日本の農業の課題として、農業従事者の高齢化やそれに伴う担い手不足、後継者不足、農地の減少などが挙げられます。農業の動向に関する年次報告である「食料・農業・農村白書」には、各地域の農地減少の現状や高齢化の現状が記されています。
農地減少の現状
2021年度食料・農業・農村白書によると、1962年以降、国内農地面積(耕作地のみ)は60年間減り続けており、2021年には435万ヘクタール(ha)となっています(2010年、2015年、2020年の農地面積は459万ha、450万ha、437万ha)。
21年度の白書では、都道府県別の農地面積を2005年のものと比較しています。減少率が高い順に5つ並べた結果が以下の通りです。
順位/都道府県/農地面積(ヘクタール)/減少率(%)
1.東京都 6410 23.1
2.愛媛県 4万6200 18.8
3.静岡県 6万1500 18.1
4.群馬県 6万5900 16.1
5.奈良県 1万9800 15.0
減少率の全国平均は7.3%です。1〜5位には含まれていませんが、首都圏である神奈川県や埼玉県も減少率が13.7%、13.3%と高いです。首都圏の減少率が高い原因は、市街地開発に伴う農地の宅地転用などが挙げられています。
愛媛県や静岡県は、山がちな地形から農業経営の大規模化が進みにくいことなどが原因として挙げられています。
一方、減少率が最も低いのは北海道となっています。
43.鳥取県 3万4100 4.2
44.秋田県 14万6400 3.8
45.福井県 3万9900 3.6
46.富山県 5万8000 3.5
47.北海道 114万3000 2.2
農業経営の大規模化・法人化が進んでいる地域は、減少率が低くなっています。
高齢化の現状
減少傾向にある農地面積は、日本の農業が厳しい状況にあることを感じさせますが、高齢化も同じく厳しい現状を映し出しています。
農村における高齢化・人口減少は都市部より進んでいるといわれています。農村の高齢化率は2020年時点で35.0%となっており、推定される都市部の高齢化率から20年程度先行しているのが現状です。なお、農村の高齢化率は1970年には8.7%でしたが、1980年に10%、2000年に20%、2015年に30%を突破しました。このままいくと、2045年には40%に接近すると見込まれます(参照元:令和3年度 食料・農業・農村白書 第3章 農村の振興 第1節 田園回帰の動向)。
なお、都道府県別に見た農村の高齢化率を高い順に5つ並べた結果が以下の通りです。ここでは国勢調査より「都市部をさす人口集中地区の人口を総人口から差し引いたもの」が「農村の人口」となっています。
順位/都道府県/農村の高齢化率(%)/都市の高齢化率(%)
1.秋田県 40.7 31.9
2.高知県 40.4 29.4
3.山口県 39.6 30.0
4.愛媛県 39.0 28.5
5.北海道 38.6 30.2
一方、農村の高齢化率が最も低いのは沖縄県となっています。
43.岐阜県 31.9 28.6
44.山梨県 31.8 29.4
45.滋賀県 30.4 23.0
46.愛知県 29.8 24.2
47.沖縄県 26.2 21.0
参考文献