世界で注目されている「リジェネラティブ農業」とは何か。

世界で注目されている「リジェネラティブ農業」とは何か。

最近、あまり聞き慣れない「リジェネラティブ農業」という言葉が目に入りました。本記事では、近年よく耳にする「サステナビリティ」や「SDGs」にも関わりのあるリジェネラティブ農業についてご紹介していきます。

 

 

リジェネラティブ農業とは

世界で注目されている「リジェネラティブ農業」とは何か。|画像1

 

あまり聞き慣れない「リジェネラティブ」ですが、リジェネラティブ農業は「再生農業」「再生型農業」と和訳されます。日本語で表すと、どのような農業を指す言葉なのか分かりやすく感じられるのではないでしょうか。

リジェネラティブ農業は

日本語で「環境再生型農業」とも呼ばれる。農地の土壌をただ健康的に保つのではなく、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げることを目指す農業を指す。

引用元:リジェネラティブ農業とは・意味|世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン|IDEAS FOR GOOD

とあります。

どのような特徴があるのか

現時点ではリジェネラティブ農業を行う上での明確な決まりは定められていないようですが、活用されている農業技術には以下のものが挙げられます。

  • 不耕起栽培
  • 有機肥料や堆肥の活用
  • 被覆作物の活用
  • 輪作や間作

不耕起栽培は土を耕さずに農作物を栽培する方法です。耕起の元々の目的には、耕すことで作物の栽培に適していない土壌を柔らかくし、乾土効果※をもたらすことが挙げられます。

水田土壌を湛水前に乾燥させると、栽培期間中に土壌から供給される窒素量が増加します。こうした現象を「乾土効果」といいます。これは土壌の乾燥により易分解性窒素化合物(微生物の死滅や有機物の変性による)が増加し、湛水後、微生物の作用で無機態窒素に変わるためです。

引用元:土づくりQ&A|ホクレンの肥料

その一方、耕起を行うことで土壌が風や雨による浸食を受けやすくなるデメリットもあります。

耕起を減らすことで土壌侵食が削減されることや土壌の水分保持、土壌有機物の蓄積、空気中の炭素を地中に留められるなどの観点から、リジェネラティブ農業では活用される農業技術として不耕起栽培が挙げられています。

それからリジェネラティブ農業では、土壌を修復・改善を目的としているため、化学的に合成された農薬や肥料は用いず、有機肥料や堆肥を活用します。有機肥料や堆肥、また土壌浸食の防止や雑草の抑制などを目的に植えられる被覆作物は土壌有機物の増加に寄与します。

輪作や間作※は、土壌の生態バランスを整え、土壌中の栄養素の偏りや病気の蔓延、害虫の増殖を防ぐのに役立ちます。


ある作物の収穫前に、その条間に他の作物を栽培すること(出典元:株式会社平凡社 百科事典マイペディア)

 

 

リジェネラティブ農業に期待されること

世界で注目されている「リジェネラティブ農業」とは何か。|画像2

 

非営利団体Regeneration Internationalのホームページには、リジェネラティブ農業が発揮する効果についてまとめられています。

  • 温室効果ガス排出量の削減
  • 気候変動を食い止める
  • 収穫量の向上
  • 干ばつに強い土壌を作る
  • 地域経済の活性化
  • 生物多様性を育む
  • 栄養状態を改善する など

リジェネラティブ農業は気候変動に対する有効的な対策となるだけではありません。上記で紹介したような農業技術の活用により、植物や土壌中の生物多様性を向上させることができれば、農作物の病害虫に対抗する植物や花粉媒介者、益虫などの生息地の増加が期待されます。またこれらの技術で健全な土壌が作られれば、高品質で栄養価の高い食糧生産に繋がります。土地を改善させながら生産性の高い農業を作ることができれば、地域社会や経済にも良い影響を及ぼします。

集中豪雨や台風の強度が大きくなったことなどから、気候変動の影響が感じられます。リジェネラティブ農業はまだまだ新しいキーワードではありますが、発揮する効果から今後も関心が高まっていくことでしょう。

 

参考文献

  1. リジェネラティブ農業とは・意味|世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン|IDEAS FOR GOOD
  2. なぜ、リジェネラティブ・オーガニックなのか?|パタゴニア・プロビジョンズ
  3. リジェネラティブ農業とは・何か|Sustainable Japan
  4. 土づくりQ&A|ホクレンの肥料
  5. Why Regenerative Agriculture? – Regeneration International

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