エコファーマーとは、環境にやさしい農業で認定を受けた生産者のことです。行政主導の認定制度で信頼性もありますが、一般的にはあまり知られていません。
この制度には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
環境にやさしく持続可能な農業に取り組んでもらうため、国は「持続性の高い農業生産
方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)」を制定しました。
この法律に基づき、堆肥の適正量を守り、化学肥料・農薬の使用量の低減など環境に配慮した農業計画を都道府県知事に提出し、認定を受けた農業者がエコファーマーです。
平成28年3月末現在の認定件数は154669件となっており、都道府県によって差があります。認定期間は5年間で、生産者の高齢化などで更新しないケースもあり、現在は減少傾向にあるようです。
エコファーマー認定者のメリット
農業改良資金の特例措置や環境保全型農業直接支払交付金があります。
農業改良資金の償還期間は、持続性の高い農業生産方式の導入に必要な機械や資材の購入に限り、10年(据置期間3年)から12年(据置期間3年)に延長されます。
農業改良資金の案内
http://www.maff.go.jp/j/keiei/zinzai/kairyo_sikin/k_pr.html
環境保全型農業直接支払交付金は「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基づくもので、規定されている取り組みによって交付金が支払われます。
例えば、化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取り組みと合わせて、カバークロップの作付けまたは堆肥施用をする場合、10アール当たり3000~8000円(予算枠によ
り変動有)が支払われます。
※カバークロップ⇒作物を作らない期間に土壌侵食防止や雑草抑制を目的に育てるイネ
科やマメ科などの植物のこと。例:レンゲを畑にすき込む等
環境保全型農業直接支払交付金について 農林水産省 P7参照
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/kakyou_chokubarai/attach/pdf/mainp-21.pdf
エコファーマーの認定を受けるには?
まず申請のための「導入計画認定申請書」を作成し、都道府県へ提出します。書類作成や申請に関しては、市町村役場や農業関係機関に相談窓口があります。
専門用語が使われていることや手続きの煩わしさから申請を躊躇するケースもあるため、行政機関が計画作成の支援として説明会を開催しています。
「導入計画認定申請書」とは?
エコファーマー認定者は「持続性の高い農業生産方式」として導入することが決められており、①土づくり②化学肥料低減③化学農薬低減の3つの技術を一体的に取り組むことが定められています。
①~③の技術にはそれぞれ具体的な内容があり、その中から1つ以上を取り組むことが必
要となります。すでに取り組んでいる技術が当てはまる場合、それを記入することも可能です。
作物ごとに①~③の技術を決め、収量、資材の使用量や回数について、現状と5年後の目標数値を計画書に記入します。その他、経営面積、農業所得などの記入項目もあります
①土づくり
・有機肥料の使用を適正量とする
・緑肥作物をすき込む
※土壌診断結果に基づいておこなうため、申請対象の畑・水田の土壌分析結果を添付する
場合があり、その分析費用は申請者負担。
②化学肥料低減
・肥料を作物の根元だけにして使用量を減らす局所施肥
・緩効性肥料、被覆肥料、硝酸化成抑制剤入り肥料の使用
・堆肥・油粕・骨粉などの有機肥料の使用
③化学農薬低減
・ネットによる害虫対策や機械除草で農薬を減らす
・アイガモやコイなどの小動物の放し飼いによる除草
・シルバーマルチなどの光反射による害虫忌避
・太陽熱による土壌消毒等
※化学農薬低減技術は全部で13あり、各都道府県がまとめている資料参考のこと。
「有機肥料を使っているが、使用量は現状でいいのか?」
「農薬はなるべく使いたくないが、代替え方法を知らない」
エコファーマー申請のための説明会では、施肥管理や除草・害虫防除について基礎的なことを知ってもらい、農家自身に現状を再認識してもらう機会になっているようです。
例えば神奈川県の支援サイトは作物別の施肥基準や農業の基礎知識がまとめてあり、
エコファーマー申請者だけでなく、一般農家にとっても有益な情報となっています。
申請の有無に限らず、このような各都道府県の支援策を活用してみるのもいいのではないでしょうか。
神奈川県作物別施肥基準
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6802/
都道府県のエコファーマー制度紹介、導入指針、申請様式ダウンロード用ページ
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_ecof/index.html
エコファーマーマークで環境保全をPR
エコファーマーに認定されると、エコファーマーマークの使用を許可されます。
当初、全国環境保全型農業推進会議が制定したマークは、茨城県、神奈川県、福井県、京都府など11府県でのみ使用可能となり、他県では独自のマークがつくられています。
各都道府県で使用できるマーク
http://www.ecofarm-net.jp/06display/index.html#02
認定後はエコファーマーマーク付きの農産物の販売が可能となりますが、消費者にはマークの認知度が低いこともあり、販売に有利性があるかどうかは、地域の取り込みや販売店の理解によって大きな差があるようです。
そこで、全国のエコファーマーを会員登録し組織化することで消費者や流通関係者へ情報発信を強化し、農産物の有利な取引を目指す活動も始まっています。
全国エコファーマーネットワーク
http://www.eco-farmer.net/
まとめ
農業は食糧の生産と同時に自然環境の保全という大切な役割も担っています。
農産物の消費によって、環境にやさしい農業が支援され発展していく、そのような循環ができれば、今後もエコファーマーの役割は大きいのかもしれません。
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