オペレーター農家とは。委託されて農作業を行うオペレーター農家について解説。

オペレーター農家とは。委託されて農作業を行うオペレーター農家について解説。

オペレーター農家とは

他人から農地を借りたり、あるいは農作業の全部又は一部を請け負って大規模な経営を行っている農家のこと。大規模稲作農家が多い。略してオペ農家あるいはオペレーターともいう。

引用元:農業に関する用語集 その他 – あいち就農ナビ

を指します。「オペレーター農家」の他、「農業オペレーター」、「農作業の受委託事業」など、さまざまな名称で呼ばれていますが、この記事では委託されて農作業を行う人の名称として紹介していきます。

※農業関連用語として「オペレーター」と調べると、「トラクターやコンバインなどを操作したり、コメの収穫施設で精米施設などを制御する人のことを指す」ともあります。

先で紹介した通り、本記事では「委託されて農作業を行う人」の名称としてご紹介していきますが、紹介するオペレーター農家の事例には、農業機械等のオペレーターの意味も含まれている場合があります。

 

 

オペレーター農家の事例

オペレーター農家とは。委託されて農作業を行うオペレーター農家について解説。|画像1

 

大阪に立地する都市農業「大阪農業」のホームページ内、生産者を紹介する記事の中に「農業オペレーター」として活躍されている方の記事がありました。

「ええで、まかしとけ」よろず農家の手助けのプロ。|やるやん!大阪農業

上記では、高齢化や怪我や病気などの理由で自分で管理できなくなった農作業を、農家に代わり手助けする仕事を「農業オペレーター」と呼んでいます。

この方自身も農作業が管理できずに苦労した経験がありました。父親が体調を崩したことをきっかけに兼業農家になった時、仕事と農業の両立が難しく、農作業が計画通りに進まないなどで田畑が管理できず、苦労したとあります。そんな時、手助けしてくれたのが他の地域で農業を営む叔父の存在でした。彼の手助けをきっかけに、困っている農家を手助けする「農業オペレーター」の仕事がこの先必要になる、と確信したといいます。

また農林水産長期金融協会の「平成22年度優良農家事例報告(稲作農家の取組み)」の一文に“オペレーター経営が盛んな東海地方の愛知県から”とあったため、調べてみたところ、愛知県岡崎市の視聴覚ライブラリー「農業の企業化−小久井農場の挑戦−」に

小久井さんが作業する広大な農地の大半は約300軒の地主から預けられたり、農作業を委託された土地です。地主から農地の管理や作業を任されている人をオペレーターといいます。
最近ではオペレーターに預ける人が増えてきました。

引用元:農業の企業化−小久井農場の挑戦−

という一文がありました。

愛知県といえば自動車産業が盛んです。愛知県は自動車関連産業へ就業する機会が多いことから兼業化が進んでおり、1960年代後半から農業の担い手対策としてオペレーターの育成や組織化などの取り組みが行われていました。

そのためオペレーターは長年、農地保有者から受託する形で地域の農業を担ってきた、とあります。

オペレーター農家の取組事例を知りたい方は、農林水産省がまとめた集落営農の組織化・経営発展の 取組事例をぜひご覧ください。

オペレーター農家の仕事を紹介していたあるブログによれば、高知県でも、地域の農業公社が、農家に代わってオペレーター農家が農作業を受託する「農作業委託事業」が行われているとありました。

 

 

オペレーター農家を確保するための取り組み

オペレーター農家とは。委託されて農作業を行うオペレーター農家について解説。|画像2

 

章大寧『日本における農業生産組織に関する研究−生産手段の所有と利用の分離についての統計分析−』(1990年、農業経済研究報告)には、

オペレーターは生産組織のなかで最も重要な労働力として位置づけられている。

〜中略〜

1970年代の半ばまでには、年齢的に若い世代が多いということから「日本における中核的な担い手を集約した姿を示している」とさえいわれていた

引用元:章大寧『日本における農業生産組織に関する研究−生産手段の所有と利用の分離についての統計分析−』p.60(1990年、農業経済研究報告)

とあります。

上記研究報告も、農林水産省の研究報告「平成21年度 水田作地域における集落営農組織等の動向」(平成22年12月)も情報は古いですが、オペレーターは若い世代の参加が増えていることが報告されています。しかしながら、農業従事者同様、オペレーター員数も減少傾向にあり、高齢者の割合が高くなっていることなども挙げられています。

オペレーター農家を確保するための取り組みには、若手のオペレーター農家のために機械作業やメンテナンスなどを学ぶ場を用意して技量向上を図るもの、法人化することでオペレーター農家の労働条件の整備を行い、また施設園芸を導入することで、通年雇用を可能とする仕組みを確立した例などが挙げられます。

 

参考文献

  1. 農業に関する用語集 その他 – あいち就農ナビ
  2. 農業経営用語
  3. 農、年間雇用をつくる/日本仕事百貨
  4. 「ええで、まかしとけ」よろず農家の手助けのプロ。|やるやん!大阪農業
  5. 平成 22 年度優良農家事例報告(稲作農家の取組み) – 農林水産長期金融協会
  6. 農業の企業化−小久井農場の挑戦−
  7. 有限会社小久井農場|愛知県岡崎市 美味しいお米
  8. 集落営農の組織化・経営発展の 取組事例 – 農林水産省
  9. たった2時間の労働で8,000円!?田舎だからこそあるとても素晴らしい仕事があった
  10. 美しいまち、本山。|一般財団法人本山町農業公社
  11. 章大寧『日本における農業生産組織に関する研究−生産手段の所有と利用の分離についての統計分析−』(1990年、農業経済研究報告)
  12. 水田作地域における集落営農組織等の動向に関する分析研究報告書. 平成21年度

※本山町農業公社の農作業受委託事業について紹介しているブログ記事

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