目揃え会とは
農家さんが作物を出荷する前に、着色や形、見た目などの出荷規格を確認する会のことです。農家さんは目揃会で確認した規格を満たす作物を出荷することで、市場に流通する作物の品質が一定に保たれます。
販売先の確保、高値での販売に向け、市場に流通する作物の品質を一定に保つために重要な取り組みです。
目揃え会の基本的な流れ
目揃え会の参加者とJA職員などの担当者が集まって話し合い、作物の着色や果形、収穫時期や出荷時期などの目安を定め、それらの基準が決まると各農家に伝えられます。
品質基準を定めるのはもちろんのこと、天候などの影響を受けた作物の形状など、年毎に異なる作物の生育状況の共有にも役立っている印象です。
例えばJA全農あおもりで行われたながいもの目揃会では、例年よりもながいもが長く肥大していること、干ばつの影響で曲がりが多く見られたことなどが参加者に共有されています。JA常陸で行われたオクラの目揃会では、事前に行われた現地巡回で明らかとなった生育の様子から、収穫開始後の栽培における注意点が共有されています。
出荷規格や出荷関連作業についてはこんな動きも……
目揃え会の様子を紹介する記事の中には「品質基準がよく分かった」「生産管理を徹底して高収量を目指したい」といった、出荷への意欲が高まった参加者の声も挙げられています。
しかし販売先からの多様なニーズに応えるため出荷規格が細分化され、出荷に関連する作業の手間が増える中、生産者の高齢化や後継者不足により労働力不足に陥る産地も決して少なくありません。共同選果施設にて選別作業を行う地域においても、雇用者の確保や運営・維持費の確保に苦労する状況が見られています。
そんな中、出荷規格や出荷関連作業の見直しにより、作業効率を向上させた事例もあります。
農林水産省 生産局園芸作物課の「野菜の出荷規格および出荷関連作業の見直しに向けて~加工・業務用野菜を含めた出荷規格の見直し~」の資料では、
出荷規格の統合・簡素化
簡素な形態で出荷できる契約取引の拡大
出荷関連作業のアウトソーシング
を行った事例が紹介されています。
例えば「出荷規格の統合・簡素化」では、選別作業の負担を減らすため、需要が多い時期を除く時期に出荷規格を簡素化した例が紹介されています。その産地では、選抜作業時間が削減された分、栽培管理に労働力を充てたことで、1戸あたりの作付け面積の拡大が可能となり、1戸あたりの販売金額が増加したとあります。また軽減された選抜作業時間を包装加工に充て、量販店で販売したことで、付加価値がつきより良い市場評価を得た事例もあります。
「簡素な形態で出荷できる契約取引の拡大」では、需要が高まりつつある加工・業務用野菜に着目。市場出荷流通で求められる品質とは異なり、加工・業務用向け野菜では外観よりも歩留まりや作業性が重視される傾向にあるため、簡易な荷姿での出荷を選ぶことができる、とあります。
とはいえ、基本的には実需者のニーズに合わせることが第一です。本記事を執筆するにあたり参考文献として使用した目揃え会の事例を見ると、きんかんやいちごの目揃え会には「ブランドの維持」といった目的も垣間見えます。
労働負担を減らすために紹介されている「出荷規格、出荷関連作業の見直し」も、加工・業務用野菜のニーズに対応しているからこそ可能な事例といえます。
参考文献