食品ロス法について。食品ロス削減への取り組みとは

食品ロス法について。食品ロス削減への取り組みとは

食品ロスとは、まだ食べられるのにも関わらず廃棄されてしまう食品のことです。「食品ロス」という言葉は、近年SNS等で話題になることもあります。最も有名な話題には節分の風物詩である「恵方巻き」が挙げられます。スーパーマーケットの惣菜売り場やコンビニエンスストアで売れ残った商品がゴミ箱に捨てられる画像が拡散され、「もったいない」という批判が集まりました。

そんな食品ロスを削減すべく、2019年5月24日に「食品ロス削減推進法」が成立しました。

 

 

食品ロス法とは

食品ロス法について。食品ロス削減への取り組みとは|画像1

 

「食品ロスの削減の推進に関する法律」通称「食品ロス削減推進法」「食品ロス法」が交付されました。第2条には、食品ロスの削減の定義についてこう記されています。

まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取り組み

国や地方公共団体だけでなく、事業者や消費者、食品に関係する全ての人々の間で相互的な取り組みが望まれるものです。

 

国・地方公共団体に求められること

  • 食品ロスの削減を推進する
  • 食品ロスの削減に関する施策を取り決め、それを実施する
  • 食品循環資源の再生利用等、食品廃棄物の発生抑制に関する施策を取り決め、実施する
  • 事業者や消費者に対して、食品ロス削減のための知識を普及する
  • 事業者や消費者の食品ロスの実態について調査研究を進める
  • 食品ロス削減の関連事業に対して支援・表彰を行う

 

事業者に求められること

  • 事業活動の中で、国や地方公共団体が実施する食品ロス削減の施策に協力
  • 事業者自身も、食品ロス削減に積極的に取り組む

 

消費者に求められること

  • 食品ロスが発生しないように、食品の買い方を工夫する
  • 生活の中で食品ロス削減に取り組む

 

日本の食品ロス率

消費者庁によると、日本のフードロス発生量は2015年度で646万トンにも及びます。この量を国民1人当たりに換算すると51kgとなり、年間1人当たりの米の消費量54kgとほぼ変わらない量を廃棄していることがわかります。

皮肉にも、日本のフードロス発生量は、世界の食糧援助量(飢餓に苦しむ人々に供給される食糧援助の量)の年間約380万トン(平成29年)を超えています。

 

 

食品ロスの問題とは

食品ロス法について。食品ロス削減への取り組みとは|画像2

 

食糧資源の無駄遣い

飢餓や栄養不足に苦しむ国がある一方で、食糧廃棄物の多い国があることは、効率的ではありませんし、人道的な観点から見てもあまり好ましくありません。特に日本は食料自給率の低い、世界最大の食料輸入国でありながら、大量のフードロスを発生させています。

 

環境問題

食品ロス問題は、食糧資源を無駄にするだけでなく、エネルギーをも無駄にしています。

国際連合の「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する報告書では、

  • 最終的に廃棄されてしまう食品の「生産」に使用されているエネルギー自体が温室効果ガスを排出する要因の1つである
  • 廃棄される食品は焼却処理されるが、焼却処理により二酸化炭素(温室効果ガス)が発生する
  • 食品ごみに含まれる多量の水分が焼却炉の発電効率を低下させ、エネルギー資源の無駄遣いにつながる

と報告されています。

最終的に廃棄されてしまうものを生産するのにもエネルギーがかかり、食品ごみを廃棄するのにもエネルギーがかかるのです。

 

経済的損失

食品ロスは経済的損失ももたらします。食品が廃棄されてしまえば、食品製造・流通などに使用された資源もエネルギーも無駄になります。企業の利益率を低下させる要因でもあります。

 

 

食品ロスを減らす取り組み

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フードシェアリング

近年注目されている食品ロス削減に向けたサービスが「フードシェアリング」です。飲食店や小売店などで生じた売れ残りを、そのサービスを使用しているユーザーに低価格で購入してもらう、または無料で譲ることでロスを減らすことができます。食品を販売している側は廃棄を削減することができます。一方のユーザー側も、お得な価格でその商品を手に入れることができるためWIN-WINな関係でありながら「食品ロス削減」も叶えられるというわけです。

 

飲食店やコンビニの取り組み

飲食店やコンビニでも、食品ロス削減への取り組みが行われています。

『ガスト』や『ジョナサン』といったファミリーレストランを展開しているすかいらーくホールディングスは、食べ残しが出ないよう、ご飯の量を選べるようになっています。また、持ち帰り用の容器が用意されており、食べきれなかった料理は持ち帰ることができます。

マクドナルドでは、注文が入ってからハンバーガーをつくるシステムが導入されたことで、食品廃棄量が57.6%も削減されています。

ファミリーマートは冒頭で述べた「恵方巻き」のような季節商品を完全予約制にすることでロス削減に取り組んでいます。

 

農業分野では

農業分野でも、食品ロス削減への取り組みが行われています。

例えば「規格外」として処分されていた農作物は、フードバンク※などの団体や子ども食堂などに提供され、無駄なく食品として活用されています。

※フードバンクとは

包装の傷みなどで、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通出来なくなった食品を、企業から寄附を受け生活困窮者などに配給する活動およびその活動を行う団体

引用元:フードバンク

また6次産業化が進んだ農家の中には、規格外の野菜を自ら販売したり、加工して新たな商品に生まれ変わらせて販売したりして。無駄をなくす取り組みをしている人もいます。「食品ロス法」が成立したことで、今後規格外農作物の販路拡大や活用が浸透すれば、よりいっそう無駄をなくすことができるでしょう。

 

参考文献

  1. 食品ロスについて知る・学ぶ 消費者庁
  2. 売れ残り「恵方巻き」大量廃棄、コンビニなど対策
  3. 食品ロス削減法公布/事業者は食品ロス削減「努力義務」
  4. 食品ロスを減らすために、私たちができることは?
  5. 「食品ロス削減推進法」成立で期待高まるフードシェア、その実力は?
  6. 食品ロス削減推進法が成立。飲食店は30年度までに「食品ロス2割削減」が求められる
  7. 食品ロス削減推進法成立 「国民運動」で推進

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