新規就農者が増えている。新規就農者の現状と今後の農業について

新規就農者が増えている。新規就農者の現状と今後の農業について

新規就農者が増えている。新規就農者の現状と今後の農業について│画像1

昨今、農業従事者の高齢化や後継者不足が進んでいると言われていますが、一方で「新規就農者」の数は年々増加傾向にあるということをご存知でしたか?
農林水産省では、持続可能性のある農業構造の実現に向け、後継者・担い手の育成・確保を目指しているのですが、その目的から「新規就農者数」の調査を実施しています。そして近年では、その結果が今後の農業へ前向きな方向で表れているのです。今回は新規就農者の現状と今後の農業についてご紹介していきます。

 

新規就農者の現状

農林水産省による調査結果では、2017年9月公表の2016年の新規就農者の数は6万150人と報告されています。6万人を超えるのは2年連続のことであり、かつ49歳以下の若年層の数は2万2025人と3年連続で2万人超えを記録しています。
新規雇用就農者で見ると1万680人であり、うち49歳以下は8170人。この数値は前年より2.4%増加しており、高齢化や後継者不足が進んでいる観点からすると、とても前向きな結果だと言えるでしょう。

 

増加傾向にある背景

新規就農者が増えている。新規就農者の現状と今後の農業について│画像2

この増加傾向の背景には、農業雇用の活発化、農業法人などから交付される研修費用の影響が考えられます。このような制度を活用している新規就農者、雇用する側の存在も、新規就農者増加につながったと言えるでしょう。また就農者の意識も変わりつつあると言えます。2010年と2012年の就農した理由について調べた調査では、2010年に比べて「やり方次第で儲かる」といった経営目線で農業に取り組む人が増えていることが挙げられます。「農村の生活がしてみたかった」という人は減少しつつあることから、農業がビジネスとして捉えられるようになったことも、就農者の増加につながったように思えます。

ただし、新規“雇用”就農者の数は増加傾向にありますが、新規”自営農業”就農者は前年より9.8%減少しています。自家農業に就農する人の存在は、やはり減少傾向にあるようですね。また所得も初年度から高く得られる農家さんは少なく、少し古いデータですが2012年、就農1・2年目の販売額を見たところ、販売額300万円未満が全体の69%を占めています。所得率が低かった場合には、年間所得は100万円未満となる農家さんも決して少なくないはずです。そのため新規就農者が増加傾向にあるのは良い事なのですが、「儲かる」ためにはどの仕事でも同じことですが、それ相応の工夫を凝らし、収益を得られるように努める必要があります。

 

就農者を維持するためにはどうすべきか

農林水産省では、「農業は魅力ある職業」と若い世代に捉えてもらえるよう、広報活動や現在の農業が抱える問題や環境改善に向けて取り組みを続けています。
ただし難しい話ではありますが、どのような職業においても、外部から一方的に条件や知識、場所を与えているだけでは何も変化が得られませんから、ある程度自分から農業へ向き合ってくれている新規就農者には、自発的に取り組ませる後押しが必要になるのでは?と考えています。新規就農者の取り組み姿勢も人それぞれです。ビジネスとして農業に取り組み始めた人が増加したとは書きましたが、田舎暮らしに憧れて始めた人もいるでしょう。ビジネスとして始めた人に比較的まったりと指導しても熱が入らないでしょうし、田舎暮らしに憧れている人にバリバリ教え込んでしまっては最悪辞めてしまう可能性だってあります。高齢化による後継者不足や、耕作放棄地の増加は確かに問題ですが、農業に取り組もうとする姿勢を刈り取ってしまっては意味がありません。

農業の今後について

農業人口だけでなく、少子高齢化が進む日本では、今後もどんどん人口は減少していくでしょう。国内市場がどんどん縮小していく前に、インターネットを活用した直送方式の販売に挑戦する農家さんもいれば、海外輸出に挑戦する農家さんもいます。いずれにせよ先を憂いで不安になるより、先のことを考えて行動し続けることが、持続可能な農業を発展させるためには必要なのではないでしょうか。まだまだインターネットや海外進出への取り組みは少数かもしれませんが、いずれはそれがスタンダードな農業の形になるかもしれません。

ただ日本でも今後の農業を継続・発展させるために、農業支援制度はたくさん設けられています。農林水産省では「青年就農給付金」の交付があります。ある一定の条件を満たすことで、前年の所得に応じた一定額の給付金を受け取れることができるのです。この給付期間は「就農前の研修期間(2年以内)」か「経営が不安定な就農直後(5年以内)」となっていますが、先に紹介した通り所得率が低い場合、年間所得が100万円未満の就農者もいるわけですから、活用しない手はない給付金制度だと思います。この給付金制度は国からのものですが、地域によっては都道府県、市区町村で独自に取り組みを行なっている場合もあるので、身近に困っている新規就農者がいたら、これらの情報を積極的に教えてあげましょう。

新規就農者の中には、農業と全く関わりのなかった人ももちろんいます。彼らが不安に思っていることは、恐らく周りの農家さんとのコミュニティが築けていないことなのではないでしょうか。もちろん人によっては全くコミュニケーションを取りたくないと考えている就農者もいるかもしれませんが、先で紹介したような支援制度は、国や自治体から発信されているというよりも、必要としている側から探しださなければ見つからない情報です。新規就農者が継続して農業を行い、今後の持続可能性のある農業の発展につなげたいのであれば、困っている新規就農者に手助けすることも必要になってきます。
今後の農業のためには、増加傾向にある現状に満足するのではなく、いかにこれを持続させていくかを心がけていきたいですね。

 

参考文献
1,農水省に聞く!平成28年新規就農者調査について アグリジャーナルvol.5
2,新規就農の課題と展望〜頑張れ!新規就農者〜
3,農業での新たな人材確保の現状と課題 (株)JA総合研究所 研究レポート

 

数あるカクイチの製品の中から
農家の方へオススメな製品をピックアップしました。


 

ヒトカテゴリの最新記事