道端や田んぼの畔、畑の中などでよく見かけるカヤツリグサ。
一見すると線香花火のような繊細な姿をしていますが、実は強い繁殖力をもち、刈っても刈ってもすぐにまた大きくなる厄介な雑草なんです。
ここではその雑草の中でも最強と言われているカヤツリグサの生態やその除草方法などについてお伝えしています。カヤツリグサの生態を理解し、適切に駆除できるようぜひ参考にしてください。
カヤツリグサとは?
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の一年草。
春先に発芽しますが、発芽したばかりの頃は芝などとあまり見分けがつきません。
そのうち、葉の間から断面が三角系の茎が真っすぐ伸びてくると「カヤツリグサだ」と断定できるでしょう。その後、初夏を迎える頃にはグングンと成長し、背丈が20~30cmほどになると先端に黄色っぽい穂をつけます。
そして、そのまま大きく育つと背丈50cmほとに達することもあり、だんだんと根がしっかり張ってきます。暑い中、成長したカヤツリグサを手で抜くのは大変な作業です。
カヤツリグサの生態
カヤツリグサは放っておくとどんどん種を落として繁殖する厄介な雑草です。
成長すると、茎の先端に「花序子」をつけ、その先に黄色い無数の種ができます。
種は熟すと茶褐色になり、地面に落ちると再び発芽してきます。湿地を好み、畑の中の水がたまるところに種が集まって密集して繁殖するのもカヤツリグサの特徴のひとつです。
また、地中に地下茎が残っているとそこからもまた新しい茎がすぐに伸びてくるため、カヤツリグサは根まで徹底して駆除する必要があります。
農業における影響
畑に繁殖するカヤツリグサを放っておくと、作物の収量が減る、成長が遅れるなどの影響が発生します。他の雑草と同じく、なるべく発芽や成長を抑えたいところですが、カヤツリグサが農家にとって最も厄介な理由は、ゴーゴーサン乳剤やトレファノサイド乳剤などの抑草剤が効かないということです。そのため、畑の作物が小さいうちに生えてきてしまい、早めに駆除しなければすぐに背丈が高くなり、作物の成長を阻害してしまうのです。
また畑の作物が生育する場所に密集して生えることが多く、除草剤が使用しづらいことも農家を悩ませる大きな理由のひとつとなっています。
カヤツリグサの主な除草方法
カヤツリグサは大きく育つほど根が強く深く張っており、表面を刈っただけではまたすぐに生えてきてしまいます。まずは生やさないことが大事なので、ここではカヤツリグサを生やさないための対策と、生えてしまった後の対処法に分けて除草方法をお伝えします。
カヤツリグサが生える前の予防
・土壌消毒
作物の定植前に土中の一年生雑草に効果のある土壌消毒剤を施用する。
バスアミド微粒剤はカヤツリグサの発生も抑えることができる。施用後にビニール被覆をすると、さらに高い効果が期待できる。
・防草シートを張る
田んぼの畔や作物と作物の間の通路などに防草シートを張り、日光を遮ってカヤツリグサの発芽を抑制する。小さな隙間でも繁殖するカヤツリグサには高密度な防草シートを使用することが望ましい。また、シートを敷く前に除草剤を散布しておくとより効果が長持ちする。
カヤツリグサが生えた後の駆除方法
・除草剤を使用する
カヤツリグサにはラウンドアップ(グリホサート系)などの根まで枯らすタイプの除草剤を使用する。効くまでに1~2週間程度時間を要すが、根まで枯死するので、残った地下茎からまた茎が伸びてきたり、落ちた種から新たに発芽したりする心配がない。
ただし、グリホサート系の除草剤は畑の作物にかかると、作物も枯れてしまう。畑の外周だけでなく、作物の畝間に除草剤を使用する場合はガードマンなどの除草器を利用すると便利。
・手で取る
作物の際に生えているカヤツリグサは、表面だけを刈り取るのではなく根から抜く。大きく育っているものを抜くときは、根が横に広がっているため、畑の作物まで一緒に抜いてしまわないよう注意が必要。既に穂が出ているカヤツリグサは、抜いた後は圃場から持ち出し、種を落とさないように気をつける。
まとめ
カヤツリグサの生態や、農作物への影響、駆除方法などについておわかりいただけたでしょうか。
カヤツリグサの繁殖を抑える一番大事なポイントは「圃場に種を落とさない」ことです。生えてしまったら、除草剤で根まで枯らすか、抜いたものをそのまま圃場に残しておかないよう注意しましょう。
カヤツリグサを抑えるだけでも、夏の除草作業がかなり楽になるはずです。