農業用倉庫があると、農作業をする時に必要な資材や農業機械を保管するのに便利ですが、農地内に倉庫を建てる際には注意しなければならないことがあります。
農業用倉庫を建てる際の注意
農業用倉庫は農業経営上必要になる施設ということから、農地転用する面積が200㎡未満の場合には農地転用の許可は不要です。
ただし、農業用倉庫設置に際して、農業委員会にあらかじめ届け出を出す必要はありますし、農地法の規定と建築基準法の定めを知っておくことで、なぜ、原則として許可や届け出が必要となるのかが理解できると思うので、許可が必要となる要件と仮定して解説していきます。
2つの許可申請
農地の農業用倉庫を建てる場合、2つの観点から許可申請が必要です。
1つ目は農地法の定めから必要になる許可についてです。農地法とは、農地を守る目的で制定された法律です。農地に農業用倉庫を建てるということは、農地を農業以外の用途で使うことに他なりません。したがって、農地転用にあたる利用をする際にはその地域の農業委員会に届け出を行う必要があります。
届け出を必要としない条件もありますが、基本的には農地法に対する許可が必要となることを頭に入れて置くことが大切です。
農地法に対する許可が……
自分の農地 | 他人の農地 | |
200㎡未満 |
不要 |
必要 |
200㎡以上 | 必要 |
必要 |
2つ目は建築基準法の定めから必要になる申請です。
ここであげられる「建築物」は、「屋根と柱または壁を有するもの」であり、農業用倉庫は「建築物」にあたります。そのため、建築が始まる前に地盤や建築物が建築基準法などの基準に適合しているか審査を受ける必要があります。建築確認事項が建築基準法に適合していない場合には、建築物を建てることはできません。
建築確認は、主に家の新築やリフォームを対象として行われますが、倉庫やガレージなども一定の条件を満たして「建築物」に該当する場合には申請が必要です。必要書類は自治体または指定確認検査機関に提出します。
ただし、下記2つの要件を満たす場合には、建築確認の必要はありません。
- 10㎡以下の建築物であること
建築位置が防火地域、もしくは準防火地域ではないこと
農業用倉庫の販売チラシなどを確認すると、欄外に記載されている注意事項に建築確認申請について記載されているはずです。たとえば下記のような文章があげられます。
10㎡以上の建築物の場合は確認申請が別途必要です。
10㎡以下の建物でも防火・準防火地域の増築、または更地への新築の場合は、確認申請が別途必要です。また、設置場所、規制等により建築基準法上の制限を受けることがあります。引用元:https://www.obamayanmar.com/web-box/upload/nouki/kakuichi3.pdf
内装制限について
倉庫について調べていたところ、「内装制限」というキーワードが見受けられました。
建築基準法は安全性の確保を目的に、建物の敷地や構造、用途などに関する基準を定めています。倉庫の建築やその内装に関しても建築基準法の基準を満たす必要があります。
建築基準法に定められた内装制限とは、建物内で火災が起きた際、被害を最小限に抑えるために設けられたものです。具体的には、内装材の延焼により避難経路が妨げられたり、内装材から有害物質が生じたりするのを防ぐための制限です。
そのため、内装制限の対象となる倉庫では、壁や天井を仕上げる際、不燃材料か準不燃材料が用いられます。
参照サイト
農業用倉庫を建てるには?土地地目変更登記と建築確認申請方法
農地転用等の許可について/都留市
農地に農業用倉庫を建てる場合の取り扱いについて/都留市
Ⅱ 「用途の変更」について
倉庫には建築制限・内装制限・用途制限がある!それぞれを解説
(上記2024年2月6日閲覧)
【ホームズ】プレハブ物置やガレージを設置するとき建築確認申請は必要なの? 固定資産税についても解説 | 住まいのお役立ち情報
(上記2024年2月15日閲覧)