近年、台風や強風の影響による農作物の被害が数多く報告されています。
そんな農作物への風による影響を少なくするために「防風ネット」が役立ちます。防風ネットを使えば、風の勢いを弱めたり、風の流れを変えたりすることができます。風を弱める効果は防風ネットの高さの20倍の距離の範囲で発揮されるともいわれています。
本記事では、台風や強風被害から農作物を守るために利用される防風ネットの選び方や効果的な張り方についてご紹介していきます。
防風ネットはどう選ぶ?
防風ネットは、
- ネットの目合
- 高さ
- 強度
- 付加機能
などに違いがあります。
例えばネットの目合いについて。4mmほどの目合であれば通気性が保たれ、適度に風通しがよくなるので、空気がこもりやすい場所でも利用しやすいです。
強風対策を徹底したい場合には0.2mm〜1.2mmと、目合の細かいものを選ぶのがよいでしょう。目合が細かくなればなるほど風を通しにくくなりますが、その分通気性は悪くなりますし、日光を通しにくくすることもあります。また風の強い力を受けることになるので、設置する際は丈夫な支柱に固定しましょう。
またビニールハウスを強風から守る場合には、ハウスを囲むように支柱を立ててネットを張る必要があるため、この場合にはハウスの屋根の高さ以上のサイズを選ぶ必要があります。
その他、強風に対応した強度のあるものや、倉庫などを守る場合に役立つ防炎機能付きのものなど、さまざまな商品が販売されています。価格だけでなく、どのような被害から農作物などを守りたいかをふまえて選びましょう。
防風ネットの張り方
防風ネットは直接風の影響を受けそうな場所に設置しましょう。台風から守る場合には、事前に台風の主な風向きを調べておき、その方向に設置すると効果的です。加えて、その風向きに直角な方向にも防風ネットを設置すると風向きの変化に対応できます。
防風ネットを張る前に、その場所の土壌の状態にも気を配りましょう。風が吹くと、防風ネットの基礎となる支柱に引き抜く力がかかります。砂地などの土壌では、引き抜く力に対抗する力が弱いため、そのような土壌で防風ネットを張る場合には、風によって引き抜かれにくい「ネジリ加工」が施された支柱や杭を使うのがおすすめです。また支柱は地面に深く差すことで強度が増すのですが、支柱を差す穴に水が溜まってしまうと支柱が倒れやすくなります。そのため、排水性の高い場所であるかどうかも確認しておきましょう。
防風ネットを張るのに必要なものは
- 防風ネット
- 支柱
- 支柱を打ち込む道具(ハンマーなど)
- ネットを固定する道具(パッカーやロープなど)
です。
1.
まずは支柱の基礎となる穴を地面に開けます。風を防ぎたい場所を囲うように支柱を差すために、1〜2m間隔、深さは30〜50cmほどで穴を開けていきます。
2.
次に1.で開けた穴に支柱を打ち込みます。穴の深くまでしっかり打ち込みましょう。
3.
2.で打ち込んだ支柱に、ロープやパッカーなどを利用してネットをしっかりと固定します。この際、ネットの両端を特にしっかりと固定しましょう。
もし防風ネットを開閉できる形で設置したい場合には「吊り具」などを用意し、以下の手順で設置します。
- 支柱上部にロープを張る
- 1.に吊り具を取り付ける
- 2.の吊り具に防風ネットを取り付ける
- 防風ネットは両端の支柱にはロープなどでしっかり固定し、他の支柱にはパッカーなどで固定する
- 開閉時にはパッカーを取り外したところから、カーテンのようにネットをスライドさせる
防風ネットを張るときのポイント
上記で支柱を打つ間隔を1〜2mと紹介しましたが、より強度が欲しい場合は約45cmの間隔にするなど、間隔を狭めて打ちましょう。また風が強く吹く場所では、筋交い(柱と柱の間に斜めに入れる補強財)をするなど、強度を上げるための工夫を凝らしましょう。
参考文献にはさまざまな防風ネットの張り方が紹介されています。色々な道具や方法を使って、最適な防風対策を見つけてみてください。
参考文献