有機JAS認証とは。有機JAS認証取得にはどれくらいの費用がかかる?支援制度はある?

有機JAS認証とは。有機JAS認証取得にはどれくらいの費用がかかる?支援制度はある?

昨今、日本の有機農業の取組面積は拡大傾向にあります。農林水産省の資料によると、有機農業取組面積は平成23年度には19.4千haでしたが、10年後の令和3年度には26.6千haと37%も増加しています。

また注目すべきは、本記事でご紹介する「有機JAS認証」を取得した圃場面積の割合です。

 

 

有機JAS認証とは

有機JAS認証とは。有機JAS認証取得にはどれくらいの費用がかかる?支援制度はある?|画像1

 

日本農林規格等に関する法律(JAS法)に基づき、有機食品のJASに適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、その結果、認証された事業者のみが「有機JASマーク」を使用することができるという制度です。

有機JASマークがない農産物や畜産物等は、「有機〇〇」「オーガニック〇〇」と表記することや、これら表記と紛らわしい表示をすることが禁止されています。

さまざまな国で「有機」の表示が規制されています。そのため、原則として自国の制度により有機認証を受けた食品でなければ「有機」の表示はできないことになっています。ただし、国や地域間で有機認証制度の同等性が認められている場合には、輸出先に「有機」の表示をつけて輸出することが可能です。

日本の有機JAS認証においては、EU、アメリカ、カナダ、スイス、台湾の有機認証制度と同等性が認められています。

なお、有機JAS認証を取得している圃場面積は、平成23年度には9.5千haだったのが、令和3年度には15.3千haになっており、10年で61%増加したことになります。

有機JAS認証の手続き、費用

農林水産省は有機JASの認証手続き手順を公開しています。手続きの流れを簡潔にまとめると以下の通りになります。

  1. JAS認証機関を選ぶ
  2. 認証申請書類を提出する
  3. 書類審査が行われる
  4. 3.が受理された後、審査員による実地審査が行われる

審査結果が通知され、「適合」と判定されると認証を取得できます。

有機食品の場合は、「2.認証申請書類を提出する」の前に講習会の受講や研修会への参加が義務付けられています。また、申請書の様式は認証機関ごとに異なります。「1.JAS認証機関を選ぶ」では、さまざまな認証機関についてよく調べ、比較した上で選択し、事前に問い合わせ、講習会や書式等、必要事項を必ず確認してください。

有機JAS認証にかかる費用は、認証機関によって異なります。

たとえば「エコデザイン認証センター」の場合、「有機JAS生産行程管理者(個人申請)」(2021年5月6日改訂)によると、有機農産物の場合、以下の価格となります。

1ha以上5ha未満の場合

認証申請料  33,000円
判定料 49,000円
審査料 審査員日当(1日につき)26,000円、審査報告書作成料(申請1件につき)26,000円

「エコサート・ジャパン」は以下の価格を提示しています。

有機農産物の場合
申請料 52,500円
審査料 136,500円
検査料 以下の計算式から産出

検査料
検査報告書:42,000円/1業種
検査時間費用:7,000円/1時間
交通移動費:2,600円/1時間+交通費実費+(宿泊費)
無通告調査費:3,200円/1事業者

農林水産省が公開する有機登録認証機関一覧を1つ1つ調べてみるとわかるのですが、認証機関によってかかる費用の名称が異なりますし、独自の費用、たとえば認証機関の会員になるための入会金や年会費が発生する場合もあります。

審査を依頼する認証機関を比較検討して選ぶことは、骨が折れる作業かもしれませんが、それぞれの認証機関の特色をしっかり把握した上で審査に進む方が、後悔なく認証取得に向かえるのではないでしょうか。

 

 

有機JAS認証取得への支援制度

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農林水産省補助事業 有機農業新規参入者技術習得支援事業のウェブサイトには、有機農業を始めようとする人、有機農業に励む人に向けた情報発信が行われています。

2020年7月20日に公開されている「生産者からみた有機JAS認証取得のメリットとデメリット」というレポートでは、執筆者が有機JAS認証取得にかかる費用について以下のように述べています。

国の「環境保全型農業直払交付金」が有機JAS圃場に対しては、10aあたり14,000円支給されることを考えれば、実質的には生産者の負担はほとんどないと考えてもいいのではないかと思います。

引用元:生産者からみた有機JAS認証取得のメリットとデメリット

上記にもある通り、有機JAS認証や有機農業を始めようとする人に対する支援制度は用意されています。

たとえば、「みどりの食料システム戦略推進総合対策」のうち「有機農業推進総合対策事業」では、営農の一部もしくは全てにおいて国際水準の有機農業に取り組んで5年以内の者、あるいは今後取り組むことを予定している者を対象に、以下の内容の補助金が支給されます。

有機JAS講習会の受講
講習会の受講料(教材費を含む)の実費のみ。交通費・宿泊費は対象外。
1農業者あたり上限30,000円

ほ場実地検査の受検
ほ場実地検査の検査料(検査員の交通費を含む。宿泊費は対象外)の実費のみ。
1農業者あたり上限90,000円

また「グローバル産地づくり緊急対策事業」のうち「有機JAS認証取得等支援」では、有機農畜産物等の輸出拡大に向け、有機JAS認証の取得を目指す農業者等が、有機JAS認証取得や輸出に向けた商談等の取り組みに必要となる経費を支援するものです。

有機認証取得等支援対象者は、有機JAS認証の取得と商談(有機農畜産物等を対象に含む展示商談会等への有機農畜産物等の出展やその場での商談、輸出先国の関係者や海外バイヤーなどとの間で行う商談)を必ず行うものとする、という必要要件があります。

とはいえ、有機JAS認証の取得に当たって必要な認証取得費(講習会等の受講料や申請料、実地検査費用、検査旅費など)は補助対象です。支援制度の概要に「各種支援対象者から実績報告のあった経費のみを対象とします」という記述もありますが、有機JAS認証取得にかかる費用のほとんどが補助対象となっています。

資料には、補助対象となる費用の詳細についてまとめられたページ(別記3)も掲載されています。興味のある方はぜひ読んでみてください。

体験談が心強い

農林水産省補助事業 有機農業新規参入者技術習得支援事業のウェブサイトでは、「認証取得に向けた先行事例」というタイトルで、有機JAS認証を実際に取得した生産者の体験談が多数掲載されています。認証取得で苦労した点などが紹介されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

参照サイト

  1. 日本の有機農業の取組面積について
  2. 有機農業推進をめぐる政府の政策対応とその背景
  3. 有機JAS制度について
  4. 有機食品の検査認証制度:農林水産省
  5. 有機登録認証機関一覧 – JAS
  6. JAS認証を ビジネスツールに
  7. 生産者からみた有機JAS認証取得のメリットとデメリット
  8. 有機JAS認証 – エコサート
  9. 有機認証の費用について | JONA
  10. 未利⽤資源等を活⽤してバイオ燃料を製造したい
  11. 事業概要・申請方法 | 農林水産省補助事業 有機農業新規参入者技術習得支援事業 有機JAS認証取得に向けた取組を支援します!
  12. 公募要領等|令和5年度農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうち有機JAS認証、GAP等認証取得等支援事業に係る公募について

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