日本で実施されている国家資格にはさまざまなものがありますが、中には農業に関連するものもあります。本記事で、農業に関連する国家資格の中からピックアップするのは「農業普及指導員」です。
農業普及指導員とは
普及指導員は、農業改良助長法(農業改良等について定めた法律のこと)に基づく国家資格です。農業事業者と直接接し、
- 農業技術の指導
- 経営相談
- 農業に関する情報提供
などを行い、農業技術や経営を向上するための支援を専門としています。
なお普及指導員ではなく「改良指導員」という名称を見たことがある人もいるかもしれません。2004年に農業改良助長法が改定される前は、農業改良を目的とする「農業改良普及員」と専門技術を教える「専門技術員」に分かれていましたが、この2つの資格は2005年に廃止され、普及指導員はこれらを一元化したものとなりました。
普及指導員の主な業務内容は上記の通りですが、一般社団法人全国農業改良普及支援協会が示している普及指導員の仕事内容には
- 担い手を育てること
- 産地を支えること
- 環境に配慮すること
- 安心・安全を支えること
- 地域振興をサポートすること
とあります。
農業従事者とともに技術改良に取り組んだり、新規就農者へ農業技術や経営について指導を行ったり、消費者が求める安心・安全につながるような栽培・販売方法を提案したり、環境に配慮した農業への転換を進めたり、とさまざまな方法で農業従事者の活動を支えます。
普及指導員になるには
国家資格である普及指導員になるためには、国が行う普及指導員資格試験に合格する必要があります。また試験を受けるためには、公務員や農協職員として実務経験を得る必要があります(下記詳細)。
- 大学院修了者の場合 2年以上
- 大学卒業の場合 4年以上
- 短大卒業の場合 6年以上
- 高校卒業の場合 10年以上
試験は書類審査、筆記試験および口述試験により行われます。
筆記試験と口述試験では農業に関する知識と普及指導員として活動する上で必要になってくる知識について問われます。
受験資格や願書、過去問等は農林水産省のホームページに記載されているので、気になる人は以下のURLをご覧ください。
普及指導員に向いている人とは
北海道での暮らしや仕事をテーマに、その土地で働く人や生活スタイルを紹介するWEBサイト『北海道の人、暮らし、仕事。くらしごと』に、普及指導員を務める方のインタビューが掲載されていました。
【岩見沢市】公務員として農家にガッチリ寄り添う働き方。|北海道の人、暮らし、仕事。くらしごと
また各都道府県の職員で普及指導員になった方々のコメントも見つけました。
彼らに共通していたのは「農業従事者とのコミュニケーションを大切にしていること」。作物に関する知識や農業技術以上に、農業従事者とのコミュニケーションを重視している印象がありました。
普及指導員は
- デスクワークより現場業務が好き
- 人とコミュニケーションをとるのが好き
- 農業従事者や地域のために行動を起こすことが好き
な人に向いているのではないでしょうか。もちろん上記項目に当てはまらなかったからといって諦める必要はありません。興味がある方はぜひ関連情報を調べてみてください。
参考文献