作業を見直す
例:冠水防止のために圃場の排水性を確保しておく、収穫間近の作物は早めに収穫するなど - 農場に関連するデータ(作物の生育状況〜請求書など)をどのように保管し、どこに保存すべきか考える
- 自然災害が起きた後の自分や家族、従業員の役割分担を考える
- 圃場の位置や方向を示す地図の用意
- 保険の種類や条件を考える
- 応急処置キットの準備
- 自然災害で起こりうる事故に備え、家族や従業員にCPRトレーニング(素性トレーニング)を実施
- 自然災害が起きた時、どのような地元組織(消防署、警察)に連絡すべきかの確認など……
また計画を立てたら、必要な時に誰もが確認できるよう、関係する人たち全員に伝えることも重要です。
知っておきたい「天気図」のこと
後ほど、農業従事者におすすめの気象情報サービスについては紹介しますが、まずは「天気図」について紹介していきます。
天気図とは
広い地域で同時刻に観測された気圧・気温・風向・風力・天気などを天気記号で記入し、さらに等圧線・前線などをかき込んだ地図。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
のことです。
後述するサービスを利用して天気を知るのもおすすめですが、天気図を理解できるようになると天気の「傾向」が分かるようになり、より深く天気の情報を農作業に活かすことができます。
例えば「高気圧・低気圧」といったキーワードは、普段ニュースの天気予報などで目にするため比較的馴染み深いと思いますが、これらがどのような天気を表しているのかが理解できると、天気のパターンは読みやすくなります。
高気圧は中心に下降気流があるため、上空には雲ができません。すなわち良い天気です。一方、低気圧は中心付近に上昇気流があり雲ができやすく、それらの雲によって雨が降ります。そのため天気予報で「◯◯から低気圧が近づき」と聞こえたら、これから天気が悪くなることを予想できます。
ニュースの天気予報などで目にする天気図にはたくさんの線が引かれています。これは等圧線といい、同じ気圧の地点が結ばれたものです。この等圧線からは風の強弱を読み取ることができます。等圧線が混み合っている地点は風が強いことを示します。
天気図について知識を深めておけば、自分で晴れるか否か以上の情報を引き出すことができます。
学校向けに、学校放送番組やウェブサイトなどのサービスを展開する「NHK for School」では小学校〜高校までのさまざまな教科に関する動画を閲覧することができます。天気の変化に関するわかりやすい動画もあったのでぜひ見てみてください。
日本の気象|10min. ボックス|理科2分野|NHK for School
天気の変化|10min. ボックス|理科2分野|NHK for School
気象情報サイトやアプリが活用できる!
ここからは、農業従事者におすすめの気象情報サイトやアプリを紹介します。
気象庁のホームページでは、気象に関するデータや資料、地域の情報を得ることができます。トップページ上部にある「各種データ・資料」をクリックすると、「気象」という項目の下の方に「農業気象ポータルサイト」とあります。
ここには農業分野に役立つ様々な気象情報がまとめられています。PDF形式の「農業に役立つ気象情報の利用の手引き」には、各地域の特性に応じた「気象情報の入手方法」や「農業気象災害が発生しやすい気象条件」などが掲載されているので、自分が住んでいる地域の情報に目を通しておくことをおすすめします。
トップページ上部にある「地域の情報」をクリックすると、各地域のリンクが貼られています。自分の地域をクリックしてみてください。開いた先で「天気予報」をクリックすると、週間天気予報のほか、雨雲の動きやアメダスによる気温観測情報、防災情報を見ることができます。一目で何を示しているのかが分かるので、パッと情報を知りたい時に便利です。
他におすすめのアプリには
が挙げられます。
気象庁レーダーは気象庁が提供しているアプリです。アプリをダウンロード後「現在地の情報」を設定すれば、今いる場所と雨雲の状態を確認することができます。
アメデス〜XRAIN〜は国土交通省が豪雨対策で運用する「XバンドMPレーダー(通称XRAIN)」を活用したアプリで、雨量情報とその情報を1〜2分単位で配信する精度の高さに定評があります。
ウェザーニュースタッチは、日本の気象情報会社、株式会社ウェザーニュースの公式アプリで、天気予報情報だけでなく、気象予報士による気象ニュース配信を見ることができます。充実したコンテンツを求める人におすすめです。
参考文献