農業において厄介な存在のひとつが雑草なのではないかと考えます。
収穫すべき農作物に必要な栄養分を、横取りするような形で奪い、農作物以上にスクスク育つ雑草に、手を焼く農家さんも少なくないでしょう。
そんな雑草対策として「除草剤」を用いて雑草防除にいそしむ農家さんもいるかと思いますが、近年謳われる後継者不足や、農家の高齢化、生産性と効率を重視すべき点を考えると、少しでもコストパフォーマンスの良い除草剤がないかと探しまわるのは、自然なことです。
そこで近年注目されている“ジェネリック除草剤”はいかがでしょうか。
成分は通常の除草剤と一緒ですが、断然お得なアイテムになりますよ!
そもそも“ジェネリック農薬”とは?
そもそもジェネリックとは何かをご説明します。
一番分かりやすい例で言えば“ジェネリック医薬品”については、その言葉を聞いたことがある人も少なくないでしょう。
ジェネリック医薬品の場合、新薬と同じ有効成分でつくられた医薬品でありながら、厳しい基準や規定さえクリアすれば、開発期間も短く費用を抑えることもでき、価格が圧倒的に安くなる、そんな医薬品となります。
有効成分は新薬と全く同じなのですが、形状や色、添加物などを変更することができ、もちろん変更できる点は薬の効き目に影響しない範囲と定められていますから、価格を抑えて新薬と同じ効き目を得ることができるんですよね。
ジェネリック農薬においてもほぼ同様のことが言えます。2
016年には「日本ジェネリック農薬協議会」がJA全農にて設立され、生産コストを低減する目的でジェネリック農薬の導入・普及が促進されてきました。
JA全農に関しては、すでにジェネリック農薬を同等品よりも安く提供していますが、日本でも普及はまだまだ浸透していないのが現状です。
しかし農林水産省によると、世界の農薬市場の30%程度はジェネリック農薬だと言われています。
ジェネリック除草剤の効果
除草剤として有名なものに「ラウンドアップ」という商品があります。
これに含まれている特許成分であるグリホサートは特許の期限が切れているために、同等の成分と効能をもったジェネリック除草剤がすでに登場しています。
有名なものに「サンフーロン」や「エイトアップ」が紹介されています。
有効成分や除草剤としての効果は同じであり、通常通り除草剤として活用することができます。
・ジェネリック除草剤の注意点
ただし、一部のジェネリック除草剤の中には、農薬登録を取得していない商品も存在すると言われています。農薬登録が済んでいない農薬を、農耕地に利用することはできませんので、十分注意してください。
農薬を利用する際には、それがジェネリックであってもなくても、農薬登録内容やその効果・薬害、安全に使用する上での注意など、必要事項をよく確認する必要があります。
加えてどの農薬においても言えることですが、除草剤を撒く際に使用する器具の点検もしっかり行なっておきましょう。
万が一機器が故障するなど、農薬に身近に触れざる得ない状況になった時、薬害を起こさないためにも十分な注意が必要なのです。
除草剤の種類も選ぼう
除草剤自体の種類にも、きちんと気を配りましょう。どのような製品であってもメリット・デメリットはつきものです。
まず最も即効性のある除草剤には「パラコート系」が挙げられます。即効性はありますが、最も毒性の強い農薬でもありますので、取扱には十分注意が必要です。
また消費者側からしてみれば、毒性の強いものの残留は気になるところです。残留性のないものがほとんどですが、使用方法については十分注意して、消費者側の気持ちも汲み取れることが大事になります。
「土壌表面処理除草剤」と呼ばれるものは、雑草を予防することができる除草剤です。雑草が生えてくる前に撒く必要があります。
稲や芝によく用いられるのが「選択制除草剤」で、これは特定の植物にしか効かない性質があります。注意点としては、除草剤が作用する植物と作用しない植物を把握しておかないと、誤って使うことで育てたい作物が除草されてしまうことがあります。使用上の注意はしっかり確認することが大切です。
「アミノ酸系除草剤」は比較的低毒性の除草剤です。しかし雑草の根までしっかり枯らすことができるため、扱いやすい除草剤と言えるでしょう。
どんなところで手に入るのか
ジェネリック農薬は、2016年1月では4成分、67銘柄が登録されています。
これからどんどん広まるとは思いますが、購入自体は農業系の器具を取り扱っている店やネットショップなど、幅広く見つけることができます。ネットショップでの購入が一番見つけやすいかもしれませんね。先に紹介した「エイトアップ」や「サンフーロン」は、ジェネリック除草剤の代表的ブランドとも言えます。
ジェネリック農薬の開発は、農薬メーカーが市場状況やブランド競争、開発コストなどを鑑みて決まります。しかし今後、農家さんの方からも生産コスト削減のため、積極的にジェネリックを取り入れたいという声は聞くことができるのではないでしょうか。
まだまだ浸透しきっていないジェネリック農薬・除草剤ですが、圧倒的にコスパは良くなるでしょう。
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