農業界では、農業者の高齢化や減少、後継者不足が課題として挙げられています。
農業人口は
- 2000年:389.1万人
- 2017年:181.6万人
と減少傾向にあり、平均年齢も2000年には61.1歳でしたが、2017年には66.7歳になっていました。しかし「49歳以下の新規就農者」に注目してみると、その数が増加傾向にあることがわかります。
2008年 | 1.9 |
2009年 | 2.0 |
2010年 | 1.7 |
2011年 | 1.8 |
2012年 | 1.9 |
2013年 | 1.7 |
2014年 | 2.1 |
2015年 | 2.3 |
2016年 | 2.2 |
2017年 | 2.0 |
(単位:万人)
農業法人が増えたこともあり、サラリーマンと同じ雇用形態で農業ができることも、新規就農者が増えた要因のひとつと言われています。
・・・ですが、昨今、新規就農者が増加傾向にある一方で、離農率が高いことも指摘されています。
新規就農者の離職率の現状
総務省が、全国にある都道府県農業会議のうち18の団体を対象に調査を行ったところ、調査対象となった1591人の農業研修生のうち、564人が離農していたことがわかっています。離農の理由には
- 業務内容が合わない
- 想定していたものと違っていた
などが多く挙げられました。
離農した人たちの不満には給与や勤務時間などが挙げられていました。「研修生を受け入れる側の対応次第で改善できる部分もある」と指摘されていましたが、ミスマッチにならないためにも、新規就農を考える人にも対応してほしい部分があります。
新規就農に興味をもった人に知ってほしい流れ
「新規就農までのステップ」と題し、「農業を始めたい」と思った人が考えるべきことが農林水産省HPにまとめられています。
- 農業内容をイメージする
- 知識・情報収集
- 農業体験をする
- 就農準備を行う
(雇用就農の場合には、まず就職先を探し、雇用就職(給与所得を得ながら、農業生産に携わる。その後、独立就農する場合には「就農準備を行う」のステップへ)
新規就農を考える人は、「業務内容が合わない」「想定していたものと違っていた」とならないためにも。
- なぜ自分が農業を選んだのか
- 就農地の人との付き合いが重要になる
- 経営を軌道にのせるには時間と経費がかかる
→新規就農者の7割が農業だけでは生活できていない
ことを考えなければなりません。個人で就農する場合には、経営が軌道に乗るまで、研修期間も含めて3~5年は厳しい日々が続くと言われています。
そこで自分が農業への興味を膨らませることができるか、農業者としてやっていく覚悟ができるかどうかを知るためにも、まずは「農業体験」に参加しましょう。
短期の農業研修に参加したり、農業大学校や就農準備校など、農業専門の教育機関で学ぶなどの方法があります。
まずは農業体験を〜群馬県の事例〜
本記事では、群馬県のさまざまな農業体験を紹介していきます。
2019年9月11日〜9月13日に開催されていた『アグリビジネスジャパン』で、群馬県が配布していた資料にはこう書かれていました。
「農業経験は全くないが農業に興味があり、将来は農業で生計をたてたいと考えている方にはまず農業体験をお勧めします。
農業体験事業
群馬県での就農を目指す人のための農業体験です。実施期間が短いのが特徴で、入門コースは2日間、初級コースは1週間程度の体験です。農業体験の内容は、受け入れ先の農家によって異なりますが、直接農家の方から助言や指導を受けることができるのが一番のメリットです。厳しい意見が飛ぶこともあるかもしれませんが、農業への理解を進めることができますし、適性を判断するきっかけにもなるでしょう。
ぐんまアグリトライアルファーム
- 農業に興味がある人
- 就農希望者
のために用意された1年間の農業体験です。作物生産に関する基礎知識や栽培技術の習得が目的です。初心者コースでは、農業指導を受けながら栽培技術を学ぶことができます。実践コースは、すでに基礎知識がある人が対象で、1年間、本格的な野菜栽培を行います。
ぐんま農業実践学校
群馬県内で本格的に農業を志す人が対象の教育機関です。
用意されている課程は
- 野菜専門技術課程
→栽培管理技術から農業経営に必要な知識を学ぶことができる - 野菜基礎技術課程
→露地野菜の基本的な栽培管理技術を学ぶことができ、以下の4コースが用意されている
「春夏野菜平日コース」
「春夏野菜日曜コース」
「秋冬野菜平日コース」
「秋冬野菜日曜コース」 - 推進品目課程
→露地ナスと秋冬ネギに特化した課程
「露地ナスコース」
「秋冬ネギコース」
があります。
また群馬県民が対象ですが、「農と食のふれあい講座」という公開講座も用意されており、
- 野菜・花き・果樹の栽培
- 秋冬野菜づくり
- 果樹の基礎技術
- 花き栽培の基礎
- 農産物加工
- 農業機械入門
などの講座を受けることができます。
県外の人は「ぐんまグリーンツーリズム」から
群馬県外の人や「農業を学ぶ前に、まずは農業に触れたい」という人におすすめなのが「ぐんまグリーンツーリズム」です。
「グリーン・ツーリズム」とは、農村地域に滞在する中で、自然や文化や人との交流を楽しむもの。ヨーロッパ諸国で普及した旅行スタイルの一つですが、日本では農業・農村体験や地域イベントを介した交流を指すことが多いです。
そんなグリーン・ツーリズムを扱っている「ぐんまグリーンツーリズム」ですが、体験できるコースがたくさんあります。
- 農業体験
- 農産物加工体験
- 農村生活体験
- 農家民宿
- 農家レストラン
- 観光果樹園
- その他体験施設
興味のある体験に積極的に参加してみてください。
体験がきっかけで、農業への思いが強くなったのであれば、1日体験できる体験講座や2日間体験できる「農業体験事業」の入門コースに挑戦し、「ぐんまアグリトライアルファーム」や「ぐんま農業実践学校」にステップアップしていきましょう。
参考文献