遺伝子組み換えといわれてもピンとこない、日本には関係のない話だと思っていませんか?
実はすでに日本に輸入され、遺伝子組み換え食品を使った様々な種類の加工品が流通し、毎日のように私たちの口に入っていると聞いたら驚きですよね。
「遺伝子組み換え食品」というと「品種改良」と混合されてしまいがちで、危険性も感じにくいですが実はまったくの別ものです。今回は遺伝子組み換えと品種改良の違い、メリット・デメリット、遺伝子組み換え食品の種類など、農業に携わる人に知って欲しいことをお伝えします。
■そもそも、遺伝子組み換え作物とは?
「“遺伝子組み換え”って何?」と聞かれて、説明できる方はどれくらいいるでしょうか。
なんとなく「品種改良と同じようなもの」とイメージしている方も多いのではないかと思います。では、品種改良と遺伝子組み換え作物(“Genetically Modified Orgasnisms”。以後、GM作物と表記)の違いはなんでしょうか。
一言でいうと一番の大きな違いは、まず「誰のために、何のために作られたものか」ということです。
昔から行われてきた品種改良はご存知の通り、病気に強くしたり生産性をあげることはもちろん「より美味しく」など、消費者のためというのが大きな理由ですよね。それに対してGM作物はとにかく「生産性・効率化」を目的としたもの。
アメリカの広大な面積の農場で徹底的に雑草や害虫の防除をし、作業を効率化するために改良しているものです。
もちろん、作業の効率化は農業に携わる人にとってはありがたい話です。雑草や害虫に悩まされることもなく、生産性もあがるのならとても嬉しいことですね。それは遺伝子組み換えのメリットともいえます。
では、品種改良と大きく違うところは何かというと、自然界ではあり得ない掛け合わせが行われているという点。例えば、とうもろこしにバクテリアの遺伝子、大豆にはサソリの遺伝子……といった具合です。
そのようにして作られた作物は、除草剤に負けない性質や、害虫を殺す性質をもっています。
敷地面積が広大なアメリカの農地でヘリコプターで一気に除草剤をまいたときに、当然雑草は枯れますがGM作物は枯れません。そして虫がGM作物を食べたらどうなるかというと、消化器官が溶けて死に至ります。作物そのもので駆除ができるなんて前代未聞ですよね。なんて画期的な作物なのでしょうか。
■遺伝子組み換えのデメリット。気になる危険性や問題点は?
除草剤を撒いても枯れず殺虫機能を持った作物は、たしかに生産者の負担を減らしてくれる有り難いものですが、果たして食べても安全なのでしょうか。
遺伝子組み換えのデメリットは、長期的な目でみると消費者の身体にどのような影響を与えるのか、健康被害についてはまだ分からない点が多いというところです。
ただ、マウスを用いた実験ではGM作物を食べた雌の多くが乳がんなどの腫瘍になったり、新生児の死亡率が上がったなどの結果が報告されています。
また、GM大豆の栽培がさかんなアルゼンチンではガン、不妊、死産、流産、そして出生異常が急速に増えてきたといいます。原因はGM作物を栽培する際の除草剤の空中散布だとして、住民居住地から2500km以内では飛行機による農薬空中散布が禁止になりました。こういった二次被害や環境への影響も懸念されています。
GM食品により健康被害が相次ぐなど様々な問題がでた事で、遺伝子組み換えで世界90%のシェアをもつ巨大企業【モンサント】に対する反対運動が活発化しています。日本で生活しているとあまり入ってこない情報ですが、世界で大きなデモが頻繁に行われるなど大きな問題へと発展しています。
※2015年5月 、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパなど40か国、400以上の都市で、一斉に行われた米農業バイオ大手モンサント社の遺伝子組み換え作物・農薬に対するデモ。
※モンサント社:ベトナム戦争使われていた枯葉剤を製造していたバイオ企業としても知られる。現在は、遺伝子組み換え作物のほか、ラウンドアップという除草剤でも世界的シェアを誇る。
■日本に輸入・流通している遺伝子組み換え食品の種類は?
日本では近年”オーガニック”という言葉が浸透し、食への安全意識も年々高まっています。
しかし一方で遺伝子組み換えに関しては情報が乏しく、私たちの知らないまま口に入っているのが現状です。「日本人が1番GM食品を食べている」とも言われているんです。
現在日本に輸入されているGM作物は8種類。じゃがいも(馬鈴薯)、とうもろこし、大豆、なたね、パパイヤ、綿実。その多くはコーンスターチやアミノ酸などの添加物として加工食品に加えられます。日本では誰もが知っている大手企業の有名な商品にも多く使われ、あなたがよく行く近所のスーパーの棚に並んでいます。こんなにも私たちのすぐ身近にあふれてきているだなんて、意外ですよね。
問題なのは、GM食品の見分けが消費者には難しいということ。醤油、大豆油、コーンフレーク、水飴、異性化液糖、デキストリン、コーン油、菜種油、綿実油、砂糖は、表示義務がないなど、食品表示の絶妙なカラクリによって避けることが難しいのが現状です。その他には牛や豚などの家畜肥料、つまりお肉になって間接的に私たちの口に入ります。消費者の見えないところでたくさんのGM食品が使われているのです。
これらを避けるためには、なるべく添加物の多い加工品などは買わない、お肉を食べるのは控えめにする、調味料は国産の原料でこだわって作られたものにするなど、意識しなければ難しいようです。
■大切な家族を守るために「知る」ことからはじめよう
遺伝子組み換えが今後、私たちの身体にどのような影響を与えるのかは分かりません。
だとすれば、今の私たちに出来ることは「知る努力をすること」「自分や大切な家族の身を守るために何ができるか考え判断すること」ではないでしょうか。メーカーにGM食品が使用されているか問い合わせるのも、消費者の意見を伝えることになり有効です。
気になった方はぜひ、自分で調べて、食について考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。日本の食を支える尊い仕事に関わる方たちには、ぜひ知ってもらいたいことです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
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