耕作放棄された田んぼを活用したクレソン栽培。栽培の事例と栽培方法。

耕作放棄された田んぼを活用したクレソン栽培。栽培の事例と栽培方法。

クレソンとはアブラナ科オランダガラシ属の多年草で、ヨーロッパからアジア、ロシアにかけての地域が原産地とされています。肉料理に添えられるほか、サラダなどさまざまな料理に利用されています。

クレソンが日本に入ってきたのは明治時代の初め頃といわれ、和名であるオランダガラシは、オランダからやってきた辛味のある菜という意味で付けられたとされています。

クレソンには抗酸化作用のあるカロテンやビタミンEのほか、カルシウムやビタミンC、葉酸、カリウムなどが豊富に含まれています。

クレソンは暑さにも寒さにも強く、繁殖力が盛んな作物であり、明治の初めに渡来してから、平地はもちろん高冷地にも広く分布しています。

なお、JAグループが公開する出荷ランキングでは、下記の6県がいずれかの月にランクインしており、毎月1位を獲得しているのは栃木県です。

  • 栃木県
  • 山梨県
  • 群馬県
  • 茨城県
  • 静岡県
  • 沖縄県

 

 

水田転作作物、耕作放棄地での栽培作物として注目

耕作放棄された田んぼを活用したクレソン栽培。栽培の事例と栽培方法。|画像1

 

クレソンの栽培には、後述するようにきれいな水辺が必要です。そんなクレソンは繁殖力が強いため、水路をふさぐほど繁茂することがあります。野生化した生育旺盛なクレソンは時に「厄介者」扱いされることもありますが、水田転作作物、また耕作放棄地での栽培作物として注目を集めています。

山梨県南都留地域では昭和49年頃に忍野村で初めてクレソンが水田に作付され、その後昭和53年に道志村に導入。以降、道志村ではクレソンは水田転作作物として推進されるようになりました。山梨県道志村のクレソン生産量は日本一を誇ります。

岩手県大槌町では、耕作放棄地を利用した栽培が行われています。東日本大震災の後、この地域は過疎が進み、耕作放棄地が増加。そんな中、2018年にNPO法人からクレソン栽培を持ちかけられ、かつては水田だった耕作放棄地に山から湧き水を引いてクレソン栽培が始まりました。

岐阜県山県市の耕作放棄地でも山からの清流を生かしたクレソン栽培が行われています。

 

 

クレソンの栽培方法

耕作放棄された田んぼを活用したクレソン栽培。栽培の事例と栽培方法。|画像2

 

クレソンは年中水を流し入れ続ける田んぼで栽培を行います。

クレソン栽培に適した条件

クレソンの栽培適温は15〜20℃で、たっぷりの水と温度が必要です。植え付け前には、常に湿った土壌で、日当たりの良い場所を選びます。夏の暑さを苦手とするため、風通しの良さも大切です。真夏に水が枯れてしまうことのないよう注意します。また、クレソンは冷涼な気温を好みますが、氷点下の気温には耐えられません。

クレソンの栽培

クレソンは種でも挿し木でも栽培できますが、種子が非常に小さいため、一般的には苗を植えて育てます。移植するのに十分な苗の大きさは5〜7cm程度で、苗木や挿し木の移植時には、一般的に約15cmの間隔で植えます。

なお、種は7〜14日で発芽し、発芽の段階で10〜15℃の気温が必要です。

クレソンはあまり肥料を必要としませんが、クレソンの葉や茎が黄色くなったり、株の元気がなくなったり、土壌が痩せている場合には肥料を与えます。元肥として緩効性肥料を施したり、クレソンが苦手な気温の高い時期には液体肥料を与えたりしてください。

クレソンは花も含めてすべての部分を食べることができます。そんなクレソンは収穫できる段階がいくつもあります。クレソンのマイクログリーンは芽が出てから10〜15日で収穫できるようになります。背丈が5cmくらいになったら、ハサミで土の上ギリギリに切り込みを入れて収穫します。

もっともよく食べられている葉と茎は、芽が出てから3週間ほどで収穫できるようになります。茎の高さが15cm以上になれば、いつでも収穫できます。ハサミを使い、茎の根元近くを注意深く切ります。

この際、参照サイト「How to Grow and Care for Watercress」では、株が成長し続けるように、葉の3分の1以上は収穫しないことが推奨されています。

夏の暖かい時期にクレソンが開花すると葉が苦くなるので、それまでにできるだけ多く収穫します。

また収穫をかねて剪定も行います。クレソンの葉を摘み取ることで、株の新芽の成長を促します。もちろん、黄ばんだ葉や枯れた葉、傷んだ葉があれば、それも剪定し取り除きます。剪定する際は、清潔な剪定バサミを用い、傷んだ茎を根元から切り取ります。

株の高さが15cmくらいになったら、摘心も行います。茎の先端を摘み取ると、脇芽が出やすくなり、その脇芽からは柔らかい葉が収穫できます。加えて、先述した通り、開花してしまうと葉が苦くなるため、開花前に剪定バサミでつぼみを取り除き、花頭直下で切り取ります。

 

参照サイト

(2024年7月5日閲覧)

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