知っておきたい木酢液の製造工程、選び方。植物の生育に適切な濃度を測るための試験についても紹介。

知っておきたい木酢液の製造工程、選び方。植物の生育に適切な濃度を測るための試験についても紹介。

さまざまな木酢液が市販されていますが、購入する側がその製造工程や安全性への取り組みについて理解していると、品質の良い木酢液を選ぶコツが掴めます。

 

 

木酢液の製造工程

知っておきたい木酢液の製造工程、選び方。植物の生育に適切な濃度を測るための試験についても紹介。|画像1

 

木酢液は木炭を作る工程で出る水蒸気が冷えて液体になったものです。市販されている木酢液の製造工程の概要を以下に示します。

  1. 伐採した新鮮な広葉樹を原料に、土窯等で炭を焼く
  2. 排煙口から出てくる煙を長い煙突を通して冷却する(排煙温度80〜150度)。
  3. 2.で採取した木酢液(粗木酢液)を3ヶ月〜静置する
  4. 静置した粗木酢液は上部から油膜、木酢液、タールに分離するので、中層の木酢液のみをフィルターで濾過して完成

(参照元:木酢液・竹酢液Q&A|日本木酢液協会)

日本木酢液協会によると、広葉樹の原料1000kgから約200〜250kgの木酢液が得られる、とあります。

製造工程を頭に入れて、木酢液を選んでみます。

<色>
黄赤褐色、ワインレッド色で、透明なものを選びます。

色が濁っているもの、沈殿物が多いものは、上記工程4.の静置期間が短い、ろ過精製をしていない可能性が考えられます。浮遊物があるものも避けましょう。

<原材料>
木酢液は基本的にコナラやクヌギ、ブナやカシなどの広葉樹から作られます。

原材料の表記がないものは避けたほうが良いでしょう。

それから、原材料にウルシやハゼノキ、クスノキなどの植物が使われているものは避けましょう。これらの植物には防腐効果や防虫効果があります。微生物の増殖を抑制する物質や他の植物の生育に有害な物質などが含まれているので、木酢液の原材料としては好ましくありません。

また日本木酢液協会は公式サイト内で安全な木酢液を製造する上で遵守すべきポイントを挙げているのですが、そこには“原材料として、塗料や接着剤、又は殺虫・殺菌剤等が入っている可能性がある建築廃材、及び燻蒸された木材等を使用しないこと”とあります。建築資材の廃材を利用した木酢液も避けましょう。

木酢液はホームセンター等だけでなく、オンライン上でもさまざまな商品が販売されています。木酢液の色と使用されている原材料のチェックは基本的な内容ですから、よほど悪質なものでなければ、大抵の商品は適正と判断されるでしょう。

そのため、木酢液そのもののチェック項目ではありませんが、木酢液を販売している製造者や製造元の素性が明らかかどうか、改正農薬取締法により登録農薬以外は抗菌、殺菌等の効能を謳ってはいけないのに関わらず、効果を謳っていないかなど、製造元が信頼できるかどうかで決めるのも大事といえます。

 

 

木酢液の使用に不安がある場合におすすめしたい試験

知っておきたい木酢液の製造工程、選び方。植物の生育に適切な濃度を測るための試験についても紹介。|画像2

 

実際に農作物に散布する前に、木酢液が植物に与える影響を測る「発芽試験」をおすすめします。

農山漁村文化協会編『自然農薬のつくり方と使い方―植物エキス・木酢エキス・発酵エキス (コツのコツシリーズ) 』(2009年7月、農山漁村文化協会)にて「発芽試験」が紹介されています。

  1. 小皿にティッシュペーパーを敷き、数粒タネを置く
  2. 100倍、200倍、400倍、800倍に希釈した木酢液を1.に散布する
  3. 1週間ほど置き、それぞれの反応を見る

という方法で、植物の生育促進に適切な木酢液の濃度を測っています。ここで紹介されていた事例では、マメ科の緑肥作物・クロタラリアの場合、200倍までは発芽が抑制されましたが、400倍以上では発芽が促進された、とあります。

手間はかかるかもしれませんが、使用用途別に適正な濃度を測ることができます。

木酢液の使用に不安がある人、木酢液の品質に不安がある人は、ぜひ実施してみてください。

 

参考文献

  1. 木酢液・竹酢液Q&A|日本木酢液協会
  2. 農山漁村文化協会編『自然農薬のつくり方と使い方―植物エキス・木酢エキス・発酵エキス (コツのコツシリーズ) 』(2009年7月、農山漁村文化協会)

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