梅雨を過ぎると気温はグッと高くなります。暑い季節に注意しなければならないのが熱中症です。毎年のように、農作業中の熱中症についての注意喚起がなされています。
そこで暑さ対策に効果的なアイテムにはどんなものがあるのか調べてみました。後半では、熱中症対策の基礎についても紹介しています。
暑さ対策に効果的なアイテムまとめ
首周りや体を冷やすアイテムとして
定番の暑さ対策といえば、保冷剤を使って首周りや体を直接冷やす方法です。タオルなどで保冷剤を包み、首周りに巻きます。保冷剤は手に入りやすいので、すぐに実践できる暑さ対策といえます。
とはいえ、暑い場所では保冷剤がすぐに溶けてしまったり、体の広範囲を冷やすには大きさが足りなかったりと難点もあります。保冷剤が溶けて柔らかくならないと首にフィットせず安定しない、なんてことも。
保冷剤をタオルなどで包む、以外でぜひ取り入れてみてほしいのは「冷感スカーフ」です。
スカーフに水を含ませたり、あらかじめ氷水などで冷やしておいたり、充電したりと冷やす方法は市販されているアイテムごとに異なりますが、スカーフから発せられる気化熱による冷却効果で首元を冷やすことができます。
それから「冷感スプレー」や「冷感ミスト」もおすすめです。これらは携帯用扇風機などと併用すると、より効果的に体を冷やすことができます。
直射日光を防ぐアイテム
暑さ対策兼熱中症対策で重宝するのが直射日光を防ぐアイテムです。
日中の作業に「帽子」は欠かせません。帽子を選ぶ際はつばが広いものを選びましょう。近年市販されている帽子にはUVカット機能つきのものもあります。
また涼しく作業するためには、通気性のよいメッシュ素材のものを選びましょう。夏の帽子の定番、麦わら帽子は涼しくて快適です。それから、作業中に帽子が風に飛ばされることがあるので、あご紐つきのものを選ぶと、作業性もよくなります。
少し珍しいアイテムには「背中に背負う傘」が挙げられます。これはリュックのように背負う傘で、両手が使えるのが特徴です。しっかりと傘で直射日光を遮りながら、農作業が可能です。
身につける冷感アイテム
吸水速乾性の「冷却インナー」を選べば、汗をかいてもすぐ乾くだけでなく、肌あたりも涼しく快適です。
「冷感ベスト」「冷感ウエア」は、服の中に保冷剤などをセットして体を冷やすものもあれば、服自体にファンがついていて風を送るものなどもあります。両方の機能を兼ね備えたウエアもあります。
「インナーキャップ」と呼ばれるアイテムもおすすめです。これは建設現場などでヘルメットの下に着用できるものですが、そのままかぶることもできます。通気性がある素材や、冷却インナー同様、吸水速乾性のものが多いです。
熱中症対策の基礎をおさえておくこと
体を冷やすアイテムや直射日光を防ぐアイテムなどがあることがわかりましたが、熱中症にならないためには、アイテムを使う前に「熱中症対策の基礎」をおさえておく必要があります。
まず熱中症予防の前提は「無理をしないこと」です。
そして「こまめに休むこと」と「水分補給の徹底」が熱中症対策の基本です。上記アイテムにできることはあくまでも体を冷やすなどの暑さ対策のみ。なので、暑い時間帯の作業を避けられない場合に、体の負担を減らす目的で上記アイテムを取り入れることをおすすめします。もちろん暑い時間帯の作業以外でも暑さ対策に効果的なアイテムは活用してください。
そのほか、熱中症対策のために導入したいアイテムには
- ウェアラブル端末
- 応急措置用品
が挙げられます。
ウェアラブル端末は身体の状態をモニタリングするのに便利です。深部体温や体内の水分バランスを計測するよう設定しておけば、休憩や水分補給のタイミングを知らせてくれます。
また経口補水液や体を冷やすアイテムなどをまとめた応急措置用品を現場に備えておくと、いざというときに役立ちます。
熱中症情報も要チェック
熱中症対策を行う場合は、気温よりも暑さ指数(WBGT)を見るようにしましょう。
暑さ指数(WBGT)とは暑さの厳しさを示す指標であり、人の体の熱収支に与える影響の大きい湿度、日射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れたものです。暑さ指数が高ければ高いほど、熱中症リスクが高まります。
以下に農林水産省が公開している農作業と暑さ指数の相関を記します。
作業強度 |
作業の例 |
暑さ指数 |
軽作業 |
|
30(29) |
中程度の作業 |
|
28(26) |
激しい作業 |
|
25(22) |
極めて激しい作業 |
激しいシャベルの使用、斧の使用、走る | 23(18) |
※()内は暑さに慣れていない人の場合
気象サイト「ウェザーニュース」のアプリ「熱中症情報」は、暑さ指数(WBGT)を算出して、作業者がいる場所の熱中症危険度の予報を見ることができます。
参考文献
- AGRI JOURNAL [アグリジャーナル]VOL.23 2022 SPRING(株式会社アクセスインターナショナル、2022年)
- 熱中症対策アイテムの導入 – 農林水産省