「SDGs(エスディージーズ)」という言葉を聞いたことはありますか?聞いたことがない人でも、以下の画像(↓)を目にしたことがある人はいるのではないでしょうか。
SDGsは2030年までの国際目標とされていますが、「そもそもSDGsってなに?」「SDGsは農業と関係あるの?」という疑問を抱く人もいるでしょう。
そこで本記事では、SDGsについて解説していきます。
SDGsとは
SDGsは2015年に新しく生まれた国際的なアジェンダ(意味:会議で論ずる議題、課題項目)です。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略であり、国連本部で採択された「世界を変革するための17の目標」です。
SDGsは「MDGs(ミレニアル開発目標)」(極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げたアジェンダ)から引き継がれました。「MDGs(ミレニアル開発目標)」では8つの目標が掲げられましたが、SDGsは持続可能な世界を実現するために17のゴール(目標)と169のターゲットから構成されています。
17のゴールは以下の通りです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsと農業の関わり
持続可能な世界を実現するための目標であるSDGs。農業分野にも深い関わりがあります。
食料供給
目標2にある「飢餓をゼロに」を実現するためには「食料」が欠かせません。農業分野には、その食料を供給する役割があります。2030年までにすべての飢餓を撲滅するためには、貧困層や脆弱な立場を強いられている人々が一年中安全で栄養ある食料を得られるようにならなくてはなりません。
そして、ただ食料を供給すればいいというわけではありません。次項で紹介する「環境保持」につなげる必要もあります。そのため、「持続可能」をキーワードに農業・食糧生産システムを確立させる必要があります。
環境保持
目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさを守ろう」に農業や畜産業・水産業が関連します。
農業には環境保持の側面があります。もし食料供給だけを考え、生産性を高めることだけを意識して食料生産を行ってしまうと、「食料廃棄物」という悪影響が生まれることも。日本では食料廃棄物の問題が年々注目されていますが、せっかく生産した食料が食べられることなく廃棄されてしまうのは「もったいない」だけでなく、環境に負荷を与えることにもつながります。
SDGsと農業を結びつけるときには、持続可能性を意識し、人と自然が共存できる形を考えなければなりません。
雇用を支える
農業には「雇用を支える」役割もあります。これは目標8「働きがいも経済成長も」と目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関係します。
「雇用を支える」ことを意識して、農業従事者と消費者・地域社会をつなげることができれば、
- 農作物の生産性向上
- 農作物の安定供給
- 地域社会とのつながり
- 将来の市場を獲得できる
などが期待でき、利益につなげることができます。
SDGsと農業の関わり、その事例
農業機械メーカー・株式会社クボタは、アフリカでは低燃費のトラクターを、東南アジアでは浄化槽を展開することで、SDGsで掲げられている貧困、飢餓、保健、水・衛生といった目標に貢献しています。
電機メーカー・NEC(日本電気株式会社)も「持続可能」をキーワードに、収穫量や収穫適期を予測するICT技術を用いて、効率よくかつ無駄のない営農を実現できるような取り組みを行っています。
SDGsと向き合わないことで生じるリスク
今後、「SDGs」を視野に入れずに農業を行うと、
- 事業の将来
- 社会的価値
- 社会的信頼
が下がるという声もあります。
SDGsが掲げている17の目標からは、社会が抱えているさまざまな課題が見えます。農業に限らず、さまざまな産業は自然資源と人的資源に支えられて成立しています。SDGsが掲げた社会問題と環境問題が解決されなければ、それはそのままビジネス上のリスクへとつながります。社会問題と環境問題は一見農業に関係なさそうに見えますが、酷暑や厳しい寒さ、自然災害などによって農産物の生産が落ちれば、売り上げが落ちたり、労働環境が悪化したりします。全く関係ないとは言い切れないのです。
またSDGsは世界中で取り組まれている目標です。「持続可能」への意識が高い相手であればあるほど、SDGsの取り組みに貢献できているか否かが購入基準や取引先の選定につながります。
参考文献