農業従事者の高齢化及び後継者不足が課題となっている昨今、農業を含めたさまざまな業種での外国人労働者の受け入れ拡大を政府が検討しているという話題を耳にしました。
外国人雇用は、担い手不足の切り札となるのでしょうか。
外国人雇用の現状
現在増加傾向にあると言われる外国人労働者。2017年のデータで、外国人労働者の数は約61万人にいると分かり、日本にいる労働者約5千万人の1.2%に当たることがわかります。
農業分野においては、2017年に6,606人となり、この数値は2013年の1.9倍とのことです。今後も増加することが予想される外国人労働者に対して、日本政府は受け入れ要件の緩和などを進める予定です。
現在、農業分野で活躍している外国人の約9割は「技能実習生」だと言われています。技能実習生は労働者ではなくあくまでも研修生という位置づけです。彼らは、日本の技術を途上国などへ伝授し、経済発展へつなげる、いわば人材育成を目的とした制度を使って、日本で活躍しています。
今回の外国人雇用拡大の話が進めば、専門性の高い外国人をよりいっそう受け入れやすくなり、即戦力の確保につながると考えられています。
もちろん日本人の雇用への影響を加味して、慎重な検討が行われます。あくまで労働者の拡大が目的であり、「移民政策をとる考えはない」と安倍首相も強調しています。そのため「在留期間の上限を定める」「家族を一緒に日本へ連れてくることは認めない」など、厳しい条件も提示されています。
外国人雇用メリット
まず考えられるメリットは、
・若い労働力の確保につながる
・異なる文化や慣習から新しい発想を得られる
・海外進出のヒントを得られる
です。
・若い労働力の確保につながることについて。
農業分野に限らず、少子高齢化が進む日本では若い労働力が不足していることが課題となっています。しかし日本語の会話力が不十分であっても、農作業に集中できるのであれば、若い外国人労働者が新たな農業の担い手になってくれることでしょう。コミュニケーションが全く取れないのは不安かもしれませんが、農作業そのものは言葉を介さなくても進めることができるでしょう。また相手に伝える方法は言葉だけではありません。一緒にやってみせる、イラストや写真を活用するなどで、内容を伝えることはできます。
・新しい発想や海外進出のヒントになるという点について
語学に不安があったとしても、異なる文化圏の人との関わりは新しい発想につながります。もしあなたが、外国人労働者と十分なコミュニケーションをはかれるのであれば、海外進出の大きなヒントを得られるかもしれません。進出先の国の労働者を雇用すれば、文化などを教えてもらうことができ、海外進出の参考になるでしょう。新たな労働力も、その雇用した外国人労働者を介せば、確保しやすくなります。
外国人雇用デメリット
・外国人雇用手続きが面倒
・コミュニケーションを取るのが難しい
・文化や慣習の違いでトラブルが起こることもある
が挙げられます。
・外国人雇用手続きについて
外国人雇用には届出が必要です。届出を忘れてしまうと罰金を科せられてしまいます。不法就労はもちろんのこと、外国人だからと安い賃金で雇用することも法律違反です。なお2017年に強制退去させられた外国人で、不法就労と認められた4万6千人のうち、農林水産関連の人は851人います。外国人と日本にとって好ましくない条件で雇用するのは絶対にNGです。
・コミュニケーションや文化、慣習の違いで生じるデメリット
またコミュニケーション面では、言葉だけがデメリットではありません。文化や慣習の違いで誤解が生じてしまうと、関係が壊れてしまう可能性があります。私たち日本人にとって「ミスをしたら謝る」「遅刻や無断欠勤は好ましくない」という文化が、外国人労働者には通用しないこともあります。労働力、即戦力として活用する場合には、相手の文化や慣習に対する寛容さが必要になるかもしれません。
ハイテク化を急げという声も?
外国人労働者の受け入れ拡大が検討されている中で、「人の力に頼った農業」が続くことに対する懸念の声もあります。「外国人労働者に頼って農業を支えると、外国人が日本へ来なくなった時、農業が成り立たなくなるのではないか」という不安です。
そのため、外国人労働者ではなく、注目を集めているICT(情報通信技術)などを生かした、「人の力に頼らない農業」の加速を期待する声もあります。
実際ICT技術を駆使した農業の利点として、今まで農業経験のない新規参入者でも農産物の栽培に取り組みやすいことが挙げられます。言語を対応させれば、外国人労働者とのコミュニケーションを簡単にはかれるアイテムにもなるのではないでしょうか。個人的には、農業のハイテク化との同時進行に期待しています。
今後の農業人口について
日本の人口は減少し続けています。2017年には生産年齢人口が8,409万人となり、2024年には8,000万人、2037年には7,096万人になるのでは?と予想されています。農業においては、農業従事者の高齢化、後継者不足が長く課題とされています。高齢の農業従事者たちが一気に引退してしまうと、日本の農業はもろく弱い産業になってしまうでしょう。
外国人雇用の拡大は、担い手不足の切り札になると考えています。もちろん外国人雇用にはメリットもデメリットもあります。しかしそれは農業のハイテク化にも言えることです。
いずれにせよ農業人口の減少による農産物収量の低下は避けるべき案件でしょう。使える人材は積極的に使い、人の手を使わずとも済む作業においてはハイテク化の力を借りるなど、いいとこ取りな農業ができれば最高ですね。
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