昨今、若い世代の農業従事者や新規参入者は増加傾向にあると言われています。本記事を読んでくださる人の中にも、農業をはじめることに前向きな人は多いのではないでしょうか。しかし農業を始めるにあたり、特別な資格は必要ありませんが、手続きや農地探し、資金集めなどやらなければならないことはたくさんあります。もし今まで一度も農業に携わったことがない人であれば、農業技術をどう学ぶべきか戸惑うことでしょう。
そこで本記事では、新規就農者に伝えたい「技術を習得する方法」をご紹介していきます。
技術を習得する方法
学校へ行く
確実に技術を習得できる方法として、学校へ通うという方法があります。農業大学など、農業に特化した学校は全国にあります。学校へ通う時間や進学のためのお金があるのであれば、豊富な知識を身に着けることができるので学校へ行くことをおすすめします。
バイト
農業求人サイトなどを見てみると、農業に関係するバイト募集を見つけることがあります。アルバイトとして農業に携わることで、農業の技術を実際に体験しながらお金を稼ぐことができます。バイトとして農業に携わり、農家の人と関わりを持つことで、余っている農地の情報や農業の収益の話などの情報が手に入りやすくなるかもしれません。ただし「人手が足らない」等の理由だけでバイトを募集していることが多いので、農業のノウハウを教えてもらう目的でバイトする場合には、バイト先の農家にノウハウを教えてほしい旨を伝える必要はあります。
研修
農業の技術を習得するために、研修等を行なっている機関や農家を利用しましょう。ただし自分の目的に見合った研修先を選ぶよう注意してください。というのも、研修先の機関や受け入れ農家によって、研修の厳しさは異なります。経営ノウハウまで教えてくれる研修先もあれば、楽しく仕事ができることを優先し、ゆるい働き方を提供する研修先もあるはずです。いずれは起業して農業を続けていきたいという人であれば、ゆるい働き方もNGではありませんが、農業をビジネスとして捉えている、経営ノウハウまで教えてくれる研修先で学んだほうが自分のためになるのではないでしょうか。
資格試験、セミナー、e-ラーニングのススメ
資格試験「日本農業検定」
「農業」への理解を促進することを目的につくられた検定が「日本農業検定」です。日本農業検定は1〜3級まであり、小中学校・高等学校に通う生徒にも、大学や専門学校の学生にも、農業従事者にもおすすめな検定です。「日本農業検定」の勉強をすれば、
- 農作物の栽培
- 農業全般
- 環境分野
- 食分野
に関する基礎知識を得ることができます。
受験資格もなく、難易度ごとに3級、2級、1級と設定されていますが、農業の総合的な知識を深めるのであれば1級を目指しましょう。
- 3級 プランター栽培などに興味がある人におすすめ
- 2級 家庭菜園や体験農園に興味がある・すでに畑で栽培している人におすすめ
- 1級 2級・3級の集大成
セミナー
全国新規就農相談センターや就農支援センター主催の農業体験講座や農業研修に参加してみましょう。就農相談センター等が主催している体験講座や研修の中には、農作業経験が全くない人でもOKな日帰りの農業体験などもあります。またもし主催の講座の中に希望する講座がなくても諦めないでください。センターや市町村役場等に連絡し、自身が目指す農業の形に近い講座や研修はないか問い合わせてみましょう。もしかしたら、自身が目指す農業に近い講座や研修を紹介してくれるかもしれません。農家さんと直接コンタクトがとれる機会が設けられる可能性もあります。
eラーニング
情報通信技術が進む現代では、e-ラーニング等を活用して農業技術を学ぶこともできます。例えば「NEC 農業技術学習支援システム」は、熟練農家の技術をICT技術によって「見える化」したものです。技術やノウハウがデータ化され、そのデータをタブレット端末などを利用して学習できるシステムです。長年の経験と勘で継承されてきた技術を、新規就農者はタブレット端末等を通じて学ぶことができるのです。
学んでおいて損はない資格とは
農作物の栽培方法や農業全般の知識も必要ですが、もし農業を生業としていくのであれば「農業簿記検定」を学ぶのもおすすめです。農業簿記検定は、農業経営に必要な税務や会計等の知識を学ぶことができる資格です。経営をするうえで税務や会計の知識は必要不可欠です。また平成31年から収入保険制度が導入され、農業事業者は自身の収入を正確に示さなければなりません。農業簿記を学んでおけば、正確に収益等を表すことができるでしょう。
「運転免許証」も学んでおいて損はありません。小規模な農家であったり、流通元が限定されていて車等を使う機会がないのであれば、持っていなくても問題ないかもしれませんが、就農によって軽トラックやトラクターを運転する機会が増える人も少なくありません。普通自動車免許は持っていてもいいかもしれませんね。また大型農機を公道で走らせることになるのであれば、大型特殊自動車免許が必要になります。
参考文献