木炭をつくるときに出る煙を集めて冷やし、液体にしたものを「木酢液」といいます。農薬取締法により農薬の効果を謳うことはできませんが、害虫対策や土壌改良に役立つとして注目されています。
厚生目的で利用されることもある木酢液は現在、さまざまな会社からさまざまな価格で販売されています。そこで1つ疑問が。果たして製品別に効果の違いというのはあるのでしょうか。5つの製品を使って実験してみました。
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製品別に効果の違いはあるのか?!
使用したもの
使用したのは5つの木酢液(写真)です。「二十日大根」を小さなポットに植え、300倍に希釈した木酢液を噴霧します。
土壌改良の効果もあるということから、
- 植える前の土
- 発芽後
- 発芽から1日おき
に噴霧しました。
左から右に
A 木酢液クリア(ランキング1位)
B 純粋木酢液(ランキング2位)
C JEWA 日本炭窯木酢液協会 品質保証/純度100% 岩手産 木酢液(ランキング32位)
D カインズホーム 木酢液
E トヨチュー 有機酸調整済み 木酢液
※ランキング順位は2019年7月20日時点のもの
です。
右2つの噴霧器に若干色が付いているためわかりにくいのですが、300倍に希釈すると、どの液体も透明色になります。
生長促進に若干の効果あり?!
種を植える前、小さなポットに土を入れ、希釈した木酢液を噴きかけ混ぜ込みました。木酢液原液のpHは高いため、発芽への悪影響があるのでは?とも考えましたが、全てのポットから大体同じタイミングで発芽が確認されました。
発芽を確認後、1日おきに噴霧していきます。
(↑)発芽後2日目
(↑)発芽後6日目
結果として、どの製品にも大差はあまり見られませんでした。
筆者の主観にはなってしまいますが、
- はじめに発芽したのはA「木酢液クリア」を噴霧したポット
- 生育が良いのはD「カインズホーム 木酢液」を噴霧したポット
という印象はありました。ですが、特定の製品だけに顕著な結果が生じるということはなく、どの木酢液を噴霧したポットも順調に生育しました。
虫除け効果は・・・
結論を申し上げると、発芽後10日目あたりから虫食いが目立つようになり、14日目には葉が全て食べられてしまいました。
実験期間中は梅雨に入っており、毎日のように雨が降っていました。木酢液は化学製品の代替品として注目を集めていますが、定着率が強いものではありません。雨が降れば流れてしまいますし、晴れた日が続いたとしても日に日に匂いが薄れていくものです。そのため、噴霧の頻度が少なかったのでは?と考えています。
また生育が早いため観察がしやすいだろうと「二十日大根」を選びましたが、葉を虫に食われやすい植物のため、1日おきに噴霧するのではなく、虫を確認した時点でしつこいぐらいに噴霧するべきだったかもしれません。
ただ、虫除け効果がまったくないわけではありませんでした。
すぐ横で育てていた家庭菜園の野菜を育てていたのですが、野菜が育つようになるとアリが増えてきました。そのため実験で使用していた木酢液を野菜の周りに噴霧したところ、噴霧するごとにアリが少なくなっていきました。
木酢液の虫除け効果は、特徴的な煙の匂いが動物や虫に好かれないことを利用したもの。そのため、煙の匂いが人の鼻にもしっかり捉えられるぐらい噴霧すると効果があるようです。
ただし、今回の実験の失敗でもわかるとおり、木酢液は水に流されやすいため、活用する場合にはこまめに噴霧することをおすすめします。