新規就農のカギ?!「地域おこし協力隊」について

新規就農のカギ?!「地域おこし協力隊」について

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農業従事者の高齢化に伴う後継者不足や耕作放棄地の問題が取り上げられていますが、一方で新規就農者の数は、2016年には6万150人となり、2年連続で6万人超えを記録。
新規就農者だけを見ると増加傾向にあることがわかります。

農林水産省では、持続可能性のある農業の実現に向け、農業の担い手となる人への確保に力を入れています。
そこで今回は、新規就農のカギとも言える制度「地域おこし協力隊」についてご紹介していきます。

 

地域おこし協力隊とは

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地域での活動を行いながら、その地域への定住や定着を図る取り組みです。
地域おこし協力隊の隊員となった場合、一定期間その地域に居住することになります。その中で、農業へ従事や地場特産品の開発、地域おこしの支援といった活動を行います。活動期間は地域によって異なりますが、約1年~3年ほどです。

地域おこし協力隊の制度を活用すれば、国から助成金が出ます。
この助成金は、これから農業を始めようと考えている人には手厚い制度と言えるでしょう。
例えば、今まで全く農業に携わってこなかった人でも、国からお給料を受け取りながら農業のノウハウを学ぶことができます。
国から給付される金額は決して高くありませんが、新規就農者にとっては無給の期間がないだけで、心配事が1つ減るはずです。農業技術・経営を学ぶことに集中できるため、早々に1人立ちする隊員もいるかもしれませんね。

「地域おこし協力隊」の最終目標は地域への定住・定着です。
そのため地域おこし協力隊に参加する人は、居住地へ住民票を移動する必要があります。ただここで地域おこし協力隊のデメリットをご紹介しておきましょう。
定住・定着が目標ですが、地域によって「地域おこし協力隊の受け入れ態勢が異なる」ことがデメリットとして挙げられています。そのため人を受け入れる地域側にも、能動的な活動が必要になります。地域おこし協力隊になった人のデメリットに「任期終了と同時に無職になる可能性がある」ことが挙げられますが、地域側が彼らの定着・定住を促したいのであれば、居続けてくれるような環境をつくる必要がありますね。
例えば新規就農者を増やすのが目的なら、任期終了後の就職先を探している隊員に対して、就農先や田畑の情報を提供しましょう。

 

農業につながる地域おこし協力隊事例

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メリットもあればデメリットもある地域おこし協力隊ですが、農業においては相性がいい制度なのではないかと考えます。事例を見てみましょう。

北海道新冠(にいかっぷ)町では、地域おこし協力隊として受け入れた人を「農業支援員」として、様々な農家へ派遣します。隊員は、派遣された農家のもとで農業体験を行います。
任期は3年間ではじめの1年は派遣先の農家での体験、2年目は自分が希望する作目を選択して農業研修を行います。
3年目には就農予定の農地を調査したり、本格的な収納に向けて研修を行います。
3年間みっちりと農業体験を行いますが、地域おこし協力隊の制度を活用しているためお金の心配はいりません。また派遣先の農業体験、希望の作目での農業体験と幅広く農作業を体験できるため、自分に向いている作目や栽培方法を見つけ出すことができるでしょう。
岩手県遠野市でも地域おこし協力隊が活用されています。
ビールの原材料であるホップ畑で働くための募集要項には「採用後の遠野市への住民票異動」が条件として記載されています。
地域おこし協力隊の最終目標がその地域への定住・定着ということがよく分かりますね。

地域おこし協力隊を活用すると、3年後の定着率は約6割だと言われています。その理由には「農業をやめ他の職に着くと、給付金の返還を求められる」という点もあるでしょう。新規就農者をがっちり掴むためには、地域おこし協力隊を活用しない手はない、といったところでしょうか。

なお、県や地域独自で就農制度を整えているところもあります。

 

新規就農者が農業を続けるためにはどうすべきか

ただ、どんなに地域おこし協力隊が「離農すると給付金の返還を求められる」とはいえ、離農を選択する人もいるはずです。新規就農者に農業を続けてもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。

農業を始めたばかりの頃は、良質な農作物がたっぷり採れるかというとそうでもありません。
「3年は食べていけない」などと言われたことがある人もいるのではないでしょうか。
はじめてすぐは赤字が続くことでしょう。しかしそこで「定住先の人々のバックアップがあってこそ、くじけず長く続けられた」という人も少なくありません。

その地域に住む人々が、新しい農家を育てていこうとするかどうかが、新規就農者を定着させるカギと言えるのではないでしょうか。いまは国や地域の支援もあり、「3年は食べていけない」前提だった農業も、ぐっと取り組みやすくなっています。だからこそ新規就農者を支援するようなサポートが、農業を続けてもらうためには大切なのです。

もちろん、地域おこし協力隊の隊員としてやってきた当人だけにしか、最終的に定住するかしないかを決めることはできません。しかしどうせなら、農業を学ぶためにやってきた彼らにとって居心地のいい環境を提供し、その地域での農業を続けてもらえるように努力したいものです。
 

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