世界から見る食料事情・農業事情。「都市の農業革命」が起きている?!

世界から見る食料事情・農業事情。「都市の農業革命」が起きている?!

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私たちの食卓には国内で生産されたものだけでなく、世界各国から輸入された様々な食料品が並びます。
世界各国から安価に入手できる様々な食料品のおかげで、豊かで便利な生活を送ることができていますが、近年「ピーク〇〇」という言葉が現れるようになりました。これはピークオイル、ピークウォーターと言ったように、対象の頂点がすぐそこまで来ていることを表します。

要は、食料生産は世界人口の増加に伴い、間に合わなくなるという意味合いです。

 

世界から見る食料事情・農業事情

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世界の食料事情は切迫しています。
日本では少子高齢化が問題となっていますが、世界全体で見ると世界人口は増加し続け、現在約70億人、2050年には93億人、2100年には101億人にものぼると予想されています。

人口が増加するため、食料の需要は増え、価格は上昇していくことでしょう。
しかし食料の基盤ともいえる農業において、農地と居住地の競合や農業従事者の減少が不安視されています。

もし農地が確保できたとしても、世界各国で不安視されている不安定な気候や化学農薬・肥料を用いたことによる土壌の劣化など問題は山積みです。

それから食料過剰と食料不足のギャップが拡大していることも大きな問題です。
世界の肥満人口は15億7千万人、一方で栄養不足人口は9億400万人、毎時1,600人もの餓死者が生まれている現状をご存知でしょうか。
食べ物が十分にいきわたるのは先進国の約2割の人々だけと言われ、飢餓と肥満人口のギャップが生まれています。

農業という生業においても、問題点は山積みですよね。日本では農業従事者の高齢化に伴う後継者不足や耕作放棄地の問題が挙げられています。食料事情と合わて考えた時にあげられる問題には、「都市の食料備蓄」の少なさが挙げられます。農業の工業化が進み、農業で生計を立てられなくなった人が農業から離れ、都市へ移住するケースもあります。それにより、都市部に住む人たちが増加。その結果、都市に暮らす人と都市の食料備蓄のバランスが悪くなり、自然災害やテロなどで流通が遮断されると、たった3日程度しかもたず、食料が尽きることが懸念されています。

農林水産省は2020年の世界の食糧需給見通しを予測しています。
1996年、17億トンだったコメ・小麦などの穀物消費量は2010年には24億トンに増加。
2020年には、世界人口の増加や隣国・中国などの経済成長に伴い27億トンに増えるのではと予測されています。
しかし生産量は26.5億トンに留まる、とも予測されているのです。

世界各国、特にアジア・アフリカ・中東での穀物需要が増加することにより消費が増えることが予測されているので、生産量と需要が見合わないのです。これに伴い、年々穀物の価格は上昇することが予想されます。

農業の問題が、直接私たちが生きるのに必要な食料に直結していることを感じる現状です。

 

日本における食料生産システムの現状

日本の食糧生産システムは、そんな食糧・農業事情を抱えながらも、これらの問題を解決できるどころか課題が山積みな状況です。
2030年には、農業経営者数が2010年の36%である58万人に落ち込むことが予測されています。
加えて平均年齢は71.7歳と、サラリーマンの定年退職年齢をゆうに超えています。
世代交代も進んでおらず、2010年のデータとだいぶ古いデータではありますが、離農者の離農理由の50.3%が「後継者がいない」ことによるものでした。

・解決策としての都市農業
日本では「地域おこし協力隊」など、地方移住を促し、新規就農者を確保・育成する国や地域の制度が、これら問題の解決策と言えるでしょう。ただ今回は、世界の人口の約半数が都市に住むと言われている現状をふまえ、解決策として挙げられた「都市農業」の事例を紹介します。

キューバの都市農業への取り組みが注目されています。
キューバが都市農業を発展させた理由は、上記のような現状というよりは社会的なものが要因となっています。
1950年代に起きた「キューバ革命」以降、ソ連や東ヨーロッパといた社会主義国から食糧の輸入を頼っていたキューバですが、1991年にソ連が崩壊。輸入が困難になったうえ、アメリカによる経済制裁により経済危機に陥りました。

しかしそこでキューバでは、食糧消費の多い都市部でも農作物を栽培し、中庭や屋上、使われていない駐車場などを農地へと変えていったのです。
首都ハバナで消費される野菜の約半分を都市部で生産できるようになった事例があるのです。
都市農業に着手した要因は違えど、実践例があると知ると、やってやれないことはないと感じますね。

また都市農業を訴える者の中には「ビル型農場」を提案する人もいます。
コロンビア大学の公衆衛生および微生物学教授Dicson Despommierは0.02㎢ほどの土地に30階建のビルを建て、作物を育てる構想があります。

30階建てのビルと聞くと、規模の大きな挑戦のように感じますが、いわゆる「植物工場」のような、屋内で農作物を栽培し、その管理はAIなどで行う生産方法は、もはや珍しいものではありません。農作物の生育に必要な水やエネルギーも、都市下水を浄化したものを利用する、生じた汚泥や廃棄物をそのままエネルギーできるような仕組みを開発する、など持続可能性のある方法で構築されることでしょう。また農地が都市部にあれば、都市への食料供給の流通コストも抑えられます。

 

農業従事者はどうすべきか

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とはいえ、現在農業に従事している人が「人口増加に伴う食料・農業危機のために、都市農業へ移行する」というわけにはいきません。また日本の農業が抱えている問題は、食糧危機だけにとどまりません。

ただ様々な問題を解決する糸口として、AIなどを利用したスマート農業の活用は考えてもいいのではないでしょうか。農業人口の減少や気候変動への対策として、スマート農業は役に立つことでしょう。収穫を代行してくれるロボットや、生産における重要なデータを蓄積し、最適な情報を提供するAIも登場しています。

「食料問題を解決するために生産量を上げろ」と言われても急に解決することはできません。「農業人口を増やせ」と言われても同じことですよね。ただ、世界の現状を知ったうえで私たちがやるべきことは「柔軟に対応する」ことだと考えます。いつ、どうなるかわからない現実に直面しているからこそ、最先端の技術や情報を積極的に取り入れていくべきなのではないでしょうか。

 

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