木酢液の作り方。土壌改良・防虫に便利な木酢液をDIY

木酢液の作り方。土壌改良・防虫に便利な木酢液をDIY

木酢液とは、木炭を焼くときに出る水蒸気や煙を冷やして液体にしたものを指します。木酢液に含まれている酢酸やアルコールには、殺菌作用や防虫作用があるとされています。木酢液のどのような成分が作用するかは未だ解明されてはいないものの、土壌改良や植物の生長促進にも役立つと言われています。

本記事では、さまざまな作用をもつ木酢液を「自分で」つくる方法についてご紹介します。

 

 

DIYする利点

木酢液の作り方。土壌改良・防虫に便利な木酢液をDIY|画像1

 

もちろん市販されている木酢液を使用しても問題はありません。ただ、市販されている木酢液の中には、木酢液の製造工程で出る有害物質がろ過されていない安価な粗悪品も出回っていると聞きます。

木酢液をDIYすることで、原材料や含まれている成分を自分の目で確認することができ、安心です。市販品を購入するよりも手間はかかりますが、どのような原材料でつくるのか、どのような製法でつくられているものなのか、どのような成分が含まれているのかを学ぶ良い機会になりますよ!

 

 

木酢液の作り方

木酢液の作り方。土壌改良・防虫に便利な木酢液をDIY|画像2

 

木酢液をつくる際の注意点

木酢液をつくる際、工業的な製法では以下の4点に細心の注意が払われています。

  1. 原材料に、塗料や接着剤、殺虫・殺菌剤などが含まれている可能性のある建築廃材、燻蒸された木材等は使用しない
  2. 木酢液を採取する排煙口の温度が80〜150℃の低温であること
  3. 製造設備や容器等が耐酸性であること
  4. 採取後、貯蔵容器に90日以上静置して、上層の油分、下層のタール分を除去して、中層(木酢液)のみを製品とすること

参考文献:木酢液・竹酢液Q&A 日本木酢液協会

1.2.4.は、製品となる木酢液に有害な物質が含まれないようにするための注意点です。例えば2.は、ベンツピレン類(発ガン性が報告されている物質)の発生を抑制するための工程です。排煙口の温度が200℃付近の高温になると、ベンツピレン類が発生する可能性が高まるため、低温に設定する必要があります。また仮にベンツピレン類が発生したとしても、90日以上静置し、油分とタール分を除去することで取り除くことができます。

また木酢液はpH1.5〜3.7の「酸性」なので、耐酸性の容器や設備を用意する必要があります。

これら注意点を頭に入れた上で取り組むと、自作する際、木酢液の特性等が理解しやすくなりますよ。

 

木酢液DIYの手順

木酢液をつくる際は、風のない日や晴れた日にやるのがおすすめです。煙を採取する必要があるため、風が強い日には煙が流れてしまう可能性があります。また雨の日には、採取した木酢液に雨水が入り、薄い木酢液になってしまう可能性があります。工夫すれば対策はできますが、風のない日、晴れた日に行うことをおすすめします。

  1. 塗料や接着剤、殺虫・殺菌剤などが含まれている可能性のある建築廃材、燻蒸された木材等「ではない」木※1を炭焼釜などに入れて焼く
  2. 出てきた煙をパイプに通して集め、その下にバケツやガラス瓶などの容器を置いておく
  3. パイプの下に置いた容器に木酢液が溜まったら、容器※2に蓋をし、3〜6ヶ月間冷暗所で動かさないように保管する
  4. 静置すると、油分、木酢液、タール分と3層に分かれるため、木酢液だけを採取する※3

