近年、スーパーマーケットなどの売り場の一角で「スパイス」を見かける機会が増えたのではないでしょうか。売られているスパイスを見てみると、日本でも古くから使われてきたものや馴染みの薄いものまでさまざまです。
そんなスパイスをたっぷり使う食べ物といえば「カレー」です。カレーは「日本の国民食」と呼ばれるほど、馴染みの深い食べ物です。そこで、カレーに使われるスパイスの中で、日本で栽培することができるものをまとめてみました。
日本で栽培可能なカレーのスパイス一覧
カレーに使われるスパイス一覧
カレーの種類や求められる風味によって使われるスパイスは異なりますが、一般的にカレーに使われているスパイスは以下の通りです。
- クミン
- コリアンダー
- オールスパイス
- ターメリック
- チリペッパー
- カルダモン
「オールスパイス」はその名称から「すべてのスパイス」を指すように思われがちですが、クローブと同じフトモモ科の植物で、これ1つで1種類の名前です。
中世ヨーロッパの人が大切に扱っていた4種類のスパイス
- ブラックペパー
- ナツメグ
- シナモン
- クローブ
のうち、ブラックペパーを除く3種類のスパイスの香りを持っていたことから、「オールスパイス」の名前がつけられたと言われています。
コリアンダー
- 科名:セリ科
- 学名:Coriandrum sativum L.
- 特徴:葉や茎に独特な芳香。熟した果実はレモンに似た香りがある
- 種まき時期:1〜2月/9月頃
- 収穫時期:3〜6月/10〜11月頃
一見暑い地域の植物のように思えますが、発芽の最適温度は18~25℃ほど。高温が苦手な植物のため、気温が高すぎると育たないので要注意です。
ターメリック(ウコン)
- 科名:ショウガ科
- 学名:Curcuma longa
- 特徴:根茎に含まれるクルクミンが黄色い染料料としても使われる
- 植付時期:4〜6月
- 収穫時期:10〜11月
高温多湿の熱帯性気候を好む植物のため、日本での主な産地は沖縄や鹿児島となっています。保水力があり肥沃な土壌を好むため、栽培する際にはビニールマルチや敷きわらなどを用意して、土の乾燥を防ぎましょう。
チリペッパー(唐辛子)
- 科名:ナス科
- 学名:Capsicum(ナス科トウガラシ属を表す)
C. annuum(トウガラシ)
C. chinense(ハバネロなど)等 - 特徴:トウガラシ属の代表的な種「トウガラシ」にはさまざまな品種がある。辛味がないかほとんどない甘味種にはピーマン、シシトウガラシ(シシトウ)、パプリカなどが挙げられる。カレーのスパイスとして用いられるのは、辛味のある品種から作られる香辛料である。
- 種まき時期:3〜5月
- 収穫時期:7〜10月
生育適温が25〜30℃と高温なので、3月に種をまく際には室内で育て始めるなど、保温を意識しなければなりません。また酸性に弱い植物のため、土壌が酸性の場合には必ず石灰を施しましょう。連作障害が出やすいことにも注意しましょう。
日本で栽培できないカレーのスパイス
一般的にカレーに使われているスパイスのうち、
- クミン
- オールスパイス
- カルダモン
の3種類は、日本で育てるのが難しいと言われています。これらのスパイスを育てるのが難しい理由は、
- 日本の気候条件では栽培が難しい
- 穫れるまでに時間がかかる
ことが挙げられます。
例えばオールスパイスはうまく育つと5m〜10m近い大きさに成長する植物です。大きく育つことを考えて、1株1株の間を10m以上あけることもあるそうですが、日本の圃場ではあまり現実的な育て方ではないですよね。
カルダモンは温度管理や水やり、日当たりなどの環境条件次第で実がなるかどうかが決まり、日本の自然環境下ではかなり難しいのです。
カルダモンの栽培に挑戦する人が!
しかしそんな中、日本でのカルダモン栽培に挑戦しようとする人の姿が。2019年5月12日(日)放送の『THE・鉄腕DASH』(日本テレビ)では、カルダモン栽培に試行錯誤するアイドルグループ・TOKIOの姿が映し出されました。
最初のアイデアは、トラックの荷台に畑をつくるというもの。寒さに弱いスパイスのために、インドの最低気温5℃を下回りそうになったら、インドの気候に近い場所へ移動しようという考えでした。
それでも1月下旬の関東甲信越は大幅に気温が低下。そのため荷台をビニールシートで覆い、保温に務めました。が、カルダモンだけがどうしても芽が出ないという状況に。東京農業大学にアドバイスを求めるも「日本で育てるのは無謀」と言われています。
しかし『THE・鉄腕DASH』といえば、絶滅危惧種の発見など、学会レベルの発見を数多く成し遂げている番組。もしかしたら「日本で栽培できないカレーのスパイス」の栽培方法を発見するかもしれません。
参考文献