農林業センサスによると、販売農家のうち基幹的農業従事者※の平均年齢が1995年には59.6歳だったのが2015年には67歳になっています。過去の統計から、農家は70歳を迎えると一斉にリタイアすることがわかっており、平均年齢が70歳に迫っている現状は、すなわち大量離農の訪れを示唆しています。
※農業就業人口(自営農業のみに従事した者、または自営農業以外の仕事にも従事しているが年間労働日数で自営農業が多い者)のうち、普段の主な状態が自営農業の者を指す。
そんな中、新しい農業経営体に注目が集まっています。それがフランチャイズ型の農業です。
フランチャイズ農業とは
「フランチャイズ」という言葉はどこかで聞いたことがある人も少なくないはず。コンビニエンスストアやファーストフードなどではおなじみのビジネスモデルであり、運営する企業は本部(フランチャイザー)、権利を与えられるものは加盟店、加盟社(フランチャイジー)と呼ばれます。
フランチャイズ型の農業の構図も同様。本部となる農家が加盟店にあたる農家を探し、加盟店にあたる農家は本部と同じ品目を生産、同じブランドで販売します。
フランチャイズ農業のメリット
加盟店側のメリットには
- ノウハウが確立されている
- 販売先がある
- 栽培に専念できる
などが挙げられます。
本部が加盟店に経営ノウハウ等を提供してくれるので、農業未経験者も参入しやすいといえます。また本部が販路の開拓を請け負ってくれるため、販売先を探す必要がなく、栽培に専念することができます。
本部にもメリットがあります。企業によっては、直営店展開の方が収益性も成長見込みもある場合にはフランチャイズ展開を行わないこともありますが、事業を拡大する際に
- 競合が出てくる前に市場をおさえたい
- 直営店を増やすための時間やコストを抑えたい
場合には、フランチャイズ展開は本部のメリットになります。
フランチャイズ農業に期待されるもの
農業従事者の高齢化により、若年層の新規就農者に期待が高まっていますが、農業を始める際の初期費用がネックと言われています。
しかしスタートアップ企業seakは、農業フランチャイズモデル「LEAP」を展開し、そのネックをクリアできる内容、“農地の開拓、施設の構築、栽培技術の提供、販路の確保、資金のあっせん”を提供しています。
例えば農地の開拓。従来の新規就農者は、就農する自治体で農業研修を約2年間受ける必要があります。しかし「LEAP」が農地を確保してくれるため、新規就農者であってもすぐに農地を活用することができます。
栽培技術においても独自技術を確立し、均一な環境で栽培が始められるようになっているため、提供された技術に基づいて栽培を行えば、誰でも同じレベルの栽培を実現できます。
高級スーパーなど販売先がすでに確保されており、LEAPを通じて生産した野菜は独自ブランド「ゆる野菜」として販売されます。
厳密にはフランチャイズ型ではないものの、コンビニエンスストアのローソンが直営農場のシステムを取り入れて注目を集めたように、フランチャイズ農業は注目集まるモデルです。まだまだ新しい形ではありますが、これにより新規就農のハードルが低くなれば、新規就農者の増加も期待できるはず。今後も注目です。
参考文献
- 窪田新之助、山口亮子、『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』、2020年7月3日、株式会社技術評論社
- 農業もフランチャイズの時代|BMフランチャイズWEBレポート
- フランチャイズで農業を始める手順を解説・費用や収入、特殊な制度も解説|フランチャイズ加盟募集.net
- 農業フランチャイズで日本のトップ目指す|日経BizGate
- LEAP ー seak