※1 広葉樹が原材料の木酢液は品質が高いと言われている。そのため、樫の木やナラ、ブナを原材料に選ぶのがおすすめ

※2 木酢液は酸性のため、容器は耐酸性のものを用意する。プラスチックなどは、溶けて有害物質を出す可能性が高いためNG

※3 採取方法は以下の通り

用意するものは

  • 直径1cmほどの透明なパイプ
  • 木酢液を入れる容器

で、パイプは「吸い上げる」ことを考慮して適当な長さに切っておく。

  1. 静置していた容器(油分、タール分を含む木酢液が入っているもの)を用意した容器よりも少し高い場所に置く
  2. パイプの片側を真ん中の層(透明な木酢液の層)までゆっくり進入させる
  3. 進入させていない片側を低い位置(用意した容器側)に持ってきたら、慎重にゆっくりと吸う
  4. パイプを通る木酢液がもとの容器よりも低いところまでくると、勝手に流れ始めるため、吸うのをやめる
  5. 上部の油分やタールが混じらないようにパイプを持ったまま、木酢液が容器に移るのを待つ
  6. もとの容器から木酢液がなくなったら終わり

3.の位置まできたら吸うのをやめてください。木酢液をうっかり飲み込んでしまう可能性があるため、十分注意しましょう。万が一飲み込んだ場合には吐き出し、よくうがいしてください。

 

タールの捨て方に注意!

木酢液採取後に、下層部の「木タール」が残ります。木タールは、原材料が松材の場合には精製することでテレピン油(油絵の具の薄め液)になったり、木クレオソート(正露丸の有効成分)になったりするものです。北欧ではその強い殺菌作用から民間薬として使用したり、香りづけに用いたりと活用されているようですが、

  • 強い殺菌作用
  • 使用する際は必ず希釈

という点を考えると、土壌にそのまま流すのはNGです。

分解されにくい性質のあるタール分は防腐剤としても活用されますが、原液を染み込ませた土には、微生物が生えないどころか草花も生えてきません。

従って、原液は土壌に流さず、素直にゴミとして処分することをおすすめします。

木タールの廃棄方法ではないものの、日本木酢液協会の「木酢液・竹酢液Q&A」では、木酢液の廃棄方法について以下のような見解が示されています。

木酢液は土壌中で10日ぐらいで分解するので、10Kgぐらいまでなら植物の根に触れない場所の土壌に埋めることをお勧めします。

調べる中で、木タールを使用しない土に染み込ませて捨てる方法も紹介されていましたが、いずれにせよ、木タールの強い殺菌作用が、育てている野菜や人体に影響を及ぼさないよう十分注意する必要があります。

 

 

木酢液の使い方

木酢液の作り方。土壌改良・防虫に便利な木酢液をDIY|画像3

 

木酢液は原液では使用しません。必ず希釈したものを使うようにしましょう。

 

葉面散布する場合

生長促進のために使用する場合には、500倍に希釈するのがおすすめです。1リットルの水に対して、木酢液原液は2cc(小さじ1杯)です。

水で薄めた木酢液を噴霧器で散布しましょう。葉の表だけでなく、裏にもかけましょう。

 

害虫駆除に使用する場合

200〜500倍に薄めるのがおすすめです。

はじめて木酢液を使用する場合には、500倍くらいの希釈率から始めることをおすすめします。あまり希釈しないで使うと、害虫駆除に効果があっても、育てている植物を弱めてしまう可能性があるからです。希釈しすぎて効果が感じられないと思っても、植物にダメージを与えないために、徐々に希釈率を変えていくことをおすすめします。

 

土壌殺菌に使用する場合

センチュウなどの対策として土壌殺菌する場合には、100〜200倍に薄めて殺菌しましょう。

 

参考文献

  1. 木酢液の効果と使い方 木酢液の意外な効果とは
  2. 木酢液(木酢/木酢酢)とは?虫除けなど園芸の用途や効果・効能、作り方は?
  3. 木酢液・竹酢液Q&A 日本木酢液協会
  4. 木酢液の作り方 木酢液の正体に迫る!〜いろんな使い方
  5. 木酢液
  6. 乾留液
  7. 木酢タールは農作物に使っても安全ですか?

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