新型コロナウイルス(以下コロナ)の影響で、学校が休校になったことでパート従業員が勤務できなくなってしまったり外国人技能実習生が来日できなくなってしまったりと、農業界では労働力不足が深刻化しています。とはいえ、人材が不足している農業が雇用の受け皿となる一面も。
農家と働き手のWin-Winな関係
休業要請、外出自粛が呼びかけられたことで、宿泊業や外食業界などの業界が大きな打撃を受けました。お客が来ないために出勤日を減らされてしまう人もいれば、休業せざる得なくなったところもあります。
そんな中、人手を探している業界も。それが農業です。間引き作業のために短期雇用を探している農家や、農場拡大やコロナの影響で販売先を転換したことで袋詰めなどの作業が増えた農家が人手を欲していました。
雇用の受け皿になった農家の事例を調べてみると、取引先や顧客との会話で厳しい現状を聞いた農家が働く機会を提供している例が多く見られます。またコロナの影響で外国人技能実習生が来られなくなり、深刻な人手不足に悩まされている農家のために、JAと旅館組合が受け入れ先農家と働き手をマッチングするという例も。
農家と働き手のWin-Winな関係を後押しするように、国は、雇い止めとなり、農業現場で働くことになった人たちの研修費や宿泊費の補助を行っています。社会人や主婦、学生などの人材には、自宅からの交通費や宿泊費のうち一定額を支給。農協などの研修機関には定額補助するなどし、働き手の再就職と農業界の人手不足解消を狙います。
今こそ農業雇用マッチングサービスの出番!?
労力が不足するといった不測の事態の原因はコロナだけとは限りません。そこで人手不足に備えて知っておきたい人材シェアサービスについてもご紹介していきます。
シェアグリ
シェアグリは2019年7月にリリースされた農業体験に興味のあるユーザーと短期雇用を探している農家をマッチングするアプリです。
シェアグリの特徴は「超短期雇用」。農業では繁忙期と閑散期で必要な労力に大きな差が出ますが、「通年雇用は経済的に難しい」という農家も少なくありません。そこでシェアグリは1日単位での人材確保を可能としました。これにより農家は繁忙期に絞り、人手不足を解消することができます。
なおコロナ禍で、シェアグリをリリースした株式会社シェアグリは、観光地での求人サイト「はたらくどっとこむ」の運営会社・株式会社ダイブと業務提携を行いました。外国人技能実習生が来日できず人手が不足している農業者と、観光業で働く若者のマッチングを行い、雇用機会の確保を目指します。
農mers
こちらも農業を始めたい人と人手を欲している農家をつなぐマッチングアプリです。農mersの特徴はチャット機能。チャット機能を使って、農家が農mer(ノウマー・農業の仕事をするために登録した人)をスカウトしたり、農merが働き手を探す農家にアピールしたりすることができます。
県による取り組みも
公益社団法人 大分県農業農村振興公社では無料職業紹介所を開設し、コロナの影響で職を失った人と人手不足に悩む農業法人等のマッチングを行っています。求職者、農業法人等ともに、必要事項を明記の上、公式ホームページに記載されているメールアドレスに送ることで求人情報等の登録が行われます。
また一般社団法人全国農業会議所が運営する『農業をはじめる.JP』のような、新規就農者と農業経営者をマッチングするサイトやサービスもチェックしてみましょう。コロナの影響で相談会や説明会などは延期となる場合も多いですが、情報は定期的に更新されています。
参考文献