スマート農業普及の後押しなるか。スマート農業普及に向けての新法とは

スマート農業普及の後押しなるか。スマート農業普及に向けての新法とは

2024年3月8日、日本政府は「スマート農業技術活用促進法案(農業の生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案)」を閣議決定しました。この法案は、今後20年間で農業従事者が4分の1程度にまで減るといった見込みの他、農業を取り巻くさまざまな環境の変化に対応しながら、農業の生産性を高めることを目的としています。

主な内容としては、スマート農業技術を導入したい生産者やスマート農業技術を研究する開発者が、株式会社日本政策金融公庫の長期低利融資や税制特例などの支援措置を受けられるようにするものです。起業などに伴う登録免許税の軽減やドローンの飛行許可などの手続きの簡素化なども含まれています。

本記事では、スマート農業技術を導入したい生産者向けの認定制度と認定を受けた計画に対する税制特例についてご紹介します。

 

 

どのような制度か

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スマート農業技術を導入したい生産者は、「スマート農業技術の活用及びこれと併せて行う農産物の新たな生産方式の導入に関する計画(生産方式革新実施計画)」を作成することで、農林水産大臣の認定を受けることができます。

この「生産方式革新実施計画」では、スマート農業技術の活用と新たな農産物生産方式の導入をある程度の規模で行い、生産性を向上させることが目的です。規模感としては、複数の農業者が共同した産地単位での取組が想定されています。

上記の申請対象は農業者またはその組織する団体です。

どのような支援策か

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大きく2つの支援策があげられます。

行政手続きの簡素化
日本政策金融公庫(日本公庫)の長期低利融資

前者は、行政も利用者も負担が大きかった従来の煩雑なやりとりを軽減すべく、あらゆる行政手続きで進められているものです。

行政手続きの簡素化で最もわかりやすい事例が農業用ドローンなどの飛行許可・承認手続きの簡素化です。これまでは農林水産大臣への計画申請と国土交通大臣に対する飛行申請が必要となっていました。この手続きが一元化され、農林水産大臣への計画申請のみで、飛行申請が不要となります。

また「農作物栽培高度化施設」に関する届出も簡素化されます。農作物栽培高度化施設とは、農作物栽培の効率化、高度化を図るための施設を指し、環境制御を行う農業用ハウスや農地に高設棚を設置して行う養液栽培のほか、収穫ロボットの導入なども含まれます。これまでは農林水産大臣への計画申請と農業委員会への届出が必要でしたが、農林水産大臣への計画申請のみで行えるようになります。

後者は、スマート農業に取り組む農業者などを支援する資金「スマート農業技術活用促進資金」が創設されます。

そのほか税制上の措置もあります。たとえば「生産方式革新実施計画」の申請対象者がその事業活動に用いる機械等を取得した場合、その取得価額の32%(機械装置の場合は32%だが、一部は25%で、建物物等、構築物の場合は16%)の特別償却が適用されます(株式会社国際農業社が運営する「農村ニュース」ウェブサイトの記事によると、2027年3月末まで)。

対象設備等には、スマート農業技術が組み込まれた収穫機などの機械装置や環境制御装置と併せて導入する農業用ハウスなどがあげられます。

 

 

スマート農業導入に役立つ補助金等は他にも

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スマート農業導入のデメリットとしてよくあげられるのが、活用される機械やサービスがまだ高価格帯であるために初期費用がかかることがあげられます。

初期費用を抑えるためにぜひとも活用したいのが補助金や助成金制度、リース・レンタルの活用などを用いることです。補助金・助成金を調べる場合には、株式会社Blitzが運営する補助金・助成金ポータルサイト「スマート補助金」が便利です。「スマート農業」というキーワードで検索すると、対象の補助金・助成金が62件見つかりました(2024年4月12日時点)。

参照サイト

(2024年4月1日閲覧)

(2024年4月12日閲覧)

 

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