寒い時期でも野菜を安定して栽培することができるハウス栽培。近年では、ビニールハウスの屋根に太陽光パネルを設置して、ソーラーシェアリング(農業をしながら太陽光発電ができる仕組み)に取り組む農家さんも少なくありません。
そんな便利なビニールハウスですが、どんなに長く使えたとしても、いつかは消耗品として寿命がきます。そんなとき、ビニールハウスはどのように処分したらいいのでしょうか。
本記事ではビニールハウスの処分方法について、廃棄方法やかかる費用についてご紹介していきます。
ビニールハウスは“産業廃棄物”
ビニールハウスを処分する際、その扱いは「産業廃棄物」となります。ビニールハウスに使用される被覆資材としてよく用いられる
- 農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)
- 農PE(農業用ポリエチレンフィルム)
- 農PO(農業用ポリオレフィン系特殊フィルム)
はリサイクル資源として活用することができます。
産業廃棄物の処分方法に従わず、不法投棄などを行ってしまうと、3年以下の懲役や1000万円以下の罰金といった罰則があります。
ビニールハウスの処分方法
ビニールハウスを処分するときの流れは、「分別→梱包」です。まず使用済みのビニールハウスは素材ごとに分別します。識別マークがついているはずですから、バラバラの素材を混ぜないように丁寧に分別していきましょう。ビニールハウスを組み立てる際に使用した金具や土砂・木片などの異物も丁寧に取り除いていきます。
梱包する際には、ハウスに使用していた被覆資材と同じ種類の素材を紐にして縛り、まとめておきます。
自分で解体する場合の流れ
ビニールハウスの解体を業者に頼まず、自分でやる場合には、
- ビニールを留めている留め具を外す
- ビニールを剥がす
- 支柱を留めている留め具を外す
- 支柱を抜く
という流れとなります。
ビニールを留めている留め具を外す際には、全部の留め具を外すのではなく、1〜4の行程を少しずつ進めていくことをおすすめします。その日中に解体作業が終わらなかった場合、全部の留め具を外してしまうと、ビニールが風で飛んでいってしまう可能性があるからです。
支柱を留めている留め具を外す際には、電動ドライバーが便利です。通常のドライバーでも問題はありませんが、長い間外に晒されていた留め具は錆びていて外しにくい可能性があります。
また支柱を抜く際、地中深くに埋まっていると引き抜きにくいことがあります。そのような場合は無理に引っこ抜こうとするのではなく、土を掘り返してから抜くようにしましょう。もしどうしても引き抜けない支柱の場合には、電動のこぎりなどを利用して切断するという手段もあります。
自分で解体する際、注意しておきたいこと
自分一人でビニールハウスを解体する場合には時間がかかります。また想像している以上に手間や労力がかかります。重労働による体力の消耗と、疲労から注意力が散漫になってしまうことも考えられます。1日で全てを終わらせようとするのではなく、段階をふんで作業することをおすすめします。
またビニールハウスの基盤である鉄パイプの“温度”も意識しておきましょう。熱を通しやすい鉄パイプは、夏には日差しで熱くなり、冬には氷のように冷たくなります。作業する際、軍手は必須でしょう。作業する時間帯を調整することも大切です。
業者に処分を頼んだ際、どのくらい費用がかかるのか
自分で解体する場合には、解体に使用する道具(電動ドライバーなど)代ぐらいで済むはずです。が、解体にかかる労力は想像以上のものですし、慣れていないと解体に時間がかかりますし、怪我や事故の危険性も高まります。
ビニールハウスの解体に時間をかけられない、自分一人で解体するのは心許ないという場合には、解体業者に解体を依頼するのがベターです。
ビニールハウスの解体にかかる費用の相場ですが、「一坪あたり5,000円前後」が相場だと言われています。もっと安く、状況によって査定額が変わるという業者もいます。ただしこれはあくまでも解体費用“のみ”の話。他の素材(木、プラスチックなど)の処分費用、運搬費などがプラスされる場合もあります。
とはいえ、解体や処分にかかる費用は業者によってさまざまです。解体費用は少しかさむが、廃材を全て買い取ってくれるという業者や状態がよければ買取してくれる業者もいます。解体しやすさや土地の状況によって価格は変動するようですから、一度解体業者に見積もりをとってもらうのがおすすめです。
ネットで販売するという方法も
最近では不用品を売買するサイトやアプリが数多く登場しています。ビニールハウスを丸ごとインターネット上で販売するのもおすすめです。ネットで販売する場合、自分で値段をつけられるのが魅力的ですが、中古として販売するビニールハウスに見合った価格で販売しないとなかなか売れません。販売する場合には、買う側の気持ち最優先で値段設定することをおすすめします。また「解体作業を行う」という条件で無償で譲る方法もあります。
参考文献