農業と相性がいいサブスクリプションサービスとは。ユニークなサブスクサービスを紹介

農業と相性がいいサブスクリプションサービスとは。ユニークなサブスクサービスを紹介

近年、農業にも「サブスクリプションサービス」の波が押し寄せています。

サブスクリプションサービスとは、モノを買い取るのではなく、利用できる「権利」に料金を支払う方式を指します。「subscription」には「購読」といった意味があり、ここで説明されるサブスクリプションには「ある一定の期間の使用許可」という意味があります。

有名なサブスクリプションサービスには、Apple musicやSpotifyといった音楽配信サービスが挙げられます。定額を支払うことで、ある期間は好きなだけ音楽を聴くことができます。

消費者の志向は「所有」から「利用」へと変化しつつありますが、このサービスは農業とも相性がいいのです。

 

 

農業と相性がいい理由

農業と相性がいいサブスクリプションサービスとは。ユニークなサブスクサービスを紹介|画像1

 

中規模・小規模で農業を営む人たちにとって、以下のサブスクリプションサービス(以下サブスク)のメリットで「相性がいい」と言われる所以がわかるのではないでしょうか。

  • モノをもつ必要がない
  • モノを置くスペースが必要ない
  • モノを管理する必要がない
  • 導入コストが抑えられる
  • 期間中は好きなだけ利用できるため、使用頻度が高ければ1回あたりの金額がお得になる

例えば、農業生産資材にかかるコストに頭を悩ませている農家さんの場合、農業機械のリースやレンタルを活用することによって、導入コストを抑えることができます。

もちろんメリットがあれば、デメリットもあるもの。

  • 契約中は、一定期間使わなかったとしても料金が発生する
  • 使わない機能などが含まれていることもある

などがデメリットとして挙げられます。

契約期間中に使用することがなかった場合には「解約する」という手もありますが、ある一定の期間のみ使用するようなアイテムの場合、その時期がくるたびに契約、解約を繰り返すのは面倒ですよね。

また導入コストが抑えられても、利用開始のハードルが下がり、色々なサービうを契約してしまった結果、コストがかかってしまう・・・なんてこともあり得ます。

ですが、以下で紹介する農業サブスクサービスの事例の中には、これらデメリットに注目し、新たなサービス体系を生み出した企業もあります。

 

 

農業サブスクリプションの事例

農業と相性がいいサブスクリプションサービスとは。ユニークなサブスクサービスを紹介|画像2

 

柔軟な利用料金設定が魅力的な太陽光発電式生産管理システム

株式会社ぶらんこのサービスは「太陽光発電式生産管理システム」。いちごのハウス栽培向けのセンサーで、その名の通り太陽光発電で動きます。温度、湿度、二酸化炭素などを測ることができ、そのデータはクラウドに蓄積され、PCやスマートフォンで確認することができます。

コンパクトなセンサーのため設置も簡単で、利用料金は月額5,000円。そして特徴的なのは、利用料金の請求が「利用している月のみ」だということ。利用していない期間は料金が発生しないため、契約、解約を繰り返す必要がありません。

自動車部品や電動工具でおなじみの企業も

自動車部品の開発・製造や電動工具等の輸入・販売でおなじみのボッシュ・ジャパンも、サブスクサービスを提供しています。2017年7月に発売された「Plantect™」は、ハウス栽培向けのシステムであり、作物の病害に特化した予測・監視システムです。

ハウス栽培の農作物が病気にかかる要因として温度、湿度、CO2濃度、葉の湿り具合、天候などが挙げられます。「Plantect™」は3種類のセンサーによって要因となるあらゆる情報を収集し、クラウドに集めます。

また「Plantect™」の特徴はデータを蓄積するだけでなく、ボッシュ人工知能センターが開発したアルゴリズムにより、天候などの外的要因と結びつけて、病害が発生する確率を予測してくれます。

 

 

農業サブスクリプションを使えば、販路拡大も可能!?

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サブスクサービスによって、消費者との距離を縮めることができます。

コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー(CSA)―地域支援型農業

新しい農業の形と呼ばれている「CSA」はご存知ですか?

「地域支援型農業」とは、消費者が生産者に代金をあらかじめ支払い、定期的に収穫された農作物を受け取る農業の形です。消費者から事前に代金を支払ってもらうことで、生産者は生産・収穫シーズン前に借入をすることなく、種や必要な農業資材を購入したり、人を雇うことができます。

CSAに唯一ある難点といえば、事前に支払いを済ませていても、豊作が約束されるわけではないということです。また消費者が希望する農作物ではなく、そのときに収穫されたものが届けられるという制度に不満を感じる人もいるようです。

とはいえ、CSAは消費者が生産者をサポートする新しい農業の形。その難点を理解したうえでサポートを続ける消費者も少なくありません。

CSAのような形をとったサービスに、農水産物等を生産者から直接購入できる「OWNERS」改め「ukka(ウッカ)」があります。

「オーナー制度」という予約注文で食材を購入できるサービスが特徴的な「OWNERS」は「ukka」にリニューアル後、「オーナー制度」以外にも購入方法を広げました。

その中にはもちろん「定期購入(サブスクリプション)」もあります。サブスクでの注文は「毎月」や「2ヶ月」と期間を設定することができ、商品のお届けごとに支払いとなります。定期購入であれば「都度購入よりも10%お得になる」という消費者への利点も。

なお2015年12月より運営されてきたこのサービスは、5000名超えの消費者と100以上の生産者が利用してきました。2020年内には生産者の数を100から300に拡大させていく予定とのこと。ukkaでの生産者登録にには独自の参加基準を満たす必要はあるものの、新たな販路を見つけるヒントにはなるでしょう。

 

参考文献

  1. 農業×IT|株式会社ぶらんこ
  2. ファーモ|クラウド農業モニタリングシステム
  3. 接続された農業 農家がIoTを利用して病害を防止する方法
  4. 地域支援農業 CSA
  5. ukka|旬の「おいしい」を、あの人から|産直お取り寄せ

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