万一に備えて加入しておきたい自営農業者の労災保険特別加入制度とは?

万一に備えて加入しておきたい自営農業者の労災保険特別加入制度とは?

労災保険とは、業務上の出来事や通勤で発生した労働者の負傷、疾病、障害、死亡に対して、労働者自身やその遺族に対して保険が給付される制度です。

ここで挙げられている負傷、疾病、障害、死亡は自営農業者にも十分起こり得るものですよね。そこで農業者には、労災保険特別加入制度への加入がすすめられています。

本記事では、万一に備えて加入しておきたい労災保険特別加入制度について紹介していきます。

 

 

労災保険特別加入制度とは

万一に備えて加入しておきたい自営農業者の労災保険特別加入制度とは?|画像1

 

労災保険は「労働者」以外でも、負傷、疾病、障害、死亡の発生状況や業務の状態に応じて、任意加入を認めています。これが「労災保険特別加入制度」です。

もし労災保険が適用される労働者”以外”の人が作業中に事故に遭い、怪我や障害を負ったとしましょう。労災保険への特別加入をしていなければ、当然補償は受けられません。となると、治療費はご自身で負担することとなり、治療中に収入が少なくなっても金銭的なサポートを受けることはできません。そのため、自営農業者に起こりうる万一の出来事に備えて、加入することが推奨されています。

 

 

労災保険特別加入制度に入れる人

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労災保険特別加入制度に入れる人は、以下の3つに分けられます。

  1. 特定農作業従事者
  2. 指定農業機械作業従事者
  3. 中小事業主等

まず1つ目の「特定農作業従事者」とは

①「年間の農業生産物(畜産及び養蚕に係るものを含む)の総販売額が300万円以上」または「経営耕地面積が2ヘクタール以上」の規模(この基準を満たす地域営農集団などを含む)を有している。

②土地の耕作・開墾、植物の栽培・採取、家畜(家きん及びみつばちを含む)・蚕の飼育の作業のいずれかを行う農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)である。

③次のアからオまでのいずれかの作業に従事する。

ア 動力により駆動する機械を使用する作業
イ 高さが2m以上の箇所での作業
ウ サイロ、むろなどの酸素欠乏危険場所での作業
エ 農薬の散布作業
オ 牛、馬、豚に接触し、または接触するおそれのある作業
※引用元:農業者のための特別加入制度のしおり

に当てはまる人を指します。
次に「指定農業機械作業従事者」ですが、
「農業者であること」「次の機械を使って、耕作、開墾、農作物の栽培、採取を行う人」を指します。

① 動力耕うん機その他の農業用トラクター

② 動力溝掘機

③ 自走式田植機

④ 自走式スピードスプレーヤーその他の自

走式防除用機械

⑤ 自走式動力刈取機、コンバインその他の

自走式収穫用機械

⑥ トラックその他の自走式運搬用機械

⑦ 次の定置式機械または携帯式機械

・動力揚水機   ・動力草刈機

・動力カッター   ・動力摘採機

・動力脱穀機   ・動力剪定機

・動力剪枝機   ・チェーンソー

・単軌条式運搬機 ・コンベヤー

⑧ 無人航空機

(農薬、肥料、種子、もしくは融雪剤の散布

または調査に用いるものに限る。)

※引用元:農業者のための特別加入制度のしおり
最後の「中小事業主」は、

「常時300人以下の労働者を使用する事業主(事業主が法人の場合には、その代表者)」および「労働者以外でその事業に従事する人(特別加入できる事業主の家族従事者など)」を指します。
また労働者の使用期間は通年でなくても適用されます。1年間に100日以上、労働者を使用する場合には、この条件に当てはまります。

なお、「特定農作業従事者」「指定農業機械作業従事者」「中小事業主」の3つを重複して加入することはできません。

 

 

労災が認定された際、給付される内容

労災が認定された場合に給付される内容について紹介します。

<給付金> <内容>
療養(補償)給付 傷病で診察を受けたり入院した際、また薬剤や治療材料に対して支給される給付金
休業(補償)給付 療養中で働けない期間に発生する給付金。休業4日目から、給付基礎日額60%が給付される
傷病(補償)年金 療養開始から1年6ヶ月経過しても、傷病が治らず、障害が定められた傷病等級に該当した場合受け取れる。年金として給付される
障害(補償)給付 傷病治癒後の障害等級区分によって給付される。年金か一時金が給付される
遺族(補償)給付 労働者が死亡した際、遺族に給付される

 

 

労災保険に入るメリット

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例)農作業中事故に遭い、1ヶ月の休業を強いられたAさん。Aさんは労災保険特別加入制度に入っていたので、以下のような補償を受けることができました。

  • 療養補償により、必要な治療を無料で受けることができた
  • 休業補償と特別支給金を活用して、ヘルパーなどを雇用することができた

※給付基礎日額が1万円だったため、休業補償と特別支給金は216,000円/月支給された(この際の年間保険料は32,850円)。

 

 

加入する場合には

加入する場合、

<加入者> <加入方法>
特定農作業従事者

指定農業機械作業従事者

特別加入団体という団体を通じて加入
中小事業主等 労働保険事務組合から加入

となります。間違えないように注意しましょう。

また詳しい給付金額は「農業者のための特別加入制度のしおり」を確認しましょう。
そこには給付の具体的な例も掲載されています。考えられる労災があるのであれば、事前に確認しておきましょう。不明点がある場合には、最寄りの労働基準監督署へ相談することをおすすめします。

